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災害死亡保険金の課税について

Q.事故に遭い、亡くなった息子に関して、災害死亡保険金として受け取った3,000万円は非課税所得となるでしょうか?被保険者は息子で、私が保険料を支払い、保険金を受け取りました。

A.受け取った災害死亡保険金は、一時所得として課税されます。所得税法では、非課税とされる保険金は、身体の障害や疾病に基づいて支払われるものに限られます。本件では、息子の死亡が事故によるものであるため、受け取った保険金は死亡診断書に基づく死亡保険金と見なされ、非課税所得ではありません。

参考:所得税法上非課税とされる傷害保険金等は、身体の障害又は疾病を基因として支払われるもの及び疾病により高度障害の状態になったことなどに基因して支払われるものをいうこととされています (所令30、 基通9-21)。

従業員の相続人が受け取った死亡保険金の課税関係

Q.従業員の相続人が受け取った死亡保険金に関する課税関係はどうなりますか?

A.雇用主が従業員のために加入していた生命保険の保険料は、従業員が経済的利益として受け取るものとみなされます。このため、雇用主が支払った保険料による利益(掛け捨て保険料を除く)は従業員に対する現物給与として扱われ、保険金に関しては従業員が自身で保険料を支払ったものとして処理されます。従って、従業員(夫)が亡くなりその相続人(妻)が受け取った生命保険金は、みなし相続財産として相続税が課税されますが、所得税は課税されません。また、雇用主が福利厚生費として計上した掛け捨て保険料による保険金でも同様で、相続税は課されますが所得税は課税されません。さらに、従業員が満期保険金を受け取る場合、それは一時所得として扱われ、雇用主が支払った保険料については給与として課税された分が控除されます。

参考:相法3①一、相基通3-17、所法9①十七、基通34-4

ベビーシッター利用の補助金の課税関係

Q.自宅でベビーシッターのサービスを利用し、その費用に充てるため地方公共団体から補助金を受給しました。この補助金に対する税金の取り扱いはどうなりますか?

A.国や地方公共団体が保育や子育て支援のために提供する補助金は、所得税の対象になりません。これには、自宅などでのベビーシッターサービス利用費用を補助するための金品も含まれます。したがって、あなたが受給した補助金は非課税となります。これは、令和3年以降の所得税に適用される制度です。

参考:

– 所得税法第9条1項第16号、所得税法施行規則第3の2

– 令和3年改正所得税法等附則第2

学資金の取り扱い

Q.学資金の取り扱いについて教えてください。

A.学資金として受け取る金品で非課税となるのは、給与などの対価の性質を持たないものです。しかし、2016年4月1日以降、特定の条件を満たす場合に限り、給与の一部として受け取る学資金も非課税とすることができます。これには次のケースが含まれますが、それ以外のケースでは課税対象外とはなりません:

1. 法人が役員に対して、

2. 法人が特別な関係のある使用人に対して、

3. 個人事業主が親族に対して、

4. 個人事業主が特別な関係のある使用人に対して、

学資金を給付する場合です。

新型コロナウイルスの影響に関する特別な学資金支援については以下の通りです:

1. 学費目的の支援金は非課税です。

2. 生活費支援金は、年間合計が50万円を超えなければ非課税です。

3. 感染者への見舞金も非課税です。

4. 遠隔授業用機器の提供も非課税です。

非課税所得の分類

Q.所得税のかからない非課税所得の分類整理はどのように行われますか?

A.所得税では、原則としてすべての所得が課税対象となりますが、社会政策や技術的な理由、国民感情などにより課税の対象外とすべき所得があり、これらは非課税所得として課税から除外されます。非課税所得は所得税法だけでなく、他の法令にも規定されており、その理由も多岐にわたります。これらは以下のように分類されます:

1. 預金利子などの少額の受け取り

2. 給与所得者が受ける経済的利益

3. 担税力の乏しい所得

4. 社会政策上の配慮に基づくもの

5. 公社債等の譲渡による所得

6. その他特定の条件に該当する収入

参考:

– 年1%を超えない当座預金の利子

– 学資給付金

– 失業給付

– 生活保護給付

– 公社債等投資信託の収益分配

– 文化功労者年金

– 児童手当

納税管理人を定めた場合の納税地

Q.海外に勤務することとなった個人Aが、その直前まで居住していた家屋の処分を友人Bに依頼し、その譲渡所得の申告に関して友人Bを納税管理人に指定しました。この場合の確定申告書の提出先はAの従前の住所地の所轄税務署ですか、それともBの現在の住所地の所轄税務署ですか。

A.納税管理人の届出が受理された場合、税務署が発行する所得税関連の書類は納税管理人(Bの場合)の住所または居所に送付され、納税管理人が申告や納税の手続きを代行します。しかし、これによって納税地が納税管理人(B)の住所または居所に変わるわけではありません。従前の住所地とBの住所地の所轄税務署が異なる場合、従前の住所地の所轄税務署が確定申告書の提出先(納税地)になります。

参考:

国内に住所や居所、事業所を持たなくなった個人の納税地は以下の順に定められます。

1. 直前に納税地とされていた場所にその個人の親族等が引き続き居住している場合、その場所。

2. 1に該当しないけれども、不動産またはそれに関する権利の貸し付けから収入がある場合、その不動産等の所在地。

3. 1と2に該当しない場合、直前の納税地。

また、納税管理人の届出書の提出先は納税者Aの従前の住所地の所轄税務署長とされています。

死亡した者の納税地

Q.死亡した者(被相続人)の確定申告書は、相続人の代表者の納税地に提出してもいいですか?

A.死亡した者(被相続人)の所得税の確定申告書は、基本的に相続人全員の署名が必要で、死亡時の納税地にある管轄する税務署長に提出する必要があります。確定申告書の付表には、相続人全員や相続を放棄していない包括受遺者の住所、氏名、代表者の氏名及び相続分、相続財産の価値等を記載する必要があります。

参考:所法16③、所令263②、所規49

事業開始と納税地

Q.市内で新規に個人事業を開始しました。住所は郊外にあり、住所地と事業所の所在地の所轄税務署はそれぞれ異なっています。この場合、事業所の所在地を所轄する税務署で申告等の手続きを行うことは可能ですか。

A.所得税の申告は、納税者の納税地を所轄する税務署で行います。納税地とは、納税者が申告、申請、届出、納税などをする基準となる場所、または税務署が更正、決定、却下などの処分を行う場合の所轄を定める基準となる場所です。納税地の定め方は以下の通りです。1) 国内に住所がある場合はその住所地が納税地になりますが、住所とは別に居所もある場合は、住所地に代わり居所地を納税地とすることができます。2) 国内に住所がなく、居所のみがある場合はその居所地が納税地になります。3) 国内に住所または居所があり、それ以外の場所に事業場等がある場合は、住所地または居所地に代わり事業場等の所在地を納税地とすることができます。あなたの場合、国内に住所と事業場を持っているため、事業所の所在地を納税地とすることが可能です。

法人の納税義務

Q.所得税は、個人だけでなく、法人も納税義務者になる場合があると聞いていますが、それはどのような場合でしょうか。

A.所得税は基本的に個人の納税義務とされていますが、源泉徴収の制度を効率的に運用するため、法人にも所得税の納税義務が課されることがあります。この際、法人が前払いとして納付した所得税は、その後の法人税計算時に控除可能です。また、日本国内で事業を行っていない外国法人は、法人税ではなく所得税の源泉徴収のみで税務が完了します。国内に本部を持つ法人(内国法人)と本部のない法人(外国法人)、さらには法人格のない社団等についても所得税の納税義務があり、それぞれ納税の対象となる所得が定められています。

参考:5④、7①五

納税義務者の区分

Q.所得税は、年齢、性別、国籍のいかんを問わず、日本に住 んでいる人であれば、すべて納税の義務があると聞いていますが、そ の仕組みはどのようになっているのですか。

A. 所得税の課税関係を定めている所得税法の施行地は日本国内とされ ています。このことは、日本国内で生活している個人であれば、国籍のい かんを問わず、所得税法の適用を受け、反対に、たとえ日本国籍を有する 個人であっても、外国で生活している場合には、原則 として、所得税法の 適用を受けないことを意味しています。 しかしながら、外国で生活しながら日本国内において所有する資産から 収益を得たり、日本国内において経済活動を行うこともあります。そこで、 日本国内で生活していない場合でも、その所得の源泉が日本国内にあれば、 所得税を課すこととされています。 このように、人、物、取引などと、日本国内との一定の結びつきにより 納税義務の範囲が決まり、その範囲内において納税義務を負う人を納税義 務者ということができます。 この納税義務者は、所得税法上、次のように分類され、その分類ごとに 所得税の課税を受ける範囲が定められています。 (1)非永住者以外の居住者 国内に住所を有 し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個 人を「居住者」といいます (所法2①三)。 居住者は、(2)の 非永住者に該当しない限り、国内国外を問わず、そ の経済活動から生ずる所得のすべてについて納税義務を負うものとされ -3- 第 2章 納税義務者 ています (所法5①、7①一)。 このように、居住者は納税義務の範囲に全 く制限がないところから、 一般に「無制限納税義務者」ともいわれています。 (2)非永住者 居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年 以内にお いて国内に住所又は居所を有 していた期間の合計が5年以下である個人 を「非永住者」といいます (所法2①四)。 非永住者は、国外源泉所得以外の所得及び国外源泉所得で国内におい て支払われ、又は国外から送金されたものについて納税義務を負うもの とされています (所 法7①二)。 (3)非居住者 国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて居所を有する期間が 1年 未満である個人を「非居住者」といいます (所法2①五)。 非居住者は、国内に源泉がある所得を有するときのほか、その引受け を行 う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得の支払を 国内において受ける場合又は当該信託財産に帰せられる外国法人課税所 得の支払を国内において受ける場合に納税義務を負うものとされていま す (所法5②、7①三)。 このように、納税義務を負うべき所得の範囲に一定の制限が設けられ ている非居住者及び非永住者は、一般に「制限納税義務者」ともいわれ ています。