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個人への助成金の税務処理について

Q.国や地方公共団体から個人に支給される助成金は所得税の課税対象になりますか?

A.国や地方公共団体からの助成金に関しては、その具体的な内容によって、課税されるか非課税かが異なります。非課税となる助成金の例としては、特定の法律に基づいて非課税所得とされるもの、学資や災害見舞金などがあります。一方、課税される助成金は、事業所得、一時所得、雑所得に区分され、それぞれの所得に応じた税務処理が必要になります。特定の条件下では、支給された助成金が全額課税対象外となる場合もあります。

参考:

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金、特別定額給付金などは非課税。

・事業復活支援金や持続化給付金は、受取者の状況により、事業所得、一時所得、雑所得のいずれかとして課税。

・雇用保険の失業等給付や生活保護金品は非課税。

Q.相続、遺贈または贈与によって得た年金受給権に関連する生命保険契約や損害保険契約などに基づく年金の雑所得の計算方法は何ですか?

A.相続、遺贈、または贈与によって取得した年金受給権に関連する生命保険契約や損害保険契約などに基づく年金の雑所得の計算は、課税される部分と課税されない部分に分けて行います。年金が支給される最初の年は全額が非課税とされ、2年目以降は課税される部分が徐々に増加するステップ方式で計算されます。例えば、ある人が毎年200万円の年金をA生命保険会社から受け取る場合、平成26年度から令和5年度までの雑所得の計算は、特定の方法に従って計算されます。年金の受取額を変更した場合の雑所得の計算も、この特定の方法に基づきます。

参考:

– 相続人等の年金受給開始年

– 相続人等の年金の残存期間

– 相続人等の年金支払総額

– 年金支払総額に占める掛金等の総額割合

相続等による生命保険契約に基づく年金について

Q.夫が亡くなり、彼が加入していた個人年金保険を受け取っています。相続によって受け取る年金の所得税について非課税と聞きましたが、その制度について簡単に教えてください。

A.相続や遺贈、贈与により得た年金受給権に関連する生命保険契約や損害保険契約に基づく年金受け取りは、所得税計算において課税部分と非課税部分に分けて考慮されます。具体的には、初年度は全額非課税で、2年目からは課税部分が段階的に増加して所得税の対象となります。所得税対象となる金額は、年金収入から支払った保険料や掛金を差し引いた金額です。対象者は、相続税対象となる保険契約に基づき年金を受給している方で、具体的には死亡保険金を年金形式で受け取る方や、学資保険契約者が亡くなり養育年金を受け取る方、個人年金保険契約に基づく年金を受け取る方が対象となります。また、年金受給開始前に一時金で受け取った場合も所得税は非課税となります。

参考:

– 支給期間10年での課税・非課税の振り分け比率: 課税部分は40%。

– 課税部分と非課税部分の算定方法。

– 年金受給開始初年度全額非課税、2年目から階段状に増加。

– 支払保険料総額による必要経費計算の例示。

相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の雑所得の計算方法

相続等により取得した年金受給権

Q.亡くなった夫から年金を相続しましたが、この場合の課税関係について教えてください。

A.相続した年金の種類によっては、相続税の課税対象になることがあります。主には、亡くなった方が在職中に死亡し死亡退職金として支払われる年金や、個人年金保険から死亡に伴い遺族が受け取る年金が該当します。これらは相続税の課税対象となり得ます。また、亡くなった人が生前に受け取っていなかった年金を遺族が請求し受給する場合は、一時所得や雑所得となることもありますが、相続税の対象となった部分に関しては所得税は非課税です。厚生年金や国民年金など、遺族年金は原則として所得税及び相続税が非課税です。

参考:

– 相続税法第3条第1項二項、同法施行令第1の3五項

– 相続税法第3条第1項五項

– 所得税法第34条、所得税基本通達34-2

– 所得税法第9条第1項三項、所得税基本通達9-2、相続税基本通達3-46

日照の妨害に基づく補償金の課税について

Q.自宅の南隣に建設された高層マンションにより、冬至の日照時間が約3時間に減少しました。これにより家の損害や光熱費が増加し、マンションの所有者と交渉した結果、80万円の補償金を受け取りました。この補償金には課税されないと聞いたのですが、本当でしょうか?

A.日照権の侵害による損害や補償金に関する課税問題は、特定のケースに基づいた判断が必要です。不法行為による個人への損害賠償金や慰謝料は、一定の条件で所得税の対象外となります。具体的には、心身の損害や、突発的事故による資産の損害に対する賠償金、相当の損害賠償金などです。あなたのケースでは、日照時間が減少し、光熱費増加などの問題があり、移転以外に対策がなく、住宅地域に位置するなどの事情から、受け取った補償金は非課税扱いが受けられる可能性が高いと考えられます。ただし、補償金が事業収益減少などの補償であった場合は課税の対象となることがあります。

参考:

– 心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金

– 不法行為その他突発的事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金

– 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金

借家人が支払った火災保険からの保険金と課税

Q.私は無償で父の所有する建物に住んでおり、父の承諾を得て火災保険を結びました。その後、台所からの火事で建物が全焼し、保険金2,000万円を受け取りました。この保険金に対する課税はどうなりますか?また、この保険金で私名義の建物を新築する計画です。

A.この場合、受け取った保険金は建物の所有者であるあなたの父に帰属します。火災保険の場合、保険金は資産の所有者に支払われると決まっています。したがって、受け取るべきはあなたの父です。所得税法では、資産の損害で受け取った保険金は非課税ですから、あなたの父が受け取ったこの保険金に税金はかかりません。しかし、もしこの保険金であなた名義の建物を新築する場合、2,000万円があなたへの贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

参考:所得税法第9条1項第18号、所得税基本通達30-2

所得補償保険契約に基づく保険金の取り扱い

Q.虫垂炎の手術で業務を1ヶ月休息し、所得補償保険契約に基づき保険金を受け取りました。この保険金は事業所得に含まれるのでしょうか?

A.所得補償保険は、疾病や傷害で仕事ができなくなった場合に、その期間に応じて計算された保険金を支払う契約です。この保険金は疾病や傷害に基づいて支払われるため、非課税所得とされ、事業所得に加える必要はありません。ただし、保険料については、事業主が被保険者であるため、事業の必要経費とは認められず、事業所得の計算には含められません。

参考:

– 非課税所得:所令30、基通9-22

– 必要経費に算入できない:所法37①、基通9-22(注)

親族が受領した傷害保険金の課税関係

Q.妻が交通事故に遭い、入院しました。私は妻を被保険者とする傷害特約付き生命保険の契約をしており、その入院給付金を受け取りました。この入院給付金の課税について教えてください。保険料は私が負担しています。

A.傷害により支払われる損害保険金や給付金は、本人が受ける場合は非課税です。しかし、受け取る人と傷害を受けた人が異なる場合、通常は非課税ではありません。ですが、世帯主が家族を被保険者とする保険で、その家族が受ける保険金であれば、家族間で受け取り手が異なっても非課税とされます。この場合、妻が傷害を受け、夫が保険金を受け取るので、この入院給付金は非課税となります。ただし、この保険金を医療費控除の対象としたい場合は、支払った医療費から保険金額を差し引く必要があります。

参考:所令30-, 基通9-20, 所法73①, 基通73-8

交通事故による損害賠償金と所得税

Q. 歩行中に自動車に追突された際、治療費や休職期間中の給料相当の金銭を受け取りました。また、損害保険からの傷害保険金も受け取りましたが、これらに所得税はかかるのでしょうか?

A. 受け取った損害賠償金、つまり治療費と休職期間中の給料相当の金銭、および損害保険からの傷害保険金には所得税は課税されません。これは、身体や心への損害に対して支払われる慰謝料や損害賠償金が非課税対象となっているからです。ただし、休職期間中でも勤務先から給料が支払われている場合、その給料は課税対象になります。

参考:所法9①十八、所令30-, 所令94①二

死亡後に確定した賞与

Q.夫が亡くなった後にA社から給与、年末賞与、退職金が支払われましたが、これらは亡夫の準確定申告に含める必要がありますか?

A.夫が亡くなった後に支払われた給与や賞与、退職金の税務処理は複雑です。給与については夫が亡くなる前に支払期日があったため、その部分は所得税の対象となりますが、年末賞与と退職金に関しては、夫の死亡後に支払われたため相続財産とみなされ、所得税の対象にはなりません。具体的には、11月分の給与は夫の所得として準確定申告に含める必要があります。しかし、年末賞与と退職金は夫の死後に支払われたので、相続税の対象になり、所得税からは非課税とされています。なお、死亡後3年以内に確定した退職手当などは相続財産とされ、所得税は非課税です。

参考:

– 所得税法 第9条第1項十七、基本通達9-17

– 基本通達36-9

– 相続税基本通達3-32

– 相続税法第3条第1項二

– 基本通達34-2