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時効による土地の取得

Q.隣家が譲渡されることに関連し、自宅の敷地の一部が隣家のものであることが判明し、その返還を求められました。しかし、戦前から自分の土地として使用していたものであり、取得時効を援用し、正式に私の名義に登記しました。この所得は何所得となりますか?

A.所有する意思を持ち、誰からも異議を唱えられずに平然と他人の土地を使っていた人は、ある一定期間が経過した後、その土地を法的に自分のものとすることができます(民法145条)。この方法で土地を得た場合は、元の持ち主から所有権を引き継ぐのではなく、新たに所有権を獲得するということです。このように取得時効で得た土地は、何かの代わりに得たものではない一時的な所得として扱われ、通常は一時所得に分類されます(所得税法34条)。所得を計上する時期は、土地を取得時効で名義に登記した時点で、その価値はその時の市場価格に基づきます(所得税法36条)。

借入金の債務免除による利益

Q.借りていた借入金500万円の残金200万円が債務免除された場合、この債務免除益はどのような所得となりますか?

A.債務が免除されると、その債務の支出なしに消滅するため、債務免除益が発生し、これは利益とみなされます。この利益には、特定の業務に関連する事業所得、不動産所得、または雑所得、またはそれに付随するもの、従業員として受ける賃金や給料などの対価的性質を持つものを除外した、債権者から一方的に供与される利益として扱われます。このケースでは実際には、過去に役員を務めていた会社からマイホーム資金として借入れた金額の債務免除を受けたため、法人からの贈与として一時所得となります。個人から債務免除益を受けた場合は贈与税がかかり、所得税の対象外となります。

名義の無断使用に対する損害賠償金

Q.会社役員Aは、友人のBに名義と印鑑を盗用されていることに気づき、このほど、その事後処理として40万円の示談金を受け取りました。この示談金は、何所得となりますか。

A.Aさんは、友人によって名義が無断で使われたことで、自分の社会的な立場や名誉にダメージを受け、その補償として示談金を受け取りました。Aさんは会社の役員ですが、この示談金は、特許や著作権の無断使用による利益の補填とは異なり、また保険金のような性質のものでもありませんので、事業所得には当てはまりません。また、身体や精神への損害、突然の事故による財産損害の補償金や慰謝料にも該当しないため、非課税所得でもありません。結論として、この示談金は一時所得として扱われるべきです。

クイズの賞金

Q.クイズに当選し、その賞金を受け取りましたが、賞金の10%は老人施設に寄附する定めに従い、あらかじめ差し引かれています。この賞金はどの種類の所得として計算し、どのように申告すればよいですか?

A.クイズの賞金は、業務に関する収入や他の対価性のある収入とは異なり、一時的な収入として一時所得に分類されます。一時所得を計算するには、まず受け取った収入から、その収入を得るために直接支出した金額を引きます。その後、特別控除(50万円またはその残額のうち低い方の金額)を差し引いて計算します。クイズの賞金から老人施設への寄付分が差し引かれている場合、この寄付金は「収入を得るために支出した金額」と見なされ、一時所得の計算で支出として考慮されます。したがって、賞金から既に寄付分が差し引かれている場合は、その金額も一時所得を計算する際に考慮に入れます。

使用人等が受ける事務の合理化等による表彰金

Q.勤務先から事務の合理化に寄与する工夫をしたということで表彰金をもらいましたが、何所得となるのですか。

A.事務や作業をより良くするためのアイデアや改善策を考え、それが認められて勤務先から表彰金を受け取った場合、その表彰金がどのような所得に分類されるかは、その工夫や改善策がその人の普段の仕事内容に含まれているかによって決まります。具体的には、以下の2点に分かれます。

1. もし、そのアイデアや改善策が本人の日常業務として行われたものであれば、その報酬は給与所得と見なされます。

2. 日常業務以外で、偶然良いアイデアや改善策を思いついた場合は、その報酬を一度だけもらう場合は一時所得、そのアイデアや改善策により継続的に収益が得られる場合は雑所得となります。

生命保険契約の契約者名義の中途変更

Q.父の死亡により生命保険金800万円を受け取りました。この契約は、当初父が締結したもので、その後父に資力がなくなり、中途で私が契約者となって保険料の支払を引き継いだものです。この場合でもすべて一時所得になりますか?

A.生命保険金を受け取る際、受取人が保険料を支払っていた場合、その受取金額は一時所得として扱われます。一方で、別の人が保険料を支払っていた場合は、その人から受けた贈与や遺産相続とみなされ、贈与税や相続税がかかりますが、所得税は課税されません。あなたの場合は、生命保険の契約者が父からあなたに途中で変わっており、保険料も支払っています。しかし、当初の契約者であった父が支払った保険料分に関しては相続とみなされ、相続税の対象となります。具体的には、800万円中、父が負担した保険料に相当する部分(650万円)が相続税対象です。残りのあなたが負担した保険料分については一時所得として所得税の対象となり、その計算は150万円から、あなたが支払った保険料超過分(30万円を引いた120万円から父が支払った保険料130万円を引く)を引いた70万円が一時所得の金額となります。

生命保険契約の満期金から控除する保険料

Q.私は生命保険契約が満期を迎え、本年10月に1,000万円を受け取りました。この保険料の800万円は、私と勤務先で折半して負担したものです(私の負担額400万円、勤務先の負担額400万円)。勤務先が負担した保険料については、給与所得として課税されていませんが、課税関係はどのようになりますか。

A.受け取った満期保険金に関しては、一時所得として申告が必要です。一時所得の計算で考慮できる保険料は、あなた自身が負担した400万円だけで、勤務先が負担した部分は控除対象外です。これに基づく一時所得の計算は、以下のようになります。満期保険金1,000万円からあなたの負担分400万円を引いた金額から、さらに特別控除額50万円を引いて、最終的な一時所得の金額は550万円になります。この550万円が、課税される総所得金額の計算において考慮される金額の半分として扱われます。

契約者貸付金がある場合の受取保険金の課税

Q.契約者貸付金がある場合の受取保険金の課税関係はどうなりますか。

A.生命保険契約において、保険料を支払った人が夫で、保険金を受け取るのが妻の場合、満期保険金を妻が受け取るとき、これは夫から妻への贈与と見なされます。もし契約者貸付金がある状況ならば、満期保険金から契約者貸付金を差し引いたものが贈与と見なされます。結果として、奥さんが実際に受け取った350万円に対して贈与税がかかります。また、契約者であるご自身は、貸付金の額200万円が一時所得として課税対象になります。この200万円に対応する保険料の額は、一時所得から控除することができます。

外国保険事業者から受け取った死亡保険金

Q.ドイツ駐在の社員がドイツの保険事業者と生命保険契約を締結し、保険料を負担していましたが、この社員が病気で亡くなり、日本にいる妻が保険金を受け取りました。この保険金は、相続財産とされて所得税は非課税になるのでしょうか?

A.被相続人が亡くなることを条件に相続人やその他の受取人が生命保険金を受け取る場合、その保険料が被相続人によって支払われていた状況では、実質的にはこれを相続財産と同等と見なし、結果として相続税の対象となります。この点に関して、相続税法では、日本の保険業法に則った生命保険会社、外国保険業者、または少額短期保険業者と締結された生命保険契約であれば、その保険金は相続税法上、みなし相続財産とされ、相続税の課税対象になります。だから、そのような場合、所得税が課税されることはありません。

生存給付金付保険に係る一時金

Q.私は、甲生命保険会社の生存給付金付保険に加入しています。この保険は、満期日前に一時金(生存給付金)が受け取れることとされていますが、この一時金に係る課税関係はどうなりますか?なお、この生存給付金付保険は、保険契約期間中に一時金の支払が数回にわたって行われるものですが、年金形式で支払われるものではありません。

A.生存給付金付保険から受け取る一時金については、一時所得として扱われます。具体的には、保険契約期間中に複数回、一時金を受け取るケースでも、年金のように定期的に支払われるものではないため、一時所得に該当します。この一時所得に対する税金を計算する際、既に支払った保険料の総額(ただし、受け取る一時金の額が上限)を差し引くことができます。満期保険金を受け取った際の計算も同様で、受け取った金額から支払った保険料の合計額を差し引いた後の金額が一時所得として課税されます。