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事業者向け電気通信利用役務の内外判定基準

Q.「事業者向け電気通信利用役務の提供」に係る内外判定基準について教えてください。

A.国内の事業者が国外事業所で受ける電気通信利用役務で、そのサービスが海外での資産譲渡等にのみ必要な場合、これは国外取引と見なされます。一方、国外の事業者が国内で恒久的施設を介して受ける電気通信利用役務で、そのサービスが国内での資産譲渡等に必要な場合、これは国内取引と見なされます。

参考:法4④

免税事業者からの特定課税仕入れに関する申告義務

Q.当社は、簡易課税制度を適用しておらず、課税売上割合が95%未満です。国外の免税事業者からインターネット広告配信のサービスを利用しましたが、このサービスについてリバースチャージ方式で申告する必要がありますか?

A.はい、必要があります。国外の事業者から事業者向けに提供される電気通信利用役務に関しては、特定課税仕入れとして納税義務が国内の事業者に課されており、リバースチャージ方式で消費税の申告を行う必要があります。特定課税仕入れとは、事業者が他の者から提供される事業者向け電気通信利用役務のことを指します。提供者が免税事業者であっても、提供されるサービスが事業者向け電気通信利用役務に該当する場合、特定課税仕入れとして納税義務があります。したがって、簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合が95%未満の場合はリバースチャージ方式による申告が必要です。

参考:法4①、5①、基通5-8-1

特定課税仕入れがある場合の納税義務の判定

Q.国内に本店を持つ法人が、国外事業者から「特定課税仕入れ」である「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受け、特定課税仕入れに関する支払対価の額を課税標準として申告した場合、翌々課税期間の納税義務の判定において、その支払対価の額は課税売上高に含まれるのでしょうか?

A.納税義務の判定は、事業者が行った課税資産の譲渡等の対価から計算した「課税売上高」によって判定されます。「特定課税仕入れ」は事業者の仕入れに該当し、課税資産の譲渡等ではないため、特定課税仕入れに関する支払対価の額は、消費税の申告・納税を行っていたとしても、納税義務の判定や簡易課税制度が適用されるか否かの判定における課税売上高には含まれません。

参考:法9①、基通1-4-2(注)4

事業者向け電気通信利用役務の提供のみを行っている場合の登録の可否

Q.「事業者向け電気通信利用役務の提供」のみを行っている事業者ですが、「登録国外事業者」の登録はできますか。

A.「登録国外事業者」の登録は、国内で消費者に対して電気通信利用役務を提供するか、提供する予定のある事業者に限定されています。そのため、事業者向け電気通信利用役務の提供のみを行っており、消費者向けの提供予定がない事業者は登録が不可能です。また、登録国外事業者制度は、インボイス制度の開始に伴い、令和5年10月1日に廃止される予定です。

参考:平27改法附38①、39①、平28改法附45

登録国外事業者の発行する請求書等への記載事項

Q.「登録国外事業者」が作成する請求書等に記載すべき事項は何ですか?

A.「登録国外事業者」が発行する請求書等には、以下の事項が記載されている必要があります。

– 書類を作成した人物または組織の名前や登録番号

– 課税資産の譲渡等が行われた日付(一定期間内に課税資産の譲渡等がまとめて行われる場合は、その期間)

– 課税資産の譲渡等に関連する資産やサービスの内容

– 課税資産の譲渡等による対価の金額(消費税額及び地方消費税額に相当する金額が含まれる場合は、その額も含める)

– 書類の受取人(事業者)の名前や組織名

– 課税資産の譲渡等を行った際に税金を納める必要がある旨

参考:平27改 法附38① ~④、平27改 規附2①、平28改法附45

登録国外事業者の取消等

Q.「登録国外事業者」としての登録をやめる手続について教えてください。

A.「登録国外事業者」が登録を取り消すためには、「登録国外事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(第38号様式)を納税地を管理する税務署長を通じて国税庁長官に提出します。提出した課税期間の終わりの日の翌日から、登録の効力がなくなります。ただし、届出書を課税期間の終わりの日から遡って30日以内に提出した場合、提出した次の次の課税期間の初日から登録の効力がなくなります。国税庁長官は、特定の条件に当てはまる場合に登録を取消すことができます。これらの条件には、国外事業者でなくなったこと、消費税関連の事務所等が国内にないこと、申告期限までに消費税に関する税務代理権限証書が提出されていないこと、納税管理人が定められていないこと、消費税に関して正当な理由なく期限内に申告書が提出されていないこと、国税の滞納があり徴収が困難であること、虚偽の請求書等を交付したことなどが含まれます。また、登録国外事業者制度は、「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)の開始に伴い、令和5年10月1日に廃止される予定です。

参考:平成27年改正法附39⑥⑪、平成28年法附45

登録国外事業者になるための要件等

Q. 「登録国外事業者」の登録を受けるには、どのような要件を満たしておく必要がありますか。

A.「登録国外事業者」として登録を受けるためには、以下のどちらかの条件を満たす必要があります。1) 日本国内に事業所またはそれに相当する場所があること。2) 消費税の税務に関する代理権限を持つ税務代理人がいること。どちらの条件を満たす場合でも、税務管理人を指定しておくことが必要で、税務代理人がこの役割を兼ねることも可能です。ただし、国税の滞納があるなどの特定の事由により登録を受けることができない事業者もあります。「登録国外事業者」として登録された場合、免税点制度の適用を受けることはできません。この制度は、令和5年10月1日に廃止されます。

参考:平27改 法附39⑤⑩、平28改 法附45

登録番号の記載のない請求書等

Q.国外事業者から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」の請求書に登録番号が記載されていない場合、仕入税額控除は可能ですか?

A.国外事業者から提供された「消費者向け電気通信利用役務の提供」に関して仕入税額控除を受けるためには、提供者が「登録国外事業者」であること、及び法令で定められた事項が記載された請求書の保持が必要です。登録番号もこれらの必要事項に含まれるため、請求書に登録番号が記載されていない場合は、登録番号を含めた全ての必要事項が記載された請求書の再交付を求め、それを保存する必要があります。登録国外事業者は、要求があれば請求書を交付する義務があるので、記載漏れがあった場合は修正された請求書の交付を要求することが可能です。また、登録国外事業者制度は令和5年10月1日からは廃止されます。

参考:平27改法附38、平28改法附45

登録日以前の消費者向け電気通信利用役務の提供の仕入税額控除

Q.インターネットで確認したところ、相手事業者が「登録国外事業者」であることを確認できました。登録年月日以前にも同じ国外事業者から役務の提供を受けていますが、遡って仕入税額控除は可能ですか?

A.仕入税額控除を行うことはできません。国内で課税される仕入れの中で、国外事業者から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」は、その事業者が「登録国外事業者」として登録された後に提供されたもののみが仕入税額控除の対象となります。従って、登録される日の前に受けた同様の役務は、仕入税額控除の対象外です。また、登録国外事業者制度は、インボイス制度の開始により令和5年10月1日に廃止されます。

参考:平27改法附38① 、平28改法附45

登録国外事業者の確認方法

Q.取引先が「登録国外事業者」であるかどのように確認すればよいですか。

A.「登録国外事業者」の確認方法としては、国税庁ホームページで公開されている情報を確認してください。ここには、事業者の氏名や名称、登録番号、登録年月日などが公表されています。さらに、登録国外事業者から提供された「消費者向け電気通信利用役務」に関して仕入税額控除を行う場合、請求書等には事業者の氏名や名称のほか、登録番号やその事業者が納税義務者であることが記載されている必要があります。また、登録国外事業者には、これらの請求書等を発行する義務があるため、請求書も確認してください。登録国外事業者制度は、インボイス制度の導入により、2023年10月1日に廃止される予定です。

参考:平27改法附38④ 、平28改法附45