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第 3節 譲渡所得の収入金額

Q.私は、この度、農地を1ぷ当たり5万円でA建設に譲渡し、2,000万円受け取りました。この農地の実測面積は400ぷありますが、登記簿上の面積では、330ぷとなっています。市役所の固定資産税は、登記簿上の面積で課税されていましたので、所得税も登記簿上の面積である330ぷに対応する譲渡価額(1,650万円)で申告すればよいと思っておりますが、どうでしょうか。

A.実際に受け取った金額全体、つまり2,000万円を譲渡所得の収入金額として計上し、その上で所得税の申告を行う必要があります。所得税の計算は実際に譲渡で得た収入をもとに行われるため、400ぷの実測面積やどのように固定資産税が課税されていたかは関係なく、受け取った全額を申告することが必要です。

国等に財産を寄附した場合の譲渡所得の課税と寄附金控除

Q.私が住んでいる付近には子供の遊び場がないため、現在空き地である土地を児童公園用地としてA市へ寄附しました。この土地は、150万円で買ったもので、現在の時価は1,000万円ぐらいといわれています。私のように市へ土地を寄附した場合でも、所得税(譲渡所得)が課税されるのでしょうか。また、寄附金控除の適用を受けることができますか。私の事業所得は、800万円です。

A.個人が国や地方自治体などに財産を寄附した場合、その財産の値上がり分に関しては通常、税金がかかりません。これは、そのような寄附が社会的に有益とされ、個人的な利益を生んでいないと考えられるためです。あなたのケースでは、寄附金控除が適用される金額は、寄附による土地の取得費150万円に限定されます。さらに、あなたの事業所得800万円の40%、つまり320万円が寄附金控除の上限額となりますが、これは寄附金額150万円よりも多いため、実際に控除される金額は149万8000円となります。つまり、あなたが市に寄附した土地に関しては、譲渡所得税はかからず、寄附金による税額控除も受けられることになります。

非課税となる譲渡

Q.製造業を営んでいたのですが、事業の失敗により担保に差し入れていた土地、建物を担保権の実行により競売され、債務金額が多額のため、全てを弁済することができないまま自己破産してしまいました。現在、借家に住み、財産もなく生活に困っていますが、このような場合でも競売された土地建物の譲渡所得は課税されるのですか?

A.ご説明いたします。あなたが提起した事例において、譲渡された土地や建物に関する所得は非課税に該当します。これは、個人が財産の増減に関わらず、資力を喪失し、債務を返済することが非常に困難な場合、特に債務超過の状態であるなど、現状または将来においても資金調達が不可能と認められる場合に、滞納処分や強制執行等による強制的な資産の譲渡が発生した際に得られる所得は、非課税とみなされます。この例外としては、営利を目的としている定期的な譲渡資産、例えば在庫資産などは含まれません。また、このような状況で得られた譲渡所得も、債務の返済に使われた場合は非課税対象となります。資力喪失に伴う譲渡所得は非課税であり、その結果として発生した損失も計上されません。

譲渡所得における実質所得者課税

Q.兄と共有している農地を譲渡したが、兄が代金の分配に応じず、私に納税義務があるかどうか知りたいです。

A.あなたが兄と共有している農地を譲渡した場合、譲渡によって得た収入の分配を受ける権利があるため、所得税の申告が必要です。所得税法では、実際に収益を享受している者が税金を納めるべきとされています。これは実質所得者課税と呼ばれており、名義上の所有者と実際に収益を享受している者が異なる場合でも、収益を実際に享受する者に対して税金が課されます。たとえば、登記名義が変更されずに土地が譲渡された場合の不動産所得や、中間登記を省略して土地等を譲渡した場合に中間で利益を得た者への譲渡所得課税など、収益を実際に享受している者に税金が課されます。したがって、あなたには納税義務があり、兄に譲渡代金の分配を要求する権利もあります。

立退料を受け取る代わりに不動産を低額で譲り受けた場合

Q.立退料を支払う代わりに、新築されるビルの一部を通常価格よりも低価格で購入することになりましたが、この場合、税金はどのように申告する必要があるのでしょうか?

A.あなたが新築ビルの一部を市場価格(3,000万円)よりも安い価格(1,000万円)で購入した場合、その差額(2,000万円)が実質的に立退料とみなされ、譲渡所得として申告する必要があります。立退料として直接お金を受け取っていなくても、市場価格と実際の購入価格の差額は、立退料に相当する額として考慮されます。このように不動産を安価で得ることによる利益は、直接的な立退料の支払いと同じく、税金の対象となるため、適切に申告する必要があります。ただし、この所得は土地や建物の譲渡所得とは異なるため、分離課税の対象にはならず、特定事業用資産の買換え特例の規定も適用されません。

借家人が受ける立退料

Q.立退料に対してはどのように課税されますか。

A.借家から立ち退く際に受け取る立退料の中で、借りていた家がもう使えなくなることに対する補償金にあたる部分は、譲渡所得として所得税を申告する必要があります。この譲渡所得は、土地や建物の売却による所得とは異なり、分離課税の対象外です。立退料に含まれるかもしれない引っ越し費用や、もし借家人が事業を行っていた場合の営業補償などは除かれます。実際に引越しにかかった費用を差し引いた残りがあれば、一時所得として申告することになります。また、事業を営む借家人が立ち退きによって収入が減ったり、従業員への給料などの補償が必要な場合、それらの金額は事業所得として申告する必要があります。

土石等の譲渡による所得

Q.私は、山林を親から相続して所有していますが、この山林から砂利が取れるので、近くの建設業者から砂利採取をしたいとの申し入れがありました。山林を売るのではなく、地上の砂利だけを売りたいと思いますが、この場合の収入は何の所得となるのですか。

A.その場合、収入は総合課税の譲渡所得として扱われます。土地の表面または地下から土石、砂利などを譲渡する場合(営利を目的として繰り返し行う場合を除く)は譲渡所得とみなされます。譲渡所得を計算する際、収入金額から差し引くことができる取得費に関する詳細な計算方法については別の問題で説明しています。

土地の賃貸と税金について

Q.自己所有の土地を同族会社に賃貸し、権利金なしで、地代を高くする形で解決した場合、私や同族会社に対する課税はどうなりますか?また、適正な地代はどの程度になりますか?

A.あなたが所有する土地を法人に権利金なしで貸すことは、譲渡所得に関わらず課税されない行為です。しかし、その土地から得られる地代は不動産所得として毎年申告し、税金を支払う必要があります。地域によっては、通常権利金を受け取る習慣がある場合、法人が権利金なしで土地を使用すると、その価値に相当する金額が贈与されたとみなされ、法人税が課せられることがあります。ただし、権利金や特別な経済的利益なしに適当な地代を受け取る場合、その契約は通常の条件と見なされ、受贈税が課されることはありません。一般的に、土地の更地価値の約6%が相応の地代と考えられます。この計算には、土地の相続税評価額や近隣土地の公示価格を基にして算定できます。あなたのケースのように、一時的な権利金支払いなしに地代を高く設定する場合でも、時価の約6%の地代を受け取ることで、通常の取引と認められ、法人税の課税対象とはなりません。ただし、土地を無償返還する条項が契約に含まれている場合は、その土地の「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出すれば、法人に対する受贈益の課税は適用されません。

地役権の設定

Q.私は、A電力帥から、特別高圧架空電線の架設に伴う地役権の設定の対価として400万円を受け取りました。この収入を不動産所得として申告しようと思っていますが、これでよいでしょうか?また、地役権が設定された山林は、先祖から持っていたもので、時価は1,500万円と聞いています。

A.いただいた400万円は不動産の貸付けによる収入ではなく、地役権の設定に対する対価ですので、不動産所得としてではなく、譲渡所得として所得税の申告をする必要があります。特別高圧架空電線の設置による地役権の設定は一定の条件を満たす場合、譲渡所得と見なされます。このケースでは、受け取った400万円が山林の時価(1,500万円)の4分の1を超えているため、譲渡所得として申告する必要があります。また、特定の要件を満たす場合、譲渡所得に対して税制上の特例が適用され得ることがあります。この特例には、一定規模以上の発電施設や送電施設に関する事業による地役権の設定が含まれます。

借地契約の更新料の課税関係

Q.借地権の存続期間が切れたため、その延長について話合いをし、更新料として2,600万円を受け取りました。この場合、更新料はどのように取り扱われますか?

A.今回、契約の更改により受け取った更新料は、借地権の設定に対する対価として考えられます。したがって、受け取った更新料が更地の時価の半分を超える場合、譲渡所得として課税されます。通常、更新料や名義書換料は不動産所得として扱われますが、更新料が契約内容の実質的な変更に関係する場合(例えば、不動産の性質を変更する場合など)、その受領した金額は「資産の譲渡とみなされる行為」として譲渡所得に該当するため税金が課せられます。