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株式等の取得に要した借入金の利子

Q.上場株式を令和5年6月に譲渡し、取得価額と譲渡価額が記載されていますが、概算取得費を適用できますか。

A.実際の取得価額に基づく取得費と、概算取得費の両方を計算します。実際の取得価額に基づく取得費は、合計取得価額を合計取得株数で割り、得られた単価に譲渡株数を乗じて計算され、1,100,000円となります。概算取得費は、譲渡価額の5%に相当する金額で、1,650,000円です。実際の取得価額に基づく取得費と概算取得費を比較した結果、概算取得費の方が高いため、1,650,000円を株式等の取得費として適用できます。一般的には、実際の取得価額に基づく取得費と概算取得費のどちらか高い方を取得費として選択することができます。

株式等の取得価額の計算方法

Q.数回にわたって購入した同一銘柄の株式を譲渡した場合には、その株式の取得価額はどのようにして計算するのでしょうか。

A.同一銘柄の株式等を複数回にわたって取得した後、その一部を譲渡する場合、取得価額の計算方法は、その所得が事業所得か譲渡所得または雑所得かによって異なります。事業所得に該当する場合は原則として総平均法により、譲渡された年の1月1日に所有していた株式等の取得価額の総額とその年に取得した株式等の取得価額の合計を、所有する株式等の総数で割って1単位当たりの取得価額を算出します。届出により移動平均法も選択できます。例えば、ある銘柄の株式を令和4年11月に1,000株、令和5年1月に3,000株取得し、その後令和5年4月に2,000株を譲渡、令和5年7月に2,000株をさらに取得し、令和5年10月に3,000株を譲渡した場合、総平均法による取得単価は1株あたり1,400円となります。 譲渡所得または雑所得に該当する場合は、直前の譲渡日(または最初に取得した日)から次に譲渡するまでの期間に取得した株式等に関して総平均法に準じた方法で1単位当たりの取得価額を算出します。この例で譲渡所得に該当する場合、令和5年4月15日に譲渡した株式の1株あたりの取得価額は1,200円、令和5年10月21日に譲渡した株式の1株あたりの取得価額は1,500円と計算されます。

共同的施設の設置のために支出する負担金の税務での処理方法

Q.当社が工業団地の組合の会館建設のために支出する負担金の処理方法について教えてください。

A.当社が支出した負担金は、共同的施設の設置のためのものであり、その効果が1年以上にわたることから、税務上繰延資産として扱われます。具体的には、団地組合や商店街などに属する法人が共同で施設を建設や改良するのに必要な費用を負担する場合にこれに該当します。会館の建設においても、団地組合の事務所として使用される部分を含め、共同の用途に供されるため、これが適用されます。しかし、共同的施設の一部が団地組合の主な用途以外で使用される場合、その部分に関する負担金は寄附金として扱われます。

繰延資産の償却期間は以下のように定められています。第一に、施設が共同の用途に供される場合、施設の耐用年数に応じた年数が償却期間となりますが、団地組合の主要な用途に供される建設費用については、償却期間が10年を超える場合でも、暫定的に10年とされます。第二に、共同の利用に加えて一般公衆の利用にも供される施設の場合、5年が償却期間とされますが、耐用年数が5年未満の場合はその耐用年数が償却期間となります。ただし、一般公衆のための簡易な施設に充てられる負担金は、繰延資産とせず当該事業年度の損金に算入できます。当社の場合、会館の共同の用途に供される部分の負担金の償却期間は会館の耐用年数に応じ、組合の本来の用途に供される部分の負担金の償却期間は10年です。

一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等の課税の概要

Q.株式等の譲渡所得等の課税はどのようなものでしょうか。

A.日本に住んでいる人や、日本で事業を持つ海外の人が株やその他の有価証券を売ったとき、得た利益に対しては特別な税率が適用されます。この利益には、通常の収入とは分けて考えられる「一般株式等からの事業所得、譲渡所得、または雑所得」や「上場株式等からの事業所得、譲渡所得、または雑所得」があります。これらに対する税率は、所得税が15%、住民税が5%で、合計で20%です。また、一般株式等と上場株式等からの所得は完全に分けて考えられるため、一般株式を売ったときの損失は上場株式の利益から差し引くことはできませんし、その逆も同じです。

JR会社に施設負担金を支出した場合の処理

Q. JR会社の某駅の裏側にある当社工場への通勤時の臨時改札口を設置してもらうため、その施設負担金をJR会社に支出しました。この支出金は、税法上どのように取り扱われますか。

A. 会社が公共的な施設の設置や改良費用として出費する場合、その費用は税法上繰延資産と分類されます。したがって、質問の内容にあるJR会社への施設負担金もこの扱いになります。この繰延資産の償却は、支出が効果を発揮する期間にわたって均等に行われ、その期間が各事業年度の償却限度額となります。公共的施設に関する費用の具体的な償却期間は、施設がその負担をした者専用の場合は施設の耐用年数に、それ以外では施設の耐用年数に相当する期間になります。質問にある臨時改札口が会社の従業員専用であれば前者に、一般公開されている場合は後者の償却期間に従います。

株式等に係る譲渡益課税制度

Q.申告分離課税の対象となる株式等は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

A.申告分離課税の対象となる株式や関連する権利は次のようなものです。これには、一般的な株式や投資口、株式や新株予約権を受ける権利などが含まれます。また、特別な法律で設立された法人の出資者持分、合名会社や合資会社などの企業形態における社員の持分、協同組合の組合員や会員の持分もこれに該当します。さらに、協同組織金融機関優先出資や資産の流動化法に基づく優先出資、投資信託の受益権、特定受益証券発行信託の受益権、社債的受益権、そして一部公社債も対象とされます。ただし、土地等の短期譲渡に該当する場合の株式等は、分離短期譲渡所得の対象となります。

公共的施設の用途変更があった場合における償却期間の変更の可否

Q. 当社の工場への通路に架設している橋は、当初は当社だけが使用する目的で建てられ、その耐用年数に応じた年数で費用を償却してきました。しかし、最近になってその橋の近くに一般の人も利用できる公道が作られました。この場合、橋の償却期間を耐用年数に見合った新しい年数に変更することは可能ですか?

A. 減価償却資産は、その用途が変わった場合、変更後の耐用年数に基づいて償却限度額を新たに計算できるとされています。専用利用から一般利用に変わった場合も、事業年度の初めから新しい耐用年数に基づいて計算が可能です。従って、貴社の橋が一般の人も利用できるようになったことで、専用ではなくなったその年度の開始日から、償却期間を新しい耐用年数に見合ったものに変更し、そのための費用の償却限度額を計算することができます。

相続財産である非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例

Q.令和4年9月に私の父が亡くなった際、相続した財産として父が経営する同族会社の株式、居住用の土地、家屋、そして少しの預貯金がありました。相続税を支払うため、令和5年6月にその同族会社に株式を売却しました。この場合、株式を売ったことによる私の所得計算はどのようになりますか。

A.その株式を売却した際の所得計算は、株式の譲渡所得として行われます。通常、そのような非上場株式を発行している会社へ売却した場合、販売価格のうち資本金を超える部分は配当と見なされて総合課税の対象となり、最大55%の税率(所得税45%と住民税10%)が適用されます。しかし、ある条件を満たす場合は、配当と見なされる部分に対しても20%の税率(所得税15%と住民税5%)で譲渡所得として計算することができます。この特例が適用される条件は以下の通りです:

1. 非上場株式を相続または遺贈により取得し、相続税が発生していること

2. 株式の譲渡相手が非上場株式を発行している会社であること

3. 相続税の申告期限の翌日から3年以内に株式を譲渡していること

4. 非上場株式の譲渡時までに、この特例の適用を希望する旨を記載した書類を提出していること

さらに、この特例の適用と同時に、相続税額を取得費に加算する特例も利用可能です。

市への道路用地の寄附とその舗装のための費用の負担金

Q.会社の建物を建て替えるための建築許可を市に申請した際、公道の拡幅用地として前面道路に接する土地の一部を市に寄附し、その舗装費用も負担するよう求められました。この寄附した土地の帳簿価額と舗装費用を全額損金に算入できますか?

A.国や地方公共団体への寄附金は、損金算入の上限にかかわらず、全額損金の額に算入できます。しかし、その寄附によって建設された設備をその寄附をした人が専ら利用するなど、寄附をした人に特別の利益が及ぶ場合には、これは寄附金と見なされません。そのような場合、自分が利益を受ける公共施設の設置や改善のためにかかった費用は、税法上繰延資産として扱われます。あなたの場合、寄附した公道の拡幅部分をあなたの会社が使用し利益を受けることになり、また、ビルの建て替えが必要だったための寄附と舗装費用ですので、税法上繰延資産となります。ただし、公道であるため、あなたの会社が専ら使用するわけではないので、償却期間は寄附した舗装路面の耐用年数に応じた年数になります。寄附する土地は帳簿価額ではなく時価で繰延資産に計上し、時価と帳簿価額の差額を益金に算入するかという問題については、法人が自らの施設や工作物を無償で国などに提供した際には、その施設または工作物の価額に相当する金額を示すだけで、帳簿価額か時価かを明示していません。しかし、自らの施設を無料提供する点を考慮して、帳簿価額で繰延資産に計上することが認められています。その償却期間は、土地と舗装費用を区分せずに市に提供した点を考慮し、舗装道路と舗装路面の最長耐用年数である15年をその施設や工作物の耐用年数として、その期間の償却が認められています。

工場騒音に対する近隣からのクレームに対する補償費

Q. 当社の工場騒音に対して近隣からクレームを申し立てられ、周辺の住家の窓を二重サッシに取り替える費用を負担しました。この費用は、税務上一時に費用処理することができますか。

A. ご質問の費用は、あなたの会社の工場から出る騒音に対する近隣のクレームへの対応として、二重サッシの設置費用を負担したものであり、これは補償費用とみなされます。このように、会社の工場をこれからも稼働させるために支払った費用は、税法上「自社のために支出した費用」として扱われ、繰延資産(法律に基づく一定期間、費用を分割して計上する資産)に該当します。このため、支払った費用は、効果が続く期間にわたって均等に償却(費用計上)されます。具体的には、このような支出によって得られる資産の耐用年数に基づいて償却期間を定めますが、耐用年数の計算では1年未満の端数は切り捨てられます。質問の二重サッシの場合、設置された建物の耐用年数や使用される材質などを考慮して、耐用年数を合理的に見積もり、その年数を償却期間とします。ただし、二重サッシが設置された建物が他人の所有物である場合でも、賃貸物件における内装工事の耐用年数の取り扱いが参考になるでしょう。