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中小企業倒産防止共済契約の解約手当金

Q.中小企業倒産防止共済契約に関連する掛金を納付していたが、契約を解約し解約手当金を受け取った場合、その手当金は一時所得となるのでしょうか。

A.中小企業倒産防止共済制度は、中小企業者が互いに支え合い、取引先の倒産による影響を最小限に抑えるためのものです。この制度に基づいて納付された掛金は、事業所得の計算上、必要経費として認められています。共済契約を解約し受け取った解約手当金は、長期にわたって納付された掛金に基づくものであり、一時所得ではなく、事業所得の総収入金額に算入されるべきです。

参考:

– 中小企業倒産防止共済法第2条第2項

– 措法28①二、措通28-2

譲渡所得の基因となる資産

Q.私は30年前からある私鉄の高架下で洋服店を開業していますが、この度、老齢であるため店舗を売却して郷里へ帰りたいと思っています。この店舗の建物自体は老朽化してほとんど価値がありませんが、高架下使用権があるため総額5,000万円で売却できる見込みです。店舗の売却代金については、譲渡所得として所得税が課税されると思いますが、高架下使用権についても課税されるのでしょうか。なお、賃借料は、約20年ぐらい前からその私鉄に直接支払っています。

A.はい、高架下使用権も譲渡所得の基因となる資産に含まれますので、譲渡所得として所得税が課税されます。賃借料を支払っていた高架下を利用する権利は、土地の賃借権と見なされますので、その権利を売却することによって得られる代金も所得税の課税対象になります。

参考:所得税法では、事業所得の基因となる棚卸資産、雑所得の基因となる棚卸資産に準ずる資産、山林所得の基因となる立木、および金銭債権を除く一切の資産が譲渡所得の基因となる資産として定義されています。

特定求職者雇用開発助成金とその計上時期

Q.雇用保険法に基づく「特定求職者雇用開発助成金」は、総収入金額に算入する必要がありますか?また、その計上時期はいつですか?

A.はい、「特定求職者雇用開発助成金」は総収入金額に算入する必要があります。この助成金は、高年齢者や障害者など就職が困難な者を雇用した場合に、補償金として事業主に支給されます。したがって、これは経費補償金として事業所得の計算における必要経費の補填に用いられます。この助成金の総収入金額への計上時期は、助成金の原因となる賃金を支払った年度で、その年の12月31日までに支給を受けるべき金額が確定していない場合は、見積もりによってその年度に計上しなければなりません。

参考:雇用保険法第62条、基通36・37共-49、基通36・37共-48

労働施策総合推進法による職業転換給付金の課税について

Q.労働施策総合推進法に基づいた職業転換給付金について、その補助金は非課税所得になりますか?

A.労働施策総合推進法によれば、中高年齢者などの所定の求職者を雇用する事業主に対して職業転換給付金が支給される事が規定されています。この給付金について、労働者が受ける部分は非課税ですが、事業主が受ける給付金は課税対象となります。事業主に対する給付金は事業所得として扱われ、総収入金額に算入されることになります。

参考:

– 労働施策総合推進法第18条

– 労働施策総合推進法第22条「公課の禁止」

公共事業により受けた収益補償金の税務処理

Q.都市計画事業によって店舗と敷地が買取られ、補償金を受け取りました。この補償金には敷地の買取補償金、建物の移転補償金、事業休止期間中の収益補償金、事業休止期間中の経費補償金が含まれています。補償金の中で、どのような税務上の特例がありますか?

A.公共事業に伴う補償金の取り扱いにはいくつかの税務上の特例があります。まず、都市計画事業による買取りに該当する場合、敷地の買取補償金および移転補償金は、建物を取り壊すことによって譲渡所得として扱い、5,000万円の特別控除を受けることができます。次に、収益補償金および経費補償金は原則として事業所得の収入金額に算入されますが、課税上の特例として以下があります。

1. 収益補償金が建物の再取得価額に満たない場合、その差額を対価補償金として譲渡所得に加えることができます。

2. 収益補償金の一部を課税延期の対象とし、立ち退く予定の翌年分の事業所得に算入することが可能です。

3. 経費補償金については、収用等から一定期間を経過する日までに交付目的に従って支出する部分の金額を、交付の目的に従って支出する日の属する年分の総収入金額に算入したい場合、その取り扱いが認められます。

これらの特例を利用するためには、所定の手続きが必要ですので、詳細は税務署または税理士にご相談ください。

参考:

– 収益補償金名義で交付を受けた補償金のうち、再取得価額に満たない金額を対価補償金として扱う事例

– 収益補償金の課税延期

– 経費補償金の課税延期

有料駐車場の所得

Q.私が所有する土地を有料駐車場として開業しようと考えています。料金は使用時間や車の大きさに応じて変わりますが、月極の契約も行います。この有料駐車場から得た所得はすべて事業所得になりますか?

A.有料駐車場から得られる所得は、土地の単なる貸し付けではなく、駐車場としての管理やサービスを提供している場合、事業所得に該当します。具体的には、駐車された車両の全面的な管理責任を負う場合、例えば車両の破損や盗難等の事故に対する保障がある場合は、事業所得と見なされます。管理者を配置し、車両の出入りを管理するなど、有料駐車場としての運営が行われている場合は、通常は事業所得として課税されます。したがって、料金が月極であってもそれが地代収入のように見えたとしても、不動産所得ではなく、事業所得として扱われます。

参考:基通27-2

工事用車両の通行を承諾した謝礼金

Q.郊外に工場を建設し、製造業を営む青色申告者として、隣地の工事用車両の通行を私の工場敷地内の私道を通ることを承諾し、隣地の地主から200万円の支払いを受けました。この謝礼金は対価性のない一時所得として申告してもいいでしょうか。

A.あなたが所有する道路を他人が使用するための承諾によって受け取った200万円は、その道路を使用させる対価として考えられます。したがって、この金額は土地または土地の定着物である道路を使用させたことによる不動産所得となります。さらに、使用させる期間が3年以上であれば、特定の条件を満たすことで平均課税が適用される可能性があります。

参考:所法26①, 所 令8二

供託された家賃と不動産所得

Q.家賃の値上げを巡る争いが解決し、家賃が供託された場合、その家賃は不動産所得に含まれますか?

A.はい、含まれます。不動産の貸し出しから得た所得については、年間の総収入から必要経費を引いた金額が不動産所得として計算されます。家賃の値上げに関する争いがあった場合でも、争いがない部分とされる供託された家賃(例えば35,000円)は、収入金額に加えなければなりません。その後、判決や和解等があり、その結果に基づいて家賃が調整された場合には、その調整後の金額(値上げされた分や遅延利息などを含む)から、すでに供託された家賃で収入金額に加えられている金額を引いた残額を不動産所得の総収入金額に加えることになります。

参考:

– 不動産所得の計算方法(収入金額から必要経費を引く)

– 家賃の供託に関する取り扱い

– 判決や和解後の家賃調整の影響

不動産賃貸料の収入金計上時期

Q. 不動産賃貸料の収入金は、どの時点で計上すればいいですか?また、前払いと後払いで計上時期を変えても良いですか?権利金については、契約期間が3年間である場合、収益として計上するタイミングはいつですか?

A. 不動産賃貸料の収入金額は、原則として契約上の支払日が属する年の収入として計上します(支払日基準)。しかし、不動産の賃貸借契約で前払いが多い場合、ある条件を満たすことで、その年の貸付期間に対応する収入をその年の不動産所得に算入することが認められています。具体的な条件としては、(1)継続的な記帳と帳簿書類の備え、(2)継続的な貸付期間に対応する収入金額の計上、および(3)1年を超える期間の賃貸料収入に関しては、その前受収益または未収収益の明細を確定申告書に添付することが必要です。ただし、この会計処理は賃貸料収入全体に対して貸付期間対応で計上する場合にのみ認められるため、前払いと後払いでの計上時期を分けることは認められません。また、権利金については、賃貸物件を引き渡した日または貸付契約の効力が発生する日に収益として計上する必要があります。

参考:

– 原則として契約上の支払日に収入として計上(基通36-5(1))

– 貸付期間に対応する収入の計上が認められる条件(昭48.11.6 直所 2-78)

– 権利金等の計上時期(基通36-6)

不動産売買業者の不動産の一時的貸付けと所得の区分

Q.不動産売買業を営んでいる私が、現在入居者のいるマンションを購入し、新たな買手を探している間に得た家賃収入は、不動産所得として扱われるのでしょうか?

A.貸付けを事業としていなくても不動産の貸付けから得られる所得は不動産所得とされます。しかし、不動産売買業者が取り扱う不動産で、売却目的の棚卸資産から得た短期的な賃貸収入は、事業所得に含まれる付随収入となります。ただし、貸家として長期的に貸し出している不動産は不動産所得となります。どちらに区分されるかは、不動産が棚卸資産として管理されているか、広告しているか、賃貸契約が一時的なものか、及び貸付け規模が一時的なものかなどで判断します。このような不動産からの収入を事業所得とする場合、減価償却資産として計算された償却費も必要経費に含むことができます。また、従業員に宿舎を提供し、その使用料から得られる収入も、事業遂行に必要なため事業所得に含まれます。

参考:基通26-7、基通26-8