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有価証券の譲渡

Q.個人が株式等を譲渡した場合、どのように課税されるのでしょうか。

A.個人が株式やその他の価値がある証券を売るとき、普段は所得税がかかることになります。これは申告分離課税という方法です。具体的には、平成25年12月31日までと平成26年1月1日以降で税率が異なります。平成25年までは、上場株式等の金融商品取引業者を介した譲渡の場合、所得税7%、住民税3%の合計10%の税がかかりました。しかし、平成26年からはそれが20%(所得税15%、住民税5%)に上がっています。一方で、上場されていない株式等の譲渡にも同じく20%(所得税15%、住民税5%)の税率が適用されます。

さらに注目すべき点として、平成25年から令和19年まで毎年の確定申告では、所得税に加えて復興特別所得税が必要です。これは基本の所得税額に対して2.1%を加算するものです。

株式等の譲渡による所得の中には、特定のものが総合課税や分離課税の対象になる場合もあります。例えば、ゴルフ会員権のような株式形態のものは総合課税が、実質的に短期間で保持される土地等に関連する株式等は分離短期譲渡所得が、そして先物取引により譲渡される株式等は分離雑所得として扱われます。

借地権の譲渡に伴う名義書換料

Q.今年、借地権を譲渡することになり、地主に名義書換料として200万円支払いました。この場合に支払った名義書換料は譲渡費用として認められますか。

A.はい、支払った名義書換料は譲渡費用に該当します。資産の譲渡に直接要した費用、この場合でいう名義書換料は、譲渡費用として認められるためです。ただし、名義書換料を支払ったのが借地権を受け取る方であれば、その料金はその方の借地権の取得価額に含まれます。

抵当権抹消登記費用

Q. 土地を売却する際に支払った抵当権抹消登記費用は譲渡に要した費用になりますか。

A. 譲渡費用には該当しません。譲渡に必要な費用とは、土地などの売買で実際に必要とされる経費のことを指しますが、土地を売るために抵当権を消す登記手続きの費用は、その土地を売却するための直接的な経費ではないと考えられます。このため、抵当権抹消の登記手続費用は譲渡費用には含まれません。

建設会社の特定件名工事受注のための費用

Q.建設会社が工事受注のために支出する設計図面作成費、交通費、交際費等は、開発費として、受注の成否にかかわらず、支出時に費用処理をすることができますか?

A.法人が市場を広げるために特別に支払った費用は、税法に基づく開発費として自由に償却できます。ただし、この開発費は、新しい市場を開拓するための広範な活動に関連する費用に限られます。特定の案件の受注や特定の顧客への販売活動に直接関わる費用は、その活動の成功や失敗が個別に明らかになるため、これを開発費として即時償却することは適切ではありません。そのため、お問い合わせのような具体的な案件に関する費用は、税法で即時償却が認められる開発費には該当しません。

税務上は、受注が確定する前の支出は失敗した場合に費用として処理されますが、成功した場合は、特定の案件に関する未成工事支出金として処理するかどうかが議論されます。企業会計基準にも、受注が確定するまでの費用は、保守的な会計原則に従い、支出した時点で費用処理することが適切であるとされています。ただし、受注が確定した後に支出した設計費などについては、企業が一定の基準に従って会計処理している場合には、その費用を含めることが認められています。

少額配当の申告の要否の判定

Q.非上場会社である甲社から本年、次のとおり配当を受けました。これらの配当は合計すると10万円を超えていますので、確定申告をする必要がありますか。①みなし配当額7万円②決算配当額(年1回決算)8万円

A.非上場株式等から受ける配当について、その額が一定以下であれば確定申告の必要がない「少額配当の申告不要制度」があります。この制度が適用されるかどうかは、特定の計算方法によって判断されます。この計算方法では、期間に応じた配当が10万円以下であれば、申告不要とされています。みなし配当の場合、その計算期間は基本的に12ヶ月とみなされます。質問で挙げられたみなし配当7万円と年1回の決算配当8万円は、どちらもこの基準を下回るため、確定申告の必要はありません。

譲渡代金の取立てに要した弁護士費用

Q.私は資産を譲渡したが、相手から譲渡代金をなかか回収できなかったため、弁護士を通じて取り立てました。この弁護士費用は譲渡費用に含まれますか?

A.弁護士費用は譲渡費用に該当しません。譲渡費用とは、資産を譲渡するために直接必要となった費用を指します。支払った弁護士費用は、譲渡代金の回収に必要な費用であり、資産の譲渡そのものに必要な費用ではありません。

株式投資信託の収益の分配及び解約差損の課税関係

Q.年金所得者として、株式投資信託の受益証券を購入し分配金を受け取り、解約時に差損があった場合、その差損を分配金から差し引くことは可能ですか?

A.株式投資信託の分配金に関しては、平成16年1月1日以降に支払いを受けた分配金は、源泉分離課税の対象外となり、源泉徴収税額を確定申告で調整する方法や申告分離課税を選択する方法があります。特に平成21年1月1日以降に受ける分配金に関しては、申告分離課税の選択が可能です。更に、平成21年以降の上場株式等に関する譲渡損失がある場合、その損失を、申告分離課税を選択した場合の配当所得額限度内で計算上控除できます。このルールは、株式投資信託の終了や一部解約によって生じた損失にも適用されるため、解約時に生じた損失は収益の分配に関する配当所得と通算することが認められます。ただし、上場株式等に関する配当所得について総合課税を選択した年は、この損益通算の適用を受けられない点に注意が必要です。また、平成21年1月以降、公募株式投資信託の解約や償還によって生じた差損益は、株式等の譲渡所得等として扱われます。平成25年から令和19年まで、所得税に加えて復興特別所得税も課税される点も留意する必要があります。

譲渡契約解除に伴う違約金

Q.先の譲渡契約を解除するために支払った違約金はB信用金庫への譲渡に関する譲渡費用となるのでしょうか。

A.先に結んだ契約を解除するために支払った違約金は、土地の譲渡で得た所得を計算する時の費用として引くことができます。ただし、手付金の返還部分は除きます。つまり、より良い条件で他者に土地を譲渡するために解約した場合、その解約に伴って支払った違約金(ただし手付金返還分を除く)を譲渡費用として考慮することが可能です。違約金には条件があり、実際に譲渡した土地に関連する分だけが譲渡費用として認められます。

株主優待乗車券

Q.株式を所有して配当を受けているが、株主優待乗車券も配当所得になるのか。

A.配当所得とは法人からの剰余金の配当や利益の配布を含み、株主への利益供与もこれに含まれます。しかし、法人から株主に提供される経済的利益のうち、法人の利益有無に関わらず供与される特定のもの(例えば、旅客運送業からの株主優待乗車券や、映画館の株主優待入場券など)は、それらが剰余金や利益の処分として扱われない場合、配当所得には含まれません。つまり、A電鉄会社から受け取った株主優待乗車券は、それが剰余金や利益処分として扱われなければ、配当所得には当たらないとされています。ただし、個人の株主が受けるこういった経済的利益は、配当等に含まれない場合雑所得に該当する可能性があります。

税法独自の繰延資産と資産に計上する場合の科目

Q.税法に規定されている繰延資産には、企業会計上の繰延資産に該当しない税法独自のものがありますが、どのようなものですか?また、貸借対照表の資産に計上する場合、どの科目に計上すればよいのですか?

A.税法では、企業会計上の繰延資産とは異なる特定の項目を繰延資産として認めています。これらは法人税法施行令と実務対応報告で5つの標準項目とそれ以外の景況に応じた6つ目の特例項目で構成されています。標準の5つには創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債等発行費が含まれます。また、税法独自の項目としては、長期にわたって効果がある支出(例: 公共施設の設置費用、権利金、広告宣伝費など)がこれに該当します。

税法独自の繰延資産を貸借対照表上にどのように計上すべきかについては、一般的に会計基準は繰延資産を特定の費用に限定しているため、これらを繰延資産として直接計上することは適正ではありません。そのため、税法独自の繰延資産は、繰延資産以外の適切な科目で資産に計上するか、または支出時に費用処理し、税務上は「繰延資産償却超過額」などとして申告調整を行うことが一般的です。例として、「賃借するために支出する権利金」のような無体財産権は、無形固定資産に計上が可能です。また、一部の支出は「投資その他の資産」として計上できることもありますが、「長期前払費用」としての計上は適切ではありません。これは、繰延資産と前払費用が異なる属性を持つからです。