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外国法人から外貨建てで支払われる配当金の邦貨換算

Q.証券会社の勧めで、米国のA法人の株式を2月に購入したところ、このほど当該株式の配当金をドル建てで受け取りました。この配当金は、どのようにして日本円に換算すればよいでしょうか。

A.外国法人から支払いを受ける外貨建ての配当金を日本円に換算するには、収入が発生した日における為替レートを基に換算する必要があります。外貨を日本円に換算する際には、外国為替の売り相場と買い相場が考慮されます。売り相場(TTS)は、外貨を購入するのに必要な日本円の額であり、買い相場(TTB)は、外貨を売った際に得られる日本円の額です。配当金を受け取る人の立場からすると、その外貨を日本円に換えて使用することが多いため、外貨を売った際に得られる日本円の額(TTB、電信買相場)で換算するのが適切とされています。ただし、実際に配当金を受け取った日が、配当金の支払い予定日から大幅に遅れていない場合には、実際に支払を受け取った日の為替レートで評価しても問題ありません。

譲渡に伴う取壊し費用

Q.土地を売却し、買主の希望で倉庫を取り壊した場合、その取り壊し費用は譲渡所得の計算上、譲渡費用になりますか?

A.はい、取り壊しのための費用は譲渡費用に含まれます。具体的には、倉庫の原価(簿価)と取り壊しにかかった費用を合計し、そこから廃材などの処分費を差し引いた金額を譲渡費用として譲渡所得の計算に用います。土地を譲渡する際に、その土地上の建物を取り壊すか除却する行為が土地の譲渡のために行われた場合、その取り壊しや除却にかかった損失は、譲渡に関連する費用として処理できます。この計算は、資産の取得費や減価償却費、取り壊しにかかった費用、そして取り壊しによって発生した廃材の処分価格を含めて行います。

国際機関の発行する債券の利子

Q.私は、国際復興開発銀行債とアジア開発銀行円貨債の利子を受け取っています。これらの利子に対しては所得税の源泉徴収がされていませんが、非課税所得として確定申告をしなくてよろしいでしょうか。

A.国際復興開発銀行債とアジア開発銀行円貨債など、国際機関が発行した円貨の債権から得られる利子については、所得税法に基づき利子所得とみなされます。しかし、日本がこれらの国際機関と結んでいる国際協定により、国内で発行されるこれらの債権の利子には所得税やその他の公的負担がかからないようになっています。ただし、これは所得税が自動的に免除されるというわけではなく、利子所得としての確定申告が必要です。ただし、海外市場で発行されたこれらの債権からの利子は、日本の証券会社を通じて受け取る場合、源泉徴収されるので確定申告の必要はありません。2016年1月1日以降に支払いを受ける分については、申告分離課税の選択が可能です。

繰延資産とその償却

Q.繰延資産の償却限度額は、税法にどのように規定されていますか。

A.繰延資産の償却限度額に関しては、次のように規定されています。まず、法人税法施行令第14条第1項第1号から第5号に掲げる繰延資産(創立費、開業費、開発費、株式交付費、及び社債等発行費)については、その額(すでに償却され、事業年度の所得計算上損金に算入された額を差し引いた残額)を1回で償却することが可能です。これは、事業年度内に発生した費用をその年の費用として全額計上することを許しており、繰延資産として計上しない選択もできるということです。一方で、第14条第1項第6号に掲げる繰延資産については、その繰延資産の額にその事業年度の月数を掛け、繰延資産が影響を及ぼす期間の月数で割ることによって償却限度額が計算されます。この場合、適格組織再編成を通じて繰り延べた繰延資産に関しては、特定の計算方法が適用されます。また、20万円未満の繰延資産については少額と見なされ、その事業年度に損金として計上することができます。この20万円未満の判定は、法人が税抜き経理方式または税込経理方式のいずれを採用しているかによって異なります。

社債売買に伴う経過利子

Q.既発行の社債を証券会社を通じて購入した際に、その社債の直前の利払日から購入日までの経過利子を支払いました。今後受け取るその社債の利子からこの経過利子を控除すればよいですか?

A.社債や国債のような公債を変えたとき、前の利払日から買った日までの経過した利息を受け取るか、または支払います。このやり取りは、通常、公債が利息分を含まない価格で取引されるからです。この経過利子は、所有していた期間に対する利息のようなものですが、税法では利息収入とはみなされません。また、この経過利子をもらった場合、公債を売ったときの収入として扱われます。一方で、経過利子を支払った人は、公債から得られる利息収入から引くのではなく、購入価格に加える形で処理されます。しかし、法人が支払った経過利子については、前払い金として扱い、関連する公債の利息から引くことが認められています。これは、法人税ではすべての収益に対して税金がかかるため、実際の状況を考慮した扱いが可能ですが、個人の所得税ではこのような扱いは認められていません。

利子所得の課税制度

Q. 利子所得の課税制度について、そのあらましを説明してください。

A. 利子所得の課税に関する制度は幾つかの部分に分けられます。まず、一部の利子所得は非課税になる場合があります。これには、1%以下の利率で付される当座預金の利子、子供銀行預金の利子、納税貯蓄組合預金の利子、納税準備預金の利子、障害者等の少額預金利子(これには一定の手続きが必要で、特定の条件を満たす人が対象となります)と障害者等の少額公債の利子が含まれます。

次に、勤労者財産形成住宅貯蓄の利子や勤労者財産形成年金貯蓄の利子に関しては、合わせて特定の範囲内で非課税となりますが、これも具体的な条件が定められています。

課税制度は大きく3つに分けられます。まず、総合課税制度では、特定の債券などの利子や外国の金融機関から直接受け取る預金の利子については総合課税により納税します。次に、申告分離課税制度では、特定公社債の利子などに対して15%(住民税を含むと合計20%)の税率が適用され、必ずしも確定申告が必要ではありませんが、選択によって申告して納税することも可能です。最後に、源泉分離課税制度では、15%(住民税を含むと合計20%)の税率による所得税の源泉徴収で課税関係が完了し、確定申告は必要ありません。

また、復興特別所得税が平成25年から令和19年までの各年分に課税されることも特記されています。

繰延資産の範囲、償却方法についての会社法の定め及び企業会計での取扱いと税法の対比

Q.繰延資産の範囲、償却方法について、会社法の定め及び企業会計での取扱いを教えてください。法人税法での取扱いと、どのような点が相違しますか。

A.会社法では、適切と認められるものを繰延資産として計上できるとされています。償却については、固定資産の償却と同じく、事業年度の末日に適切に償却を行う必要があります。一方、企業会計では、支払いが完了または支払い義務が確定し、将来にわたって効果が期待される費用を繰延資産と見なし、特定の償却期間と償却方法を定めています。例えば、株式交付費は株式交付から3年以内の期間で定額法により償却されます。一方で、法人税法では、支出の効果が1年以上持続する費用を繰延資産とし、会社法や企業会計とは異なり、特定の範囲と独自の項目を定めています。実際、繰延資産の範囲は税法でのみ指定されたものと、企業会計基準で指定されたものとが含まれており、その償却方法にも差異が存在します。

同一資産の割増償却方法の変更について

Q.割増償却の適用を受けている倉庫用建物等について、これまでは直接簿価減額方式で割増償却費を計上してきましたが、今後は特別償却準備金を積み立てる方法に変更したいと考えています。同じ資産に関する割増償却を、その適用期間を通じて同じ方法で扱うべきだという意見がありますが、どうでしょうか?

A.税法では、特別償却の対象となる各事業年度において、直接簿価減額方式と特別償却準備金を積み立てる方法のいずれかを選択できることになっています。つまり、ある事業年度は直接簿価減額方式を使用し、翌年度からは特別償却準備金方式に変更することも認められています。ですので、ご質問のように方法を変更しても税法上の問題はありません。ただし、直接簿価減額方式を選択していた事業年度に不足した償却額を、後の年度で特別償却準備金によって補うことはできませんので注意してください。

平成28年分からの利子所得の課税制度の改正

Q.平成28年分から利子所得の課税制度が変わったと聞きましたが、その内容を教えてください。

A.平成28年1月1日以降に支払われる利子所得に関する課税制度に改正がありました。具体的には、特定の公社債等に係る利子について源泉分離課税から除外され、これらに関する利子等は、株式や公社債等の譲渡損失と相殺することが可能になりました。また、15%(加えて復興特別所得税及び個人住民税5%)の税率にて申告分離課税するか、申告不要を選ぶことができるようになった点が主な改正内容です。該当する対象は、特定の国債や地方債、外国国債、公募公社債などで、平成27年12月31日以前に発行された特定公社債等も含まれます。ただし、同族会社が発行した公社債のうち、同族会社の役員等が受け取る利子については、例外として総合課税対象とされます。

特別償却不足額を特別償却準備金積立不足額に変更することの可否

Q.前事業年度に取得し、事業の用に供した特別償却対象資産について、初年度の特別償却限度額を全額償却不足額として繰り越しました。特別償却を直接簿価減額方式で計上することについて妥当性の議論があります。今度は、この特別償却不足額相当額を特別償却準備金として積み立てたいのですが、これは問題ないでしょうか。特別償却費を全く計上していない場合には問題ないという見解があるようですが、どうでしょうか。

A.租税特別措置法において、特別償却は、法人が直接簿価減額方式か特別償却準備金積立方式のどちらかを選べますが、選択は特別償却限度額の生じた事業年度において決める必要があります。御質問のケースでは、特別償却対象資産を取得し、事業の用に供したのは、特別償却限度額が生じた前事業年度です。この事業年度に提出した確定申告書に添付された明細書で直接簿価減額方式を選び、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことにしています。したがって、今期になってこの償却不足額の処理方法を準備金方式に変更することはできません。繰り越した特別償却不足額を特別償却準備金として積立てることにした場合、その金額は積立限度を超えた額とみなされ、損金には算入されません。前事業年度に特別償却限度額の一部を特別償却費として計上し残りを償却不足額として繰り越した場合や、全額を特別償却費とせずに償却不足額として繰り越した場合でも、同様の考え方が適用されます。