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借地権利金に代えて保証金を受け取った場合

Q.借地人がビルを建てるという条件で、土地を貸しました。借地権の設定で権利金の代わりに保証金を受け取りました。この保証金は賃貸借契約が終了した場合に返済しなければなりません。この場合でも課税の対象となることはありますか?

A.保証金を受け取った際に生じる特別な経済的利益の量に基づいて計算を行い、その額が土地の時価の半分を超える場合、譲渡所得として税金が課されます。地域によっては権利金の代わりに保証金や敷金等を受け取ることがあり、通常その地域で通常受け取られる保証金額を超える場合には、特別な経済的利益として考えられます。この特別な経済的利益が名目上だけの違いで実質が権利金に相当する場合(例えば実質的に返済の必要がないなど)、そのまま権利金の収入とされます。特別な経済的利益が土地などの価格の半分以下の場合は、譲渡所得ではなく不動産所得とみなされ、この特別な経済的利益の量を毎年の不動産収入に加算する必要があります。

借地権の設定と特別な経済的利益

Q.本年3月に木造の店舗を建築する知人に宅地を賃貸し、借地権の設定の対価としてその知人から権利金3,000万円を受け取ったほか、1,000万円を借り受けました(借受条件:無利子、貸付期間30年)。なお、その宅地の時価は、5,800万円ぐらいと聞いています。この場合、建物所有を目的とする土地の賃貸で、受け取った権利金3,000万円は、その土地の時価(5,800万円)の2分の1相当額を超えることとなり、譲渡所得として申告する必要があることは承知していますが、無利子の借受金(1,000万円)についてはどのように取り扱われるのでしょうか。

A.受け取った3,000万円の権利金の他に、無利息で1,000万円借りることによる特別な経済的利益も考慮に入れる必要があります。特別な経済的利益は、借りた条件が通常の市場における条件よりも明らかに有利である場合に認定され、その場合、その利益の額は権利金に加算して借地権設定の対価と見なされます。この借入による経済的利益の計算は、通常の利率を用いてその借入金額の複利現在価値を求め、それを借入金額から差し引いた金額で行われます。特に、借入期間は1年単位で計算し、小数点以下は切り捨てとなります。その上で、この複利現在価値を計算する際には基準年利率の半分を利用します。

具体的な例として、基準年利率が0.5%の場合、1,000万円の無利子貸付による経済的利益は72万円と算出され、これを権利金3,000万円に加算して、3,072万円が借地権の設定対価となります。この金額は、土地の時価5,800万円の一定割合を越えるため、譲渡所得として申告する必要があります。

借地権の設定

Q.近所に住む知人から土地を貸してほしいという申し出を受け、その土地を知人に貸し出し、建物を新築し店舗として利用する予定の知人から借地権の設定の対価として2,000万円を受け取りました。この土地の時価は3,500万円程度でした。この場合、どのような所得として申告したらよいですか?

A.この場合、2,000万円を収入金額として譲渡所得として申告する必要があります。借地権の設定や地役権の設定のために受け取った金額は、通常は不動産所得として扱われますが、一定の金額を超える場合は譲渡所得として扱われます。この「一定の金額」とは、土地や借地権の価額の半分に相当する金額のことです。建物や構築物全体、もしくは一部の所有を目的とした借地権の設定であれば、この基準が適用されます。したがって、受け取った金額が基準を超える場合、それは譲渡所得として申告する必要があります。

限定承認による土地の相続と税金の取り扱い

Q.先月、父が亡くなりました。相続人は私一人で、父の遺した財産は時価1億円の土地のみですが、債務の額がわからないため限定承認の手続きを行いました。この場合、土地を譲渡したと見なされ所得税が課税されると聞きましたが、その理由を教えてください。

A.限定承認の場合、相続によって得た財産は、被相続人の債務や遺贈による義務の範囲内で負担するものとされます。このように資産の移転があった場合、被相続人が資産を時価で譲渡したと見なされ、所得税が課税されることになります。つまり、あなたの父が1億円で土地を譲渡したと見なされ、その結果、所得税の対象となります。これは、被相続人の資産が市場価値で評価され、その価値の範囲内で債務の支払い等が行われるため、資産の価値上昇分に対して税金がかけられるということです。このため、お父さんの名前で準確定申告書を提出する必要があります。

譲渡担保

Q.商売上の資金を借り入れる際に、私の所有している土地の所有権移転登記を債務弁済の担保として行いました。登記簿上の名義は資金の貸し手である相手方の名義となっていますが、私が借入金の利息および固定資産税を支払っています。この状況で、名義変更により所得税の譲渡所得として課税されるのでしょうか。

A.土地の所有権移転が譲渡担保を目的として行われた場合、所得税の課税対象にはなりません。譲渡担保とは、資金を借りる際に、担保目的で土地などの登記簿上の所有者の名前を変更することを指します。この処理は対外的には所有権の完全な移転と見えますが、実際には担保のための約束に過ぎないため、真の意味での所有権の移転は発生していないとされます。債権担保のみを目的とする名義変更という条件、さらにそれが税務署に正式に報告されている場合、その譲渡は課税対象外となります。ただし、条件を満たさなくなったり、借りた資金の返済が不可能になり資産が実質的に債権者に移る場合は、その時点で譲渡したものとして課税されます。

負担付贈与の場合の譲渡所得の取扱い

Q.現在私が主宰する法人へ賃貸中の土地を息子に贈与しようと思っています。この土地は、私が銀行から借入れた資金の担保となっており、未返済残額は800万円です。贈与の際に息子に800万円の借入金債務を肩代わりさせようと考えています。この場合、贈与者である私に対して税金はかかるのでしょうか?また、息子に引き受けさせる銀行借入金は、贈与税の課税価格から控除されるのでしょうか?

A.このケースでは、「負担付贈与」と考えられます。具体的には、(1)あなたは800万円の債務が消滅したものとみなされ、それに対する所得税(譲渡所得)が課税されます。(2)息子さんには、土地の時価から800万円の債務を引いた金額に対して贈与税が課税されます。負担付贈与では、贈与者が受贈者に債務を負担させる条件で自己の財産を無償で提供します。この例では、贈与者(あなた)は取得費300万円で購入した土地を800万円の債務消滅をもって譲渡したものとされ、500万円の長期譲渡所得に対して所得税が課税されます。受贈者(息子)は、贈与財産の時価3,000万円から800万円の債務額と基礎控除額110万円を差し引いた2,090万円が贈与税の課税価格となります。

遺留分侵害額の請求と相続財産の不動産譲渡

Q.昨年父が亡くなり、遺言により父の財産である宅地(相続税評価額3億円)を単独で相続しました。しかし、今年に入って弟から遺留分侵害額の請求があり、弟に宅地の一部を譲渡しました。この場合、相続税申告だけでよいですか?

A.父が亡くなり、遺言で宅地を継いだケースでは、遺留分の侵害に関する請求を受けた場合、相続税の申告に加え、その宅地の一部を弟に譲渡したことによる譲渡所得の申告も必要になります。法律では、遺留分の侵害があった際、財産の一部を譲渡することで金銭的な債権を解消させる形が認められています。このような場合、譲渡した財産の価値を所得とみなし、その所得に対して税の申告が必要となります。

代償分割と所得税

Q.私たちは父の遺産を分割することになり、現在分割協議中です。相続人は私と弟だけで、遺産は居住用の土地と建物、父が主宰していた法人の株式です。これらの財産の相続税評価額は居住用資産が4,800万円、株式が2,500万円、居住用資産の時価は6,000万円ぐらいです。現在考えている分割方法では、私が遺産全てを取得し、以前購入した土地(時価3,000万円、相続税評価額2,400万円)を弟に渡します。この代償分割で私が渡す土地に対して所得税が発生するのでしょうか。

A.はい、代償分割によって渡した土地はその時の価額で譲渡したとみなされるため、所得税の申告が必要になります。代償分割の際に、一部の相続人が他の相続人に対して代償として財産を提供する場合、その財産の提供はそれを譲渡したとみなされます。この取引によって得られる経済的利益は資産の移転によって生じたもので、資産の移転の対価としての特性を持っているため、この取引によって得られた利益に対して所得税が課税されます。

財産分与による不動産の譲渡

Q.永年連れ添った妻と離婚することになり、家庭裁判所で調停が成立しました。この調停により、20年前に取得した土地を別れた妻に財産分与することになりました。その土地の名義変更時に譲渡所得の申告が必要と知人から教えられましたが、財産分与は単に夫婦の財産を分割しただけで無償のため、譲渡所得の申告は必要ないと思っていますが、どうでしょうか?

A.離婚で財産分与として土地を譲渡する際には、譲渡した時の土地の価格で所得税(譲渡所得)の申告が必要です。離婚時に一方が相手方に対して財産分与を求めることは法律で認められており、離婚の際にどの財産をどのように分けるかは話し合いや裁判所の判断により決定されます。特に不動産を譲渡する場合、所有していた期間中の価値の上昇分に対して税金の申告が必要となります。これは、不動産を譲渡することでその時点での市場価格で財産分与が実施されたとみなされ、取得価格との差額が譲渡所得として課税されるためです。受け取った財産をその後売却する場合、財産分与時の価格が取得価格として、分与された日が取得時期として計上されます。

代物弁済

Q.私は、事業資金に使うため、私の所有する土地を担保に金融業者から借金をしました。その際、返済期限を過ぎても返済しない場合は担保の土地で返済する契約を結んで、その仮登記をしました。その後、経営がうまくいかず、返済期限が経過してしまい、担保の土地を取られてしまいました。借入金残額は未払利息を含めて2,700万円でした。この土地は30年前に300万円で買っていたものです。このような場合でも資産の譲渡があったとして課税の対象になるのでしょうか。

A.はい、自己の債務を土地により返済したため、その弁済額を収入とみなして所得税(譲渡所得)が課税されます。「代物弁済」とは、金銭ではなく資産を債権者に渡して自己の債務を消滅させる行為を指します。この場合、担保物件の所有権が債権者に移り、その債権者に対する債務が無くなるため、経済的な効果が発生します。その結果、消えた債務の金額を譲渡収入として見なし、譲渡所得を計算します。代物弁済の場合、土地の価格が債務をカバーするかどうかで場合分けがあります。土地の価格が債務より低い場合、土地価格で譲渡したと見なされ、残りの債務は免除されます。土地の価格が債務をカバーする場合、全額が譲渡所得となります。ただし、資力が失われ、債務の弁済が困難な状況下で、強制的な手続きを避けるために自発的に行われた代物弁済で、その代価で債務を清算した場合、譲渡所得は課税されません。