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更正・決定と再調査の請求・審査請求

Q.更正・決定の処分の通知を受けた場合、その処分の内容について不服がある時はどうしたら良いですか?

A.処分に不服がある場合は、処分を知った日の翌日から3ヶ月以内に国税不服審判所長へ「審査請求」を行うか、処分を行った税務署長等へ「再調査の請求」をすることができます。不服申立てには、不服の内容や理由などを文書にして提出する必要があります。再調査の請求書には、処分の内容やそれを知った日、請求の趣旨や理由、請求日、請求者の氏名、住所、個人番号(またはそれに相当する情報)を記入する必要があります。更に、納税地が変わった場合には、現在の納税地を管轄する税務署長に再調査の請求を行い、その税務署または国税局の名称を請求書に記入することになっています。

青色申告者に対する更正

Q.税務署長が青色申告者に更正処分をする場合には、一定の手続上の条件がありますか?

A.税務署長が青色申告者の所得金額や純損失の金額を更正するには、特定の状況を除いて、その人の帳簿や書類を調査し、その結果、所得の計算に間違いがあった場合に限り更正することが可能です。更正不要な状況としては、以下の二点が挙げられます。第一に、不動産所得、事業所得、山林所得以外の所得の計算、損益通算、損失繰越控除の適用に間違いがあった場合、第二に、提出された確定申告書や添付書類から不動産所得、事業所得、山林所得の計算に明らかな誤りがある場合です。更正をする際には、更正の理由を含む通知書を出さなければなりませんが、これは具体的な理由が必要であり、特に青色申告者に対しては、確定申告書上の計算誤り、所得控除や税率適用の誤りがない限り、調査を経ずに更正処分はできません。さらに、更正理由の記述も、帳簿記録の保持状況に応じた内容を記載する必要があり、法律的に青色申告書に関する更正処分は慎重な手続きが求められるため、その記述内容は通常より厳しい基準が求められます。

更正・決定の除斥期間

Q.税務署長が更正・決定をすることができる期間には制限があると聞いていますが、それは何年間でしょうか。

A.税務署長が更正や決定を行うことができる期間には確かに制限が設けられています。この制限期間は主に、通常の場合5年、虚偽や不正の行為があった場合や国外への転出等に関連する譲渡所得の場合は7年と定められています。加算税の賦課決定についても、納税義務が生じた日から5年以内とされています。更に、更正の除斥期間の終了予定日の6ヶ月以内に提出された更正の請求や、3ヶ月以内に提出された納税申告書に基づく加算税の賦課決定については、それぞれ請求日や申告書提出日から6ヶ月、3ヶ月を経過する日を期限としています。起算日は一般に、法定申告期限の翌日からとされていますが、還付請求に関わる申告書の場合は提出日、その他の決定や更正は、納付すべき税額が確定した場合の法定申告期限の翌日から計算されます。

更正 と決定の相違

Q.税務署長の処分には更正と決定がありますが、どのように違いますか。また、これらの処分を受けた場合の相違するところを説明してください。

A.所得税においては、通常納税者が正しく申告し、その申告に基づいて税額が確定します。しかし、納税者の申告内容が税務署長の調査結果と異なる場合や申告をしていない場合には、税務署長は公平と正確さを担保するため、それぞれ税額を訂正するか、もしくは未納税額を決定することができます。税務署長が行うこのような処分は、申告があった場合に行う「更正」と、申告がなかった場合に行う「決定」と呼ばれます。

更正は、税務署長が納税申告書が提出された場合に行われる処分です。一方、決定は、納税申告書の提出義務があるにもかかわらず提出されていない場合に行われます。これらの処分にはいくつか重要な相違点があります。

一つ目の相違点は、加算税に関する処理です。更正の場合、過少申告した税額の10%が過少申告加算税として課されますが、決定の場合には15%が無申告加算税として課されます。また、税額等の計算基礎となる事実を隠していた場合の重加算税は、更正では35%、決定では40%が課されます。

二つ目の相違点は、税務署長が更正や決定を行うことができる期間です。通常、法定申告期限から5年以内(不正な行為があった場合は7年)に行われます。

新規開業と届出

Q. 新規に事業を始める場合は、どのような手続き(届出)が必要ですか。

A. 新しく事業を立ち上げる際には、いくつかの必要な手続きがあります。これらは主に以下の通りです:

1. 開廃業の届出:事業の開始、事業所の新設、移転、または閉鎖を届出ること。届出期限は、これらの事実が発生した日から1ヶ月以内です。

2. 青色申告の承認申請:青色申告を行うための承認を申請する。申請期限は、その年の3月15日までです。ただし、1月16日以降に事業を開始した場合、開始日から2ヶ月以内に申請する必要があります。

3. 青色事業専従者給与の届出:専従者の給与についての届出、またはその変更を行う。届出期限は、その年の3月15日までです。変更の場合は、変更後すぐに届け出る必要があります。1月16日以降に事業を開始した場合は、開始日から2ヶ月以内です。

4. 収入及び費用の帰属時期の特例の適用届出:小規模事業者が収入と費用の計算を簡単にするための現金主義の特例を受けるための届出。適用を受ける年の3月15日までに届け出ます。1月16日以後に事業を開始した場合は、開始日から2ヶ月以内に届け出る必要があります。

5. 棚卸資産の評価方法の選定届出、減価償却資産の償却方法の選定届出:事業開始時に棚卸資産や減価償却資産の評価や償却方法を選定し、これを届け出る必要があります。届出期限は、確定申告期限です。

6. 給与支払事務所等の開設届出:給与支払事務所の開設、移転、または閉鎖を届け出ること。届出期限は、事実が発生した日から1ヶ月以内です。

7. 源泉所得税の納期の特例の承認申請:従業員が10人未満の場合、源泉所得税を年2回まとめて納付できる制度の承認を申請します。承認の通知が届いた日から効力が生じ、その日以降の法定納期限より適用されます。

青色申告が取り消される場合

Q.私は青色申告の承認を受けていますが、どのような場合に、青色申告の承認が取り消されるのか説明してください。

A.青色申告の承認を受けるためには、税務署長への承認申請書の提出が必要です。しかし、承認を受けた後でも、例えば、法令に基づいて帳簿書類の記帳が適切に行われていない場合など、以下のケースでは税務署長によって承認が取り消される可能性があります。取り消しの対象期間は、その事実があった年分に遡って適用されます。

1. 不動産所得、事業所得、山林所得について、日々の取引を正確で、秩序があり、明確に記録し、税法が定める期間(通常は7年)保管すること。

2. 税務署長からの帳簿書類の備付け、記録、保管に関する指示に従わない場合。

3. 取引の一部または全部を意図的に記載から省略するか偽装する、または記載内容が真実ではないと疑われる理由がある場合。

青色申告の承認が取り消されると、取り消された年度以降は青色申告の便益を受けられなくなります。

相続人が提出する青色申告の承認申請書

Q.青色申告者が年の中途で死亡し、相続人が事業を引き継いで記帳もそのまま続けていく場合、相続人は改めて青色申告の承認申請書を提出しなければ青色申告は認められませんか。また、提出を要するとすれば、いつまでに提出すればよいのですか。

A.もし亡くなった方が途中で青色申告者だった場合、その事業を引き継いだ相続人が青色申告制度を利用し続けたいなら、新しく事業を始めたとみなされ、青色申告の承認申請書を提出する必要があります。この申請は事業を引き継いだ日から2ヶ月以内に行う必要があるのが通常です。しかし、相続の場合はいくつか特別なルールがあります。具体的には、相続が始まった日から4ヶ月以内に提出する必要があるほか、以下の期間が適用されます:

1. もし亡くなった人が1月1日から8月31日の間に亡くなっていたなら、死亡した日から4ヶ月以内が申請の期限です。

2. 9月1日から10月31日の間に亡くなった場合には、その年の12月31日までに申請しなければなりません。

3. そして、11月1日から12月31日の間に亡くなった場合は、翌年の2月15日が申請の期限とされています。

法人成立後に生じた不動産所得に対する青色申告の効力

Q.私はこれまで青色申告を行ってきましたが、今年5月31日に個人事業を廃業して法人を設立しました。私は個人で住宅を新築し、かつての自動車修理工場を法人に貸し、それぞれ6月1日から不動産収入が得られています。この場合、不動産所得を青色申告で報告するために、事業開始から2ヶ月以内に青色申告の承認申請を再度行う必要がありますか。

A.個人事業で青色申告の承認を受け、その事業を全部譲渡または廃止した場合、その年の終わりまで青色申告の効力は継続します。また、すでに事業所得、不動産所得、または山林所得のいずれかに対して青色申告の承認を受けている場合には、新たに異なる所得を得る事業を行っても、再度承認申請を行う必要はありません。したがって、お問い合わせのケースでは、新たに不動産所得に対して青色申告の承認申請をする必要はありません。ただし、廃業した年の翌年から新たに青色申告可能な所得を得る事業を始める場合は、その所得に対して青色申告を希望するならば、再度承認申請が必要となります。

相続人が提出する青色申告の承認申請書

Q.青色申告者が年の中途で死亡し、相続人が事業を引き継いで記帳もそのまま続けていく場合、相続人は改めて青色申告の承認申請書を提出しなければ青色申告は認められませんか。また、提出を要するとすれば、いつまでに提出すればよいのですか。

A.相続により事業を引き継いだ相続人が青色申告の恩恵を受けたい場合、これには事業の新たな開始とみなされて、事業開始の翌日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。ただし、相続が関わる場合は特殊で、相続が始まった日から4ヶ月以内に準確定申告が必要なことも踏まえると、被相続人の事業を引き継いだ場合、青色申告承認申請書の提出期限は相続開始の日から4か月以内、もしくはその他の条件を満たす早い日になります。詳細については以下の通りです:

1. 被相続人が1月1日から8月31日に亡くなった場合は、死亡日から4ヶ月以内。

2. 被相続人が9月1日から10月31日に亡くなった場合は、その年の12月31日が期限。

3. 被相続人が11月1日から12月31日に亡くなった場合は、翌年の2月15日が提出期限です。

年の中途開業の場合の青色申告の承認申請

Q.私は給与所得のほかに、5年前に相続した貸家について不動産所得があります。本年、5月に定年退職となりましたので、その退職金を元に8月1日から洋菓子店を開業しました。ところで、青色申告の承認申請書は、新たな業務を開始する場合には、開始した日から2か月以内に提出すればよいとのことですが、私の場合、9月30日までに青色申告承認申請書を提出すれば、本年分から青色申告書で確定申告できますか。

A.青色申告の承認申請のルールによれば、新たに業務を始めた人はその事業を開始した日から2か月以内に特定の「承認申請書」を税務署に提出する必要があります。しかし、不動産所得を得ている方が中途で新たな事業を始めた場合、この規則は該当しません。つまり、本年中に洋菓子店を開業したとしても、既に不動産所得があるため、開業年に青色申告を行うためにはその年の3月15日までに「承認申請書」を提出する必要があり、洋菓子店開業後2か月以内の提出では認められません。結論として、あなたの場合は翌年の3月15日までに承認申請書を提出し、洋菓子店を開業した翌年以降から青色申告が可能になります。