「所得税」カテゴリーアーカイブ

同居する70歳以上の者の扶養控除

Q.私は事業を営んでおり、妻を青色事業専従者とし、子供2人と母親を扶養親族として確定申告を行っています。母親がこの12月で70歳になりますが、70歳以上の扶養親族の控除額は増えると聞きました。これは本当ですか?また、母親は障害者ではありません。

A.はい、お聞きの通りです。扶養親族が70歳以上の場合、「老人扶養親族」と見なされ、扶養控除額が38万円から48万円に増額されます。さらに、その老人扶養親族が貴方や貴方の配偶者の直系尊属で、そして貴方達と同居している場合は、この48万円に10万円を加えた58万円を「同居老親等の扶養控除額」として控除できます。従って、あなたとお母様が一緒に住んでいる場合は58万円、そうでなければ48万円の控除を受けられます。同居しているかどうかや70歳以上であるかの判断はその年の12月31日の状況によって行いますが、年末年始だけの一時的な同居は「同居している」とは見なされません。

分離課税の土地建物等の譲渡所得のある親族

Q.令和5年中に母が所有する居宅を2,000万円で譲渡し、譲渡所得が1,800万円になりましたが、居住用財産の特別控除の適用を受けて譲渡所得はなくなりました。この場合、私(生計を一にしている)に対する扶養控除の適用が可能でしょうか?

A.扶養控除の対象になるためには、その年の合計所得金額が48万円以下である必要があります。合計所得金額には、総所得金額と分離課税の所得(譲渡所得や配当所得、山林所得など)の特別控除適用前の金額が含まれます。居住用財産を譲渡した場合でも、特別控除を適用する前の譲渡所得(この場合、1,800万円)で所得要件を見るため、お母さまの場合は扶養控除の対象外となります。ただし、総合課税の譲渡所得に適用される特別控除は除外後の金額で総所得金額を計算します。

株式に係る譲渡所得等の金額がある場合の合計所得金額についての質問

Q.株式の譲渡に係る譲渡所得と不動産所得の赤字がある場合、合計所得金額をどのように計算し、配偶者を控除対象とすることはできるか。

A.株式等の譲渡所得に関しては分離課税とされ、損益の通算の対象外です。つまり、他の所得から損失を控除することはできません。また、譲渡所得から生じる損失も計算上は考慮されません。控除対象配偶者の所得要件は合計所得金額が48万円以下の場合に該当しますが、このケースでは株式の譲渡所得だけで80万円となり、この条件を満たさないため、配偶者を控除対象とすることはできません。ただし、配偶者が青色申告者の場合、不動産所得に関する損失の繰越控除が可能です。注意点として、令和元年分以前では所得要件が48万円以下ではなく38万円以下でした。

少額配当の一部銘柄の申告と配偶者控除

Q.妻が受けた配当所得を全部申告した場合、合計所得金額が48万円を超えてしまい、配偶者控除の対象外となってしまいます。そこで、妻が一部の配当所得を申告から除外することで合計所得金額を48万円以下にすることは可能ですか?また、この方法は年1回決算の中間配当にも適用できますか?

A.はい、配偶者が受け取った少額の配当については、確定申告をするかどうかを選択することができます。この場合、妻が一部の配当所得を申告から除外することによって、その合計所得金額を48万円以下にすることが可能です。これにより、あなたは妻を控除対象配偶者として配偶者控除を受けることができます。ただし、あなたの合計所得金額が1,000万円以下であることが必要です。中間配当に関しても、その基準に該当する場合は同様に選択申告の適用が可能です。ただし、一度確定申告をした少額配当等に関しては、後から撤回や修正を行うことはできません。

事業主を事業専従者の控除対象配偶者とすることの可否

Q.私は工作機械の製造業を営む青色申告者ですが、得意先が倒産し、600万円の貸倒損失が生じ、青色申告特別控除後の事業所得は30万円になりました。このほかの所得はありません。妻には青色専従者給与として300万円を支給していますが、私が妻の控除対象配偶者として配偶者控除の適用を受けることは可能でしょうか?

A.控除対象配偶者の要件は、合計所得金額が1,000万円以下で、生計を一にする居住者の配偶者の中で、合計所得金額が48万円以下の人です。青色事業専従者や白色申告者の事業専従者が該当しません。しかし、貸倒損失などによって所得が減少した場合は、要件に該当すれば、事業主のあなたを配偶者の控除対象配偶者として認められる可能性があります。特に、青色申告特別控除後の事業所得30万円をもって、控除対象配偶者かどうかの判断が行われます。

主婦のパートタイムによるアルバイト

Q.パートタイムで働くことによる収入が夫の給与所得から配偶者控除を受けられなくするのか、また私の所得税の課税関係について説明してください。

A.配偶者控除や扶養控除は、年間の合計所得金額が48万円以下の場合に適用されます。これには、一般的な給与所得や分離課税所得、退職所得などが含まれます。あなたがパートタイムで得る給与所得が年間48万円以下の場合、配偶者控除の対象になり、あなたの夫はこの控除を自分の所得から引くことができます。給与所得が48万円に相当する年収はおよそ103万円です。したがって、あなたのパート収入が年間103万円以下であれば、あなたの夫は配偶者控除を受けることができます。また、あなたの合計所得金額が133万円以下であれば、配偶者特別控除が適用される場合があります。所得税については、あなたの給与収入が103万円を超えると配偶者控除は受けられませんが、所得税が課されるか否かは社会保険料控除や生命保険料控除、基礎控除など所得控除額が給与所得を超えるかどうかによります。基本的には、年間103万円以下の収入であれば所得税は課されないことになります。注意点として、過去の控除額は異なるため、該当する年度を確認する必要があります。

外国人女性と結婚した場合の控除対象配偶者の判定

Q. 甲が外国人女性と結婚し、婚姻届を市役所の戸籍係に提出しましたが、その外国人女性は日本に帰化が認められていないため戸籍は新たに作成されていません。この場合、他の要件を満たしていれば、甲はその女性を控除対象配偶者とすることができますか。

A. 日本に帰化していない外国人と結婚した際には、相手国の領事館で婚姻具備証明をもらい、その証明と婚姻届を市区町村長に提出することで、甲の戸籍に婚姻の記録が反映されます。これにより、法律上結婚が認められます。そのため、質問の外国人女性が所得などの他の条件を満たしている場合、甲はその女性を自分の控除対象配偶者として申告することができます。

亡父の青色事業専従者であった母を扶養親族とすることの可否

Q.私の母は、父の経営する事業に従事していましたが、父が死亡したため事業を廃止し、現在は私と一緒に生活しています。なお、令和5年の母の収入は青色事業専従者として支給された給与収入の60万円のみです。この場合、母を私の扶養親族とすることができるでしょうか。

A.青色事業専従者給与を受けている者や事業専従者控除の対象者は、基本的に他の家族の扶養控除の対象にはなりません。これは家族内で事業を営む者の事業専従者は、他の家族の扶養対象になれないという規定によるものです。しかし、これは事業主と生計を一にしている期間中の話で、例えば、家族が途中で専業主婦等になり、別の家族の生計に加わり、その年の合計所得金額が一定の基準以下であれば、扶養控除の対象になる可能性があります。お父さんが亡くなり、お母さんがあなたと生計を一にしている現状で、お母さんの所得が令和元年度以降では48万円以下なら、あなたの扶養親族に含めることができます。

死亡した妻の母を扶養している場合の扶養控除

Q.私は、妻の母を扶養しており扶養控除を受けていました。本年になって妻が死亡しましたが、その後も引き続いて妻の母を扶養しています。この場合、義母について扶養控除を受けることができますか。なお、義母には所得はありません。

A.扶養控除を受けられるかどうかは、扶養している家族が「扶養親族」として認められるかによります。日本の法律では、「扶養親族」に該当する家族は、血のつながりが6親等内、または婚姻によるつながりが3親等内の人と定められています。通常、離婚すると婚姻によってできた家族との法的な関係は終わりますが、もし配偶者が亡くなった場合は、生きている側の配偶者がその関係を法的に終わらせる手続きをしない限り、関係は続きます。ですので、あなたが亡くなった奥さんのお母さんとの関係を法的に終わらせる手続きをしていなければ、義母は引き続き「扶養親族」として扱われ、扶養控除を受けることが可能です。

離婚後養育費を送金している子の扶養控除

Q.私は、妻と協議離婚し、妻は長男を引き取り実家に帰りましたが、長男の養育費は私が負担することになっており、毎月送金しています。この場合、長男は私の扶養親族となりますか。なお、長男は現在18歳です。

A.扶養控除を受けるには、納税者とその人が「生計を一にしている」ことが必要です。この「生計を一にする」という条件は、同じ屋根の下で生活しているだけを意味するのではありません。例えば、勤務や学業、療養などで家族と離れて暮らしていても、休みの日などには家族と過ごす場合や、生活費や学費、医療費の支援をしている場合も含まれます。離婚後、あなたが元妻が引き取った長男の養育費の大部分を負担し続けているのであれば、あなたと長男は生計を一にしていると見なされます。そのため、長男はあなたの扶養親族に該当することになります。ただし、扶養控除はあなたか元妻のどちらか一方だけが受けられます。