「所得税」カテゴリーアーカイブ

前納した生命保険料

Q.私は2月にA生命保険会社と生命保険契約をして、年払の生命保険料を3年分一度に払い込みましたが、支払った年にその全額が生命保険料控除の対象として計算されるのでしょうか。

A.いいえ、支払った生命保険料の全額がその年の生命保険料控除の対象になるわけではありません。事前に支払った生命保険料に関しては、その年の中で実際に支払いが必要とされた期間に相当する分のみが控除の対象となります。この計算は、その年中に到来する予定の払込期日の回数を前納した生命保険料に係る総回数で割ったものによって算出されます。前納した保険料とは、保険契約で定められた各払込期日ごとに、事前に保険会社に支払った金額のことを指し、もし保険の対象となる事故が発生し保険料の追加の支払いが不要になった際には、未使用分が返還されることになっています。したがって、あなたが支払った生命保険料が前納された保険料に該当する場合、その全額ではなく、上述の方法で計算された金額がその年の生命保険料控除の計算対象となります。

生命保険料に関する控除額の計算方法

Q.私は今年A保険会社に1万円、B保険会社に5万円の生命保険料を払い、A保険会社から2万円の剰余金を受けました。この場合、支払った生命保険料の合計は4万円にするのか、それともA保険会社の剰余金を考慮せず5万円にするのかどちらでしょうか?

A.生命保険料の控除額を計算する際、支払った生命保険料の合計額から受け取った剰余金の額を差し引く必要があります。これは、剰余金を受けたA保険会社の生命保険料がそれを上回る場合でも、B保険会社に対して支払った生命保険料からは剰余金を控除しなくてはならないとされています。そのため、A保険会社に1万円を支払い、2万円の剰余金を受け取り、B保険会社に5万円を支払ったあなたのケースでは、支払った生命保険料は合計6万円から受け取った剰余金の2万円を差し引いた4万円となり、これが生命保険料控除の計算基礎となります。

一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除

Q.一般生命保険料控除や個人年金保険料控除の控除額等の計算方法を教えてください。

A.一般生命保険料控除と個人年金保険料控除について、2012年1月1日以降に結ばれた保険や共済の契約に基づく支払いに対する控除の上限額は40,000円と設定されています。一方、2011年12月31日までに結ばれた契約による支払いに対する控除の上限額は50,000円です。これらの控除に加えて介護医療保険料控除を合わせた控除額の合計が120,000円を超える場合、総所得金額や退職所得金額、山林所得金額から差し引ける金額の上限は120,000円までとされます。改正前は保険契約の主契約の内容によって保険料控除が適用されていましたが、改正後は主契約や特約の内容に応じてそれぞれ一般生命保険料控除、個人年金保険控除、及び介護保険控除が適用されます。

計算方法については、2012年1月1日以降の契約では、年間支払保険料が20,000円以下の場合は全額、20,000円を超え40,000円以下の場合は支払保険料の半額に10,000円を加えた額、40,000円を超え80,000円以下の場合は支払保険料の四分の一に20,000円を加えた額、80,000円を超える場合は一律40,000円が控除額となります。2011年12月31日以前の契約では、計算方法が異なり、最大で50,000円の控除が受けられます。新旧の保険料を支払った場合、それぞれの計算方法に基づいた控除額の合計が40,000円を超えるときは40,000円が適用限度額となりますが、旧生命保険料のみを申告して5万円の控除を受けることも可能です。同様に、個人年金保険料の計算方法も示されており、新旧の保険料を支払っている場合の適用限度額などが説明されています。

介護医療保険料控除

Q. 介護医療保険料控除は、どのような契約が対象となりますか。

A. 介護医療保険料控除とは、社会保険の補完として生命保険や年金保険のいくつかに加え、新たに導入された控除です。この控除の対象となる契約は、「介護医療保険契約等」と呼ばれ、2012年1月1日以降に新しく結ばれた契約で、医療や介護に関連する給付を受け取る契約が含まれます。具体的には、医療費用がかかった際に支払われる保険や、介護費用、医療保障、介護保障、所得補償保険などが対象です。ただし、一般的な傷害保険や海外旅行保険は、医療費の支払いを主な目的としていないため、この控除の対象外になります。また、年間に払った保険料の合計に対する控除額は、支払った保険料が20,000円以下の場合は全額、20,000円を超え40,000円以下の場合は支払保険料の半分プラス10,000円、40,000円を超え80,000円以下の場合は支払保険料の4分の1プラス20,000円、80,000円を超える場合は一律40,000円となっています。

医師年金 と社会保険料控除

Q.医師年金は、社会保険料控除の対象となりますか。

A.社会保険料控除は、社会保障制度をサポートするため、前年に支払った社会保険料全額(割引を受けた場合は割引後の金額)を課税所得から差し引くことを目的としています。控除対象となる社会保険料は、所得税法第74条で具体的に挙げられています。あなたがお尋ねの医師年金に関する掛け金は、この法律条文に明示されていないため、社会保険料控除の対象外となります。

「2年前納」制度を利用して納付した国民年金保険料の控除

Q.「2年前納」制度を利用して国民年金保険料を納付した場合、納めた全額を社会保険料控除の対象としてよいか?

A.「2年前納」制度で納めた国民年金保険料については、基本的に特定の計算方法に基づいて社会保険料控除の対象額が決定されます。ただし、前納期間が1年以内、または特定の法令による前納が認められている場合は、納付した全額をその年の社会保険料控除の対象としても差し支えありません。国民年金は法律で2年前納が可能とされているので、納付した全額を控除対象とすることができますが、選択肢として、以下の2つの方法から選ぶことができます。

1. 納付した全額(378,580円)をその年の控除対象とする方法。

2. 令和5年分の保険料に相当する額(378,580円×9/24)を控除対象とする方法。

過年分を一括払いした国民年金保険料の控除

Q.過年分の国民年金保険料を一括して支払った場合、その全額を支払った年の社会保険料控除の対象として問題はないですか?

A.社会保険料控除では、自分自身や自分と生計を共にしている配偶者やその他の親族が支払うべき社会保険料を払った際、または給与から引かれた際に、その支払った金額や引かれた金額を控除対象とします。ただし、未払いの保険料は控除対象とはされません。お尋ねの国民年金保険料については、未払い分を一括で支払う場合、過去にさかのぼって控除はできませんが、実際に支払った年の社会保険料として全額(ただし、延滞金は除く)を控除できます。この社会保険料控除を受けるためには、支払ったことを示す書類を確定申告や年末調整の際に提出または提示する必要があります。なお、確定申告書を書面で提出する際に、電磁的方法で提供される控除証明書を付けることが可能で、その場合は真正性を保証するための措置が講じられているものである必要があります。

セルフメディケーション税制

Q.セルフメディケーション税制とはどんな制度ですか。

A.セルフメディケーション税制は、あなたやあなたの家族が健康の維持や病気の予防のために特定の健康増進活動に取り組んでいる場合、ドラッグストア等で購入した特定の医薬品の費用を所得税の計算から差し引くことができる特別な控除です。この制度は2017年から2028年まで適用されています。控除される額は、その年に購入した特定医薬品の費用から保険などで補填された金額を引いたものから12,000円を差し引いた金額ですが、最大で88,000円の控除を受けることができます。参加するには、保険者が行う健康診断や予防接種などの健康増進活動に取り組む必要があります。セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、参加した活動の内容やそれを行ったことを示す書類を確定申告書に添付して提出する必要があります。注意点として、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合、従来の医療費控除の適用は受けられなくなります。また、支出した医薬品の費用を証明する書類は、確定申告から5年間は保管しておく必要があり、税務署からの要求があれば提出することが求められます。

生計を一にしない父のために支出した医療費

Q.同居している父親が入院したときに、同居している長男だけでなく、それぞれ別に生計を営んでいる次男と三男も医療費を分担した場合、次男と三男も医療費控除の対象になるのでしょうか。

A.医療費控除は、本人または本人と一緒に生活を支え合っている家族のために支払った医療費についてのみ適用されます。したがって、質問の状況で次男や三男が支払った医療費は、彼らが父親と経済的に独立して生活しているため、医療費控除の対象外となります。ここで、「生計を一にする」ことは必ずしも同じ家に住んでいる必要はなく、日々の生活費を共有するなど、経済的に支え合っている状態を指します。ただし、ある特定の状況で医療費を支払っただけでは、この基準を満たしたとはみなされません。

医療費のお知らせに基づく医療費の計算

Q.令和5年中に入院し医療費を支払ったが、領収書が見当たらず、会社の健康保険組合から送られてきた「医療費のお知らせ」を確定申告に使用しても良いか?

A.はい、医療費控除を申請する際には、医療費を証明する書類が必要です。これには領収書や健康保険組合などから受け取る「医療費のお知らせ」などが含まれます。「医療費のお知らせ」には医療費に関する具体的な情報が記載されており、これを確定申告書に添付することで、医療費控除をうけられます。平成29年度以降、このような書類を添付することが義務づけられています。また、令和3年度分以降の確定申告で、令和4年1月1日以降に提出する場合には、さらに柔軟な提出方法が許可されており、例えば電子情報処理組織を使用する場合、関連する情報を直接入力し送信することで書類の提出を代替できます。必要な書類には、医療費の額、受けた治療の内容、治療を受けた人の名前、治療を行った病院やクリニックの名前などが含まれます。