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補欠役員と税法上の役員の関連性

Q.会社法第329条第3項の規定により補欠役員として選任された者は、税法上の役員に該当しますか。

A.会社法に基づき補欠役員として選出された方は、基本的にすぐに税法上の役員とみなされるわけではありません。補欠役員は、あくまで実際の役員に空席が生じた場合にそのポジションを埋めるための予備的なステータスであり、役員としての全ての条件を満たしているわけではないからです。ただし、特定の条件下でみなし役員として扱われるケースがあり、その際は税法上の役員として認識されることがあります。通常、補欠役員として選出されるケースは監査役への適用が多く、取締役の空席を補う役割でみなし役員として扱われる事例はそれほど多くはありません。

役員給与に関する法人税法の規定の概略

Q.法人税法第34条に定められている役員給与に関する規定について、その概略を説明してください。

A.法人税法第34条は「役員給与の損金不算入」に関する規定です。これは、企業が役員に支払う給与のうち、特定の条件に該当しないものは、企業の損失として計上できないというものです。具体的には、以下の三つのケースに分けられます。

1. **定期的な同額給与**、**事前に確定した給与**、特定の要件を満たす**業績に基づく給与**以外の役員給与は損金に算入できません。ただし、このケースには、業績に基づかない退職給与や、従業員としての業務も行う役員に対する給与の一部(従業員分)は含まれません。さらに、隠蔽や仮装経理による給与はすべて除外されます。

2. **不相当に高額な給与**の部分は、政令で定める基準によって損金の対象外とされます。これは、前述のケース以外で、会社が役員に支払う過度に高額な給与に適用されます。

3. **事実を隠蔽**したり**偽装**したりして経理処理された役員給与は、どのような状況でも損金に算入できません。

さらに、これらの条件に該当する役員給与には、債務免除による利益やその他の経済的利益が含まれることが明記されています。

退任による欠員が生じた場合の税法上の役員の扱い

Q.退任により欠員が生じた場合の退任取締役又は監査役、登記されていない取締役、執行役又は監査役は税法上の役員に該当するのか。

A.会社法によれば、役員が辞任や任期の満了で退任しても、新しい役員が就任するまでの間、その退任役員は引き続き役員としての権利と義務を持ちます。これは、会社の経営を継続させるためです。税法上では、取締役や執行役の業務は「経営に従事する業務」にあたるため、これらの役職の退任によって欠員が生じた退任取締役はみなし役員に該当します。しかし、監査役が退任して欠員が生じた場合、監査役は経営に従事するとは見なされないため、みなし役員には該当しないとされます。また、裁判所によって一時的に選任された役員も、取締役や執行役の職務を担う場合はみなし役員に該当しますが、会計参与や監査役の職務を担う場合には該当しないとされます。一方で、株主総会等で選任されながら登記が遅れている取締役や執行役などについては、登記の有無にかかわらず、役員としての選任事実のみで税法上役員とみなされます。登記は主に善意の第三者に対する保護手段であり、役員の地位は選任によって確立されるためです。

職務執行停止期間中の取締役、職務代行者等は税法上の役員に該当するか

Q.次に掲げる者は、税務上の役員に該当しますか。① 職務執行停止期間中の取締役 ② 取締役の職務執行停止に伴い選任された職務代行者 ③ 更生会社の取締役及び監査役 ④ 更生管財人

A.①について、職務執行停止期間中の取締役は、民事保全法や会社法の定めにより、職務停止や職務代行の仮処分命令があっても取締役等としての地位は保持されます。税法では、職務を実際に行ってなくても名目上の役員として認めるため、職務執行停止期間中であっても税法上の役員に該当すると理解されます。

②について、取締役の職務代行者は、裁判所によって選ばれるもので、会社の財産管理能力を回復させる目的があり、主に日常業務に限られるため、税法上の役員とはみなされません。

③について、更生手続きが開始された場合、事業の経営や財産の管理などの権限は更生管財人に移りますが、取締役や監査役の職位自体に変更はなく、会社運営に関する一部の権限は残されています。そのため、彼らは税法上引き続き役員に該当します。

④について、更生管財人は更生手続きを行う重要な役割を持ちますが、税法上の役員には該当しません。

経営に従事している

Q.みなし役員の規定の中にある「経営に従事している」とは、どのようなことですか。

A.「経営に従事する」とは、法人の役員として通常想定されるような業務を行うことを指します。具体的には、法人の取締役(理事)として、取締役会のメンバーであること、取締役会に参加し、会社の運営に関する意思決定に影響を与えることです。経営に関わる具体的な仕事には、会社の経営方針の決定、組織構成の策定、販売・調達・生産計画、人事政策、予算や決算の方針立案、資金調達や設備投資計画の決定などが含まれます。ただし、上司から指示された仕事を単にこなしているだけでは、「経営に従事している」とは見なされません。税法上みなし役員とは、法人の経営方針に対してある程度の発言権を持つ者を指し、この判断はその人の年齢、社内での経歴、職務関係に応じて総合的に行われます。また、会社法には取締役会が独自に決定すべき事項を規定し、これを参考に「経営に従事する職務」の判断が行われることもあります。一方で、法人税法に定義された「使用人兼務役員」とは、「経営に従事する」の反対であり、経営ではなく、通常の従業員としての業務に従事する人を指します。最後に、監査役(監事)の職務は「経営に従事する業務」には含まれず、監査役の業務を行っている者がみなし役員となることはありません。

みなし役員の範囲

Q.税法に規定されているみなし役員とは、どのようなものをいうですか。

A.税法では、通常取締役や監査役などの役員に選ばれた人たち以外にも、特定の条件を満たす人々を役員とみなしています。この特定の条件を満たす人々をみなし役員と呼びます。みなし役員には二つの大きなカテゴリーがあります。第一に、社員でないにも関わらず法人の経営に参加している者、例えば名誉職の役員や法人の代表者などがあります。これらは見た目上の役員に近い立場にあるもの、またはその職務内容から経営に実質的に関与している者などが含まれます。第二に、同族会社の社員でありながら特定の条件により役員とは見なされない人々ですが、実際にはその会社の経営に関与している者が含まれます。このようなみなし役員の概念は、税法上の不利益を避けるために intentionally 役員に就任しない者を対象としています。例えば、役員に就任した場合に適用される給与に関する複数の規定を避けるために役員を避ける行為が挙げられます。さらに、法人が特殊な関係にある使用人に支払う給与の一部が税法においては役員に該当するものとみなされ、これもみなし役員の範疇に含まれます。特殊関係使用人としての賞与も、定められた条件を満たさない限り損金不算入とされます。これらの規定は、特に同族会社に多く見られる現象であり、事実上の経営参加を行いながら法的な役員の地位を避ける者に対して適用されることが多いです。

使用人兼務役員の職制上の地位 について

Q.使用人兼務役員は使用人としての職制上の地位を有しなければならないそうですが、当社のような小規模な会社には、職制らしいものがありません。どうすればよろしいですか。

A.使用人としての職制上の地位とは、総務部長、人事部長、工場長、支店長、営業所長、事業部長、支配人、主任、事務局長など、会社の組織内で正式に定められている役職のことを指します。これは、会社の特定部門を統括する総務担当や人事担当などの立場とは異なります。小規模な会社の場合、従業員が少なく形式的な職制を設けていないことがよくあります。ただし、税務上必要な対策として、形式的に部長や課長といった役職を設けることが考えられますが、それが非現実的である(例えば、一人だけが部長で部下がいない状態)ときは意味がありません。そのような会社であっても、特定の要件(具体的には税務上の要件BとC)を満たす役員が実際に他の従業員と同じ種類の仕事をしていると認定される場合、彼らは使用人としての職制上の地位を有するものとして扱うことができます。

専務取締役等の表見代表取締役について

Q.株式会社の専務取締役、常務取締役などの表見代表取締役が使用人兼務役員に該当しないこととされているのはなぜですか?また、表見代表取締役に該当するかどうかの判断は、何を基準にして行いますか?

A.株式会社では、使用人兼務役員になれるのは基本的に平取締役に限られており、専務取締役や常務取締役はその条件を満たすことができません。専務取締役や常務取締役は、社長や副社長と同じく、会社を代表する権限を持っていると見なされます。そのため、彼らが行った行為については、社外の善意の第三者に対して会社が責任を負うことになります。税法上も、これらの役員が外部に対して会社を代表していると表示している以上、実際にそうであるとみなし、使用人兼務役員にはなれないとしています。

代表取締役については、その氏名と住所が登記に記載されており、外部の人は登記を閲覧することで代表取締役かどうかを確認できます。しかし、代表権のない取締役に代理権を与えた場合、その取締役は代理人として行動できますが、代理権の有無を登記から確認することはできません。この制度は、善意の第三者を保護するために設けられています。

取締役が表見代表取締役となるのは、会社の内部規定や決議によってその地位が明確にされている場合と、単に通称として専務、常務などの名称が付けられている場合があります。大企業では前者が多いですが、小規模な家族経営の会社では後者が多く見られます。税務上、専務取締役等が使用人兼務役員になれないことによる不利な規定が適用されないよう、使用人兼務役員とされない範囲は、公式にその地位が認められている場合に限られます。

取締役会設置会社でない会社での代表権を有しない取締役

Q.取締役会設置会社でない会社において、取締役が2人以上いる場合、定款又は株主総会の決議によって代表取締役を定めていないと、取締役の全員が代表権を有することとなり、使用人兼務役員になれないことになるとのことですが、会社法の規定も含めて教えてください。

A.会社法には、株式会社の代表に関する規定があります。取締役は、株式会社を代表しますが、別に代表取締役や他の代表する者を定めた場合は、この限りではありません。取締役が2人以上ある場合、取締役は各自で会社を代表することができます。ただし、取締役会設置会社でない場合、定款や株主総会の決議によって代表取締役を定めることが可能です。一方、取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役を選定しなければなりません。取締役会設置会社でない会社では、代表取締役を選定するかどうかは任意ですが、選定しない場合は各取締役が会社を代表することになります。このことは、取締役全員が使用人兼務役員になれない条件を満たす場合であるかどうかということに関連します。もし取締役の中から代表取締役を定めて代表権を有しない取締役がいる場合、その取締役は使用人兼務役員とはみなされません。したがって、代表取締役を明確に選定し、他の取締役が会社を代表する者ではないことを明確にする必要があります。株式会社以外の法人にも同様の規定がありますが、一部の組合は特定の法律によって、組合を代表する理事を定めることが義務付けられています。

同族会社の使用人兼務役員の範囲についての具体的事例

Q.第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合によって、同族会社の使用人兼務役員の範囲がどのように変わるのか具体的に説明してください。また、所有割合の同じ株主グループがあったときはどのように判定しますか?

A.株主グループの所有割合に基づき、使用人兼務役員になり得るかどうかは変わります。具体的には、第1順位の株主グループのみで所有割合が50%を超える場合、それ以降の順位のグループは関係なく使用人兼務役員になれます。もし第1順位と第2順位の所有割合を合わせて初めて50%を超える場合、第3順位のグループ内の平取締役は使用人兼務役員となり得ます。しかし、第1から第3順位までの合計で初めて50%を超える場合は、所有割合が10%以下のグループに所属する平取締役だけが使用人兼務役員になれる可能性があります。また、所有割合が5%以下の夫妻や支配会社に属する役員も、特定条件下で使用人兼務役員になり得ます。

所有割合が同じである場合の判定では、これらのグループは同等の順位と見なされます。例えば、第1順位の次に所有割合が25%の株主グループが二つある場合、これらは両方とも第2順位とされます。こうした場合、これらのグループ内の平取締役は使用人兼務役員にはなれません。しかし、一方のグループの所有割合をわずかに下げることで、そのグループ内の平取締役は使用人兼務役員になることができます。