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資本的支出と修繕費の区分についての法令及び通達のあらまし

Q.資本的支出と修繕費の区分について、税法の規定と通達の取扱いのあらましを説明してください。

A.法人が固定資産に対して行う支出は、その内容によって資本的支出と修繕費に分けられます。資本的支出に関しては、次のいずれかの条件を満たす支出で、固定資産の使用可能期間を延長させるか、その価値を増加させる部分に該当する場合です。これらの支出は、その固定資産の取得価額に加算されます。(法 政令132)

1. 資産の使用可能期間を延長させる部分の金額

2. 資産の価値を増加させる部分の金額

資本的支出の具体例としては、建物に避難階段を追加する費用、用途変更のための改造や改装費用、特に品質や性能の高い部品に交換するコストの通常の交換費用を超える部分などが挙げられます。一方、修繕費とは、建物の移設や解体移築、機械装置の移設、土地の地盛り、改良工事に該当しない床上げや地上げの費用など、基本的に既存の資産の機能を維持するための費用です。

以前には、家屋や壁の塗り替え、床の毀損部分の取替え、畳の表替え、瓦やガラスの交換、ベルトや自動車のタイヤの取替えなども修繕費として例示されていました。これらの取り扱いは現在も有効ですが、法令の解釈上疑義がなく、特に定める必要がないとされています。

保険外交員の所得

Q.保険の外交員として固定給と歩合給をもらっています。所得の種類はどのようになりますか。

A.保険の外交員が保険会社と結ぶ契約には、雇用契約と委任契約があります。この契約の形式に基づいて、雇用契約の場合は給与所得、委任契約の場合は事業所得となります。しかし、契約の形式とは異なる実際の支給方法が存在する場合もあり、税法では支給の実情に基づいて所得の種類を次のように定めています。

1. 旅費とそれ以外の報酬が明らかに区分されている場合、旅費は非課税で、その他の部分は給与所得です。

2. 固定給とそれ以外に明らかに区分されている場合、固定給は給与所得、それ以外は事業所得です。ただし、一定期間の成果に基づいて自動的に固定給の額が決まる場合、または資格に応じて固定給が自動的に決まる場合は、事業所得として扱います。

3. 上記以外の場合は、提供する役務のための旅費などの費用やその他事情を総合考慮して、給与所得または事業所得の区分を判定します。

参考:

– 基通204-22

有姿除却の処理に関する諸問題

Q.有姿除却の処理に当たり、今後事業の用に供する可能性がないにもかかわらず、該当する固定資産の解撤、破砕、廃棄等をしていないことについて、特に理由を要しますか?除却する資産が機械の場合、その解撤、破砕等をしていなくても、生産ラインからはずしておく等の処置が必要ですか?事業の用に供しなくなった固定資産を翌事業年度以後に中古資産として下請会社等に売却する予定の場合、有姿除却に準じて、当該資産の帳簿価額からその売却予定価額を控除した金額を、除却損失として損金の額に算入することができますか?

A.まず、今後事業に使用しない予定の固定資産を解撤、破砕、廃棄していない場合に特別な理由が必要かという問いに対して、通常、解体費用が高額になるため、固定資産をそのままにしておくことは通常の対応であり、特別な理由を必要としません。次に、除却予定の機械などを生産ラインから取り外すかどうかについては、そのままの位置にあっても他に影響がなければ問題なく、取り外す行為は今後再利用しないことの明確化につながりますが、重要なのは文書によって使用しないことが明確にされているかです。最後に、中古資産としての売却予定がある固定資産については、これまでの価値や使用寿命が尽きているわけではなく、売却後も固定資産として使用され続けるため、有姿除却に準じた処理を適用することはできません。売却による損失は、売却が完了した事業年度において処理されます。

医師の嘱託手当

Q.私は内科の診療所を経営しており、別の会社の医務室で毎週1回、1日4時間健康相談や診療等に従事し、月額5万円の謝礼金を受け取っています。この収入は私の事業所得に加算する必要がありますか?

A.自由職業者である医師が受け取る報酬は、雇用契約に基づく場合は給与所得、委任契約に基づく場合は事業所得として扱われます。しかし、提供した役務が雇用契約なのか委任契約なのかを一概に判断するのは難しい場合があります。具体的な状況を考慮して、実際の役務提供の性質から給与所得か事業所得かを見極める必要があります。役務の提供に厳しい拘束がある場合や、支払条件が固定的な場合は給与所得として扱いますが、それ以外は事業所得となります。また、診療等による報酬が医師に帰属するかどうかも、収入の性質を判定する際の一つの基準となります。ご質問の場合、謝礼金の支払状況等から見て、雇用契約に近い実態と考えられるため、給与所得として扱うのが妥当です。

参考:基通27-5(5), 基通28-9の2, 28-9の3

有姿除却

Q. 使用しなくなった固定資産は、廃棄処分していないものであっても、税務上その帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金算入することができるとのことですが、どのようなことなのか説明してください。

A. 固定資産とは、会社が事業で使うための長期にわたって使用される資産のことを言います。このような固定資産が使われなくなった場合、解体や破壊、廃棄などにかかる費用が多くかかるため、すぐに処分されないことがあります。例えば、将来的にわずかながら使うかもしれない、または解体に多額の費用がかかる等の理由でそのまま保持している場合がそれにあたります。このような状態で、資産がもはや事業で通常通りに使える可能性がなくなり、その価値が失われたことが証明されれば、その資産の帳簿上の価値から処分時に期待される価値を引いた金額を、損金として計上することが許されます。これを「有姿除却」といいます。

有姿除却が適用される固定資産には主に以下の2つがあります。

1. その使用が中止され、今後通常の方法で事業で使用される可能性がないと判断される固定資産。

2. 特定の製品を作るためだけに使われていた金型などで、その製品の生産が止まったため、将来ほとんど使われることがないと思われるもの。

有姿除却に当たっての取壊 し費用見積額等 【間6-61l ① 有姿除却処理によつて計上する除却損失に、その 対象資産の取壊し費用の見積額を加えることができますか。 ② 廃品回収業者に買取価額を見積 もってもらったところ、スク ラップ価額よりも廃棄費用の方が高く、業者にその差額を支払 わなければならないような場合は、いかがでしようか。 【答l ①について……有姿除却資産の取壊し費用は、有姿除却時には取壊し の事実がまだ生じておらず、確定債務の要件(基 通2-2-12、 【問2-23】 参照) を満たしていませんので、除却損失に加えることはできません。 また、有姿除却 によつて除却損 として損金の額に算入することができる金 額は、対象資産の帳簿価額か らその処分見込価額を控除 した金額 とされてい ますが、この処分見込価額 とは当該資産のスクラップ価額その もので、スク ラップ価額から取壊 し費用の見積額 を控 除 した金額ではあ りません。いいか えれば、処分見込価額を取壊 し費用の見積額を控除 した後の金額 として、有 姿除却 に当たっての除却損失の金額 を高 くすることはで きません。 ② について……除却する資産を廃品回収業者に売却するときの処分見込価 額 は、廃品回収業者の買取価額ですが、その価額は、事実上スクラップ価額 か ら当該廃品回収業者において要すると見積 られる廃棄費用の額 を控除 した 金額 となるで しょう。その場合は、当該買取価額 を処分見込価額 として、除 却損の計算 をすることがで きます。 したがって、御質問のようにスクラップ 価額 よ りも当該廃品回収業者において要する廃棄費用の見積額の方が高い と きは、処分見込価額 をゼロとして除却損失を計算することがで きます。 

新聞販売権の譲渡と所得税

Q.新聞販売権を譲渡し受け取った代金の申告は、どのように行うべきですか?

A.受け取った代金は営業権の譲渡対価として、総合課税の譲渡所得の収入金額に算入して申告する必要があります。新聞販売権の減価償却費の累計額は、事業所得の計算において必要経費に算入された償却費の累計額です。

成人祝金品

Q.今年、成人を迎えた従業員に、1万円程度の万年筆セットを成人祝の記念品として支給しました。この場合、この万年筆セットは、現物給与として課税する必要がありますか?

A.雇用契約に基づいて会社から支給される成人祝いの金品は、通常はその従業員の収入金額として課税の対象になります。しかし、成人の祝いの慣習は普通に行われており、この場合の記念品は従業員と雇用者の関係だけではなく、社会通念上相当と認められる範囲であれば、課税しなくても構わないとされています。

参考:所得税法第36条第1項、基本通達28-5

庭園の一部をなす庭石や燈籠の譲渡時の課税関係

Q.自宅の敷地とともに庭園が含まれた譲渡を行う場合、庭園内の価値ある庭石や燈籠の譲渡に関する課税はどうなりますか?

A.庭石や燈籠を含む庭園の譲渡に際しては、これらの譲渡による所得は分離課税の対象となります。

庭園とともに土地建物を譲渡した場合、庭園を構成する庭石や燈籠等は構築物に該当し、譲渡所得は分離課税の対象となります。一方、庭園から取り外して単独で他に譲渡した場合は総合課税の対象となります。

総合償却資産の償却費の額の個別資産への配賦方法

Q.総合償却資産の除却価額の算定を法人税基本通達7-7-5に示された個別配賦簿価除却方式で行う場合、各事業年度における償却費の額の個々の資産への合理的基準に基づく配賦は、どのようにすればよいのですか。

A.総合償却資産とは、異なる耐用年数の資産が一つに結合していて、全体として機能している資産群のことです。償却費を個別の資産に配分する際、それぞれの耐用年数を考慮することが重要です。具体的には、総合償却資産の償却費総額を配分する際に、総合償却資産の耐用年数全体で計算し、その後、各資産に対する償却費の割合を、個々の耐用年数に基づいて計算される償却費によって割り当てます。この方法は、法人税基本通達7-7-5に記載された合理的な基準に基づく配分と見なされます。ただし、多くの資産を管理している場合には計算が複雑になり、個々の耐用年数に関する情報も必要になるため、総合償却の考え方とは異なるものの、個々の資産に対して総合耐用年数に基づく償却額を計算する方法も合理的な基準に基づく配分とされています。これは、総合償却資産の一部が除去された場合、法人税基本通達7-7-3に基づき、総合耐用年数を基に計算された未償却残額が除却価額とされるからです。この方法では、複雑な計算手続きを避けることができます。

特定支出 (衣服費)

Q.私の勤務先は、社内規定により、職場では背広を着用することとされています。この場合、背広を購入するための支出は、特定支出となりますか?

A.職場で着用が必要とされる衣服(制服や事務服含む)を購入する支出で、もし給与の支払者がその支出が職務を遂行するのに直接必要だと証明した場合は、特定支出になります。あなたのケースでは、給与の支払者が社内規定に基づき背広を職場で着用することを求めており、その購入が職務遂行に直接必要と証明されていれば、その支出は特定支出に該当します。また、社内規定が明確でなくても、背広の着用が勤務場所での慣行や研修時の説明で必要であるとされていれば、その支出も特定支出です。出退勤時や私用で背広を着用する場合も、給与の支払者が職務遂行のため背広の着用を要求していれば、その購入は特定支出となります。

参考:所法57の2②七イ、所令167の3⑦四、所規36の5①八