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譲渡損失及び繰越控除額を配当所得から控除する順序

Q.株取引を行っており、令和2年度以後、4年連続で損失が発生しています。令和5年度に上場株式の配当所得があり、株式の譲渡損失との損益通算を行った上で、翌年度以降への損失繰越を行いたい場合、どのように計算しますか?

A.令和5年度の配当所得と譲渡損失の処理は以下の通りになります。令和3年度の損失額は1,300,000円、令和4年度の損失額は1,400,000円、令和5年度の損失額は0円となります。この計算には次のステップが含まれます。令和5年度における上場株式などからの配当所得1,500,000円から同年度の上場株式などに関する譲渡損失500,000円を差し引き、1,000,000円とします。次に、令和5年度の配当所得1,000,000円から令和2年度の損失1,000,000円を控除し、結果として令和2年度の損失額から残った200,000円は、3年の経過により令和6年度への繰越ができません。配当所得から譲渡損失を控除する順序は、まず本年度分、次に3年前、2年前、そして前年度分の順になります。

季節遅れの商品を評価減する場合の時価

Q.流行の移り変わりが激しく、季節商品が売れ残る場合、どのようにしてその商品の時価を算出すればよいですか?

A.流行が変わりやすく季節物の商品が次のシーズンまで売れ残った場合、通常の価格で販売できなくなることが過去の実績やその他の状況から明らかであれば、その商品は価値が大きく落ちたとみなし、事業年度の終了時にその時点での市場価格(時価)まで価値を下げることができます。この「時価」とは、その資産が通常売りに出される価格を指しますが、例えば年度末が12月31日の場合、その時期に夏物を売ろうとしても売れないため、次の夏までに売れるであろう価格が時価となります。これは、売れ残りの季節商品に対して、その時点での取引実績がないため、類似の商品の過去の販売実績などを参考にして、どれだけ値下げすれば次のシーズンに売れるかを推測し、その価格を時価として設定します。棚卸資産の価値が著しく落ちるのは、商品自体に物理的な欠陥がなくても、季節遅れや流行遅れ、新製品の登場など経済的な環境が変わることでその価値が大きく下がり、今後価値が戻る見込みがない状態を指します。価値の大幅な低下の具体的な基準は示されていませんが、棚卸資産は価値が下がった場合に価値が回復する可能性がほとんどないため、市場有価証券のように「50%相当額を下回る」ことを基準にするのは適切ではありません。つまり、棚卸資産では50%の減少に達していなくても、評価損を損金として計上できる場合があります。

配当金の受領を辞退した場合

Q.前期決算分の未払配当金を辞退したのですが、配当所得の申告は必要ですか。

A.配当金の辞退理由によって異なる取り扱いがあります。

(1) 配当金が支払不能な状況にある場合、配当金の一部または全てが支払われないとき、支払不能となった金額については収入がなかったものとみなされます。この際の支払不能の判定は、貸倒れの判定基準に準じます。

(2) 上記以外の理由(例えば、法人に対する資金援助目的での辞退など)で配当金を辞退した場合は、配当金が実際に支払われたとみなされます。したがって、この場合は源泉徴収の対象となり、配当所得として申告する必要があります。

確定申告を要しない配当の株式に係る負債利子

Q.非上場のA株式とB株式を借入金により取得し、それぞれ配当収入を得ています。A株式は1年決算で配当が10万円以下で確定申告をしないことを選択しようと思っていますが、その株式を取得するための負債利子をB株式の配当から控除することはできますか?

A.特定の株式を購入するために必要だった借り入れの利子が発生している時、その株式の配当に対して確定申告を行わない選択をした場合、その借り入れの利子を控除することはできません。もし、ある株式の配当について確定申告をしない部分とする部分がある場合、確定申告をしない配当に対応する負債利子の計算は特定の式によって行われ、その利子を控除することは不可とされています。したがって、あなたの場合、A株式の配当について確定申告をしない選択をすれば、その株式を購入するための負債の利子をB株式の配当から控除することは不可能です。

株式の一部の譲渡があった場合の負債利子

Q.従前から2万株を所有していた株式の増資に伴う新株の割り当てを受け、金融機関から借入れして新株払込金に充てた後、翌年土地の購入資金のため一部の株式を売却しましたが、新株払込金に充てた借入金の返済は行っていません。この年の配当所得の計算上で控除する負債利子の算入金額はどう計算するのでしょうか? この年の当該借入金に係る利子の額は12万円です。

A.配当所得の計算において、元本を取得するために要した負債の利子は、その負債で取得した株式の配当収入だけでなく、他の株式の配当収入からも控除できます。また、同一銘柄の株式の一部を負債で取得し、後に一部を売却した場合、その負債額は売却前の総株式数と売却後の総株式数の割合で按分されます。しかし、株式等の譲渡から生じる収入からは、その株式の取得に要した負債の利子を控除しないことになっています。従って、譲渡した5000株に対応する負債利子は配当所得から控除できず、この場合の負債利子の控除額は100,000円となります。

配当所得に係る「その年中に支払う」負債利子

Q.増資払込み時に他の関係会社から借入れた8,000万円の利息について、土地を譲渡するまで支払う必要がなく、未払いの場合、配当所得の計算時にこの未払いの利息を控除できるか。

A.配当所得の計算で控除できる負債利子は、「その年中に支払うもの」と規定されています。これは、現金主義に基づいてその年に支払われた利息のみを認めるわけではなく、また支払期日が到来したものだけを指すわけでもありません。必要経費の算出は「債務の確定」によりますが、収入の計算とは異なり、「支払うべき日」の到来を待たずに計算できます。利息は日々発生し、その年中の借入期間に対応する利息を意味します。質問の借入金の利息に関しては、利率がはっきりしており、毎年末に債権者から元本と利息の合計が通知されるため、土地を譲渡して返済するまでの各年の利息をその年ごとの「支払うもの」として計算できます。したがって、元本を所有している間は、その年に発生した利息を配当所得の計算で控除できます。

震災等で被災した資産の評価減

Q.震災、風水害等で被災した棚卸資産、固定資産の評価損はどのように取り扱われますか。

A.震災、風水害といった災害で大きく損傷を受けた棚卸資産や固定資産については、特定の条件下で損失として計上することが認められています。この処理は、該当資産が災害で明らかに損傷を受けた場合に限られます。災害により損傷した資産は、事業年度の終わり時点での帳簿価額とその時の市場価値との差額を損失として計上できます。この市場価値は、災害後にその資産の通常の売買価格、すなわちその資産が事業で通常使用されると仮定した場合の譲渡価格であり、スクラップ価格や正味売却価額、再調達原価などではありません。しかし、災害で完全に破壊された資産に関しては、その通常の売買価格をゼロと見なして、帳簿価額全体を損失として計上することができます。消費税に関しては、税抜経理方式を採用している場合は消費税抜きの金額、税込経理方式を採用している場合は消費税込みの金額を使用します。

源泉徴収選択口座の所得を申告する場合の計算(源泉所得税が還付される場合)

Q.令和5年中にA~D証券のそれぞれの口座で上場株式を売買しました。D証券のみ特定口座ではありません。申告に当たってはどのように計算すればよいでしょうか?

A.株式等に関する譲渡所得の合計金額は300,000円となります。以下が各証券口座の詳細です:

– 源泉徴収選択口座 (A証券)の損益:収入金額7,000,000円、取得費6,000,000円、差引金額1,000,000円、源泉徴収金額150,000円

– 源泉徴収選択口座 (B証券)の損益:収入金額5,000,000円、取得費3,900,000円、差引金額1,100,000円、源泉徴収金額165,000円

– 源泉徴収選択口座以外の特定口座 (C証券)の損益:収入金額1,500,000円、取得費2,000,000円、差引金額▲500,000円

– 特定口座以外 (D証券)の損益:収入金額2,000,000円、取得費3,300,000円、差引金額▲1,300,000円

合計して、譲渡所得等の金額300,000円に対する所得税は45,000円(300,000円 × 15%)です。しかし、すでに315,000円が源泉徴収されているため、確定申告を行うことで270,000円が還付されます。平成25年から令和19年までは、所得税とは別に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が源泉徴収されていました。

源泉徴収選択口座内の配当等の申告の要否の判定

Q.私は、甲証券会社で上場株式であるA社、B社及びC社の株式を保有しており、各社からの配当を甲証券会社の源泉徴収選択口座で受け取りました。また、年の途中でA社の株式を譲渡し、譲渡損失が発生しました。この場合、確定申告をするに当たって、A社及びB社からの配当については申告不要の特例を適用し、C社からの配当についてのみ申告することは可能でしょうか。

A.上場株式などからの配当には、大口株主以外の場合、配当所得の一部または全部を確定申告から除外できる申告不要の特例があります。この特例を利用する条件として、配当に源泉徴収が行われている必要があります。しかし、源泉徴収選択口座を使っている場合、この口座内での損益通算の結果、実際に源泉徴収されないこともあります。源泉徴収選択口座内で損益通算が行われた場合、配当と源泉徴収額が一致しなくなり、どの配当に対して源泉徴収がされたのか特定が難しくなります。そのため、申告不要の特例を適用する際は、源泉徴収選択口座単位で該当年に受け取った配当ごとに決めることになります。ですので、あなたのケースでは、甲証券会社の源泉徴収選択口座で受け取ったA社、B社、及びC社からの配当全てを申告するか、全てを申告しないかの選択をする必要があります。つまり、C社からの配当のみを申告することはできません。

確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得の概要

Q.特定口座を設定し、上場株式を譲渡した場合に源泉徴収を通じて税金を納付している場合、確定申告は不要と聞きましたが、どのような制度ですか?

A.特定口座で源泉徴収選択届出書を提出した場合、その年の所得税から特定口座で得た収入や損失を除外して確定申告が可能です。これは、特定口座(選択口座とも言います)を持つ個人が適用できる制度で、この制度を利用することによって、選択口座内での収益や損失は所得税の計算に影響しません。例えば、所得税で考慮される扶養親族の要件や合計所得金額の計算には含まれません。ただし、選択口座に関して確定申告を行う場合は、通常通り所得や損失が合計所得金額に含まれます。また、確定申告の必要性の判断や還付手続きを行う際も、選択口座の所得や損失は考慮されません。