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 譲渡所得等の課税の特例

Q.個人の長期譲渡所得のうち、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合は、特例措置が適用されると聞きました。この優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の範囲はどのようになっているのでしょうか。

A.個人が所有する土地を、昭和62年10月1日から令和7年12月31日の間に譲渡し、その土地が譲渡時に5年以上所有されていた場合、その一部が「優良住宅地の造成等のための譲渡」にあたるときには、特別な税率が適応されます。この税率は次のようになります。課税長期譲渡所得金額が2,000万円以下であれば、所得税10%(追加で住民税4%)、2,000万円を超える場合は、超過分について所得税15%(さらに住民税5%)が加算されます。また、所得税には復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)の支払いも必要です。

この特例の適用対象となる「優良住宅地の造成等のための譲渡」には幾つかのケースがあり、それぞれに関連する法律や規定が定められています。具体的には、国や地方公共団体、特定の公共事業を行う法人、独立行政法人、特定所有者不明土地の譲渡、マンションの建替え促進、都市再生事業への関与、国家戦略特別区域内での特定事業への貢献等による土地等の譲渡が対象となります。ただし、適用を受けるためには、財務省令で規定される条件を満たし、証明が必要となります。また、一部の特別な措置法に基づく譲渡は、この特例の対象から除外される場合があります。

短期譲渡所得に対する所得税の計算

Q.私の弟が令和元年に購入したA市の土地を令和5年に売却した場合、どのくらいの税金がかかるのでしょうか?

A.この土地の売却から得た収入には、分離課税の短期譲渡所得として所得税が適用されます。この場合の税額は60万円です。具体的には、所有期間が5年以下の土地や建物を売った場合、その収入は短期譲渡所得と見なされ、税率は30%(住民税は9%)です。令和5年にあなたの弟が売却するこの土地の例で見ると、1,900万円から1,700万円(購入価格)を差し引いた200万円が課税対象の収入となります。この200万円に30%の税率を適用すると、所得税は60万円、住民税は18万円と計算されます。さらに、この所得税額には復興特別所得税も加えられるため、確定申告時には所得税とともにそれを納付する必要があります。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私は、A市に土地を所有していますが、娘の結婚費用や家屋の新築費用に充てるためこれを令和5年6月に譲渡しました。譲渡価額は9,000万円、支払った仲介手数料は250万円です。この土地は亡父が昭和26年に取得し、令和元年6月に私が相続したものです。この場合の税額の計算方法について教えてください。

A.譲渡した年の1月1日に所有していた期間が5年を超える土地や建物の場合、その土地や建物は長期譲渡所得とみなされます。このケースでは、相続によって土地を取得した場合、その土地は亡くなった方が取得した翌日から所有していたものとして扱われます。よって、あなたが譲渡した土地は分離課税で扱われる長期譲渡所得の対象になります。長期譲渡所得にかかる税額は課税所得に15%(住民税は5%)をかけて計算します。令和5年分のあなたの譲渡所得に対する所得税は、次のように計算されます(所得控除や税額控除は考慮していません)。まず、譲渡価額から仲介手数料と見積もられた取得費(譲渡価額の5%として計算)を引いた額が課税対象の長期譲渡所得です。具体的には、9,000万円から(9,000万円の5%に相当する450万円と手数料の250万円)を引き、8,300万円が課税所得となります。これに所得税率15%を掛けると、約1,245万円が所得税額となります。また、住民税は同じ課税所得に5%をかけて計算し、約415万円が住民税額となります。ただし、確定申告時には、所得税額に対して復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も併せて納付する必要があります。

譲渡資産の所有期間の計算

Q.私は次の土地・建物を譲渡したのですが、それぞれの取得の日はいつになるのでしょうか。(1) 3年前に交換により取得した土地 (「固定資産の交換の場合の特例」の適用を受けており、交換により譲渡した土地は今から40年前に購入したものです。)(2) 昨年、父から相続により取得した土地・建物(父が今から30年前に購入したものです。)

A.土地・建物の取得日は次の通りです。(1) 交換により取得した土地は、その土地を交換したときにあなたが手放した土地の元々の取得日、つまり40年前の日付が取得日となります。(2) 相続により取得した土地・建物は、あなたのお父さんがその土地や建物を購入した日、つまり30年前の日付が取得日となります。これによって、譲渡した資産の所有期間が計算されます。交換や相続など異なる方法で資産を取得した場合、その資産の元々の取得日が新たな所有者の取得日と見なされるのです。

譲渡所得等の課税の特例

Q.譲渡所得の区分について教えてください。

A.譲渡所得は、譲渡される資産の種類やその保有していた期間によって異なる課税方法が適用されます。具体的には、資産の種類や保有期間に応じて、分離課税の対象となるものと総合課税の対象となるものに分けられます。さらに、分離課税の対象となる所得は長期譲渡所得と短期譲渡所得に細かく分類され、課税される所得金額や税額の計算方法がそれぞれ異なります。具体的な区分は以下の通りです。

1. 分離長期一般資産:5年を超える期間所有していた土地や建物(一部特例を除く)。

2. 分離長期特定資産:5年を超える期間所有していた土地で、優良住宅地の造成など特定の目的で譲渡されたもの。

3. 分離長期軽課資産:10年を超える期間所有していた居住用の土地や建物。

4. 分離短期一般資産:5年以下の期間所有していた土地や建物、または譲渡の年中に取得した土地や建物。

5. 分離短期軽減資産:5年以下の期間所有していた土地や、譲渡の年中に取得した土地で、国や地方公共団体に譲渡されたものなど。

6. 総合長期資産:取得日から譲渡日まで5年を超える期間保有していた資産。

7. 総合短期資産:取得日から譲渡日まで5年以下の期間保有していた資産。

特許権や著作権など自己の研究や発明に関する権利は、保有期間が5年以下であっても総合長期資産には含まれません。

収用等の補償金に対する消費税等の取扱い

Q.私は収用対象事業のために宅地を買い取られることとなりましたが、その宅地上には店舗があったため、建物移転補償金及び休業に伴う収益補償金を取得する予定です。私は消費税の課税事業者ですので、これらの補償金にも消費税等は課税されるのでしょうか。

A.移転補償金と収益補償金に消費税等は課税されません。消費税が課税される補償金は、収用された資産(土地など消費税がかからない資産を除く)の代わりとなる代価補償金を指します。そのため、収益補償金や経費補償金、移転補償金のように、具体的に財産の代わりとなるものでなく、収益の減少や損失の補填、事業上の費用や移転費用を補うものは課税対象外です。ただし、建物等の撤去による移転補償金が代価補償金として扱われる場合もありますが、これは税金の計算上の扱いであり、実際に課税が適用されるわけではありません。

譲渡所得計算と消費税等の関係

Q.私は大阪市内で20年間事業を営んできた木造の工場とその敷地を今年5月に売却しました。売却した資金で同市内の私の土地にマンションを建てたいと考えています。事業用資産の買換えの特例を適用したい場合、売却した店舗部分の消費税は譲渡所得の計算上どのように扱われますか?また、譲渡価額、マンションの建築価額などは以下の通りです(全て税込み価格で、事業所得の経理方式は税込経理方式を採用しています)。譲渡価額は1億200万円(土地8,000万円、建物2,200万円)、取得費は5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)、マンションの建築価額は1億1,000万円です。

A.あなたが税込経理方式を採用しているため、譲渡所得の計算も税込価額で行います。事業用資産の買換えの特例に関する計算も同様に税込価額で行います。具体的な計算方法は、収入金額1億200万円の20%から(取得費2,000万円+減価償却費516万円)の20%を引いたものが長期譲渡所得となり、その計算結果は1,536万8,000円です。減価償却費は、3,000万円から20年間の償却を考慮した金額の516万円です。買換えた資産の取得価額は、(2,000万円+516万円)の80%と1億200万円の20%から、マンション建築価額1億1,000万円と譲渡価額の差額を引いた後の金額、すなわち4,852万8,000円が買換資産に引き継がれます。税抜経理方式を採用している場合の計算方法も参考までに記載されていますが、あなたの場合は税込経理方式を基に計算する必要があります。

譲渡所得計算と消費税等の関係 (計算例 1)

Q.私は令和4年3月1日に店舗(木造)とその敷地を購入しましたが、事業経営が思わしくなく、令和5年9月25日にやむを得ず譲渡しました。金額はすべて消費税等込みの金額で、建物は定額法で償却していました。この場合の譲渡所得の計算はどうすればよいでしょうか?

A.あなたの場合は、譲渡した資産に関する事業の記帳方法が税込みの方法を採用しているため、譲渡所得も税込みの金額で計算します。

具体的な計算は以下の通りです。

– 土地の譲渡所得は、譲渡価額7,000万円から取得費6,000万円と譲渡にかかる仲介手数料330万円を引き、775万円となります。

– 建物の場合、譲渡価額3,300万円から譲渡にかかる仲介手数料の割合で按分した取得費と減価償却費を差し引いた金額、つまり196万9,800円が譲渡所得です。

なお、税抜き経理方式を適用していた場合の計算例としては、土地の譲渡所得が790万円、建物の譲渡所得が128万5,000円となりますが、これは参考情報です。

譲渡所得計算と消費税等

Q.譲渡所得を計算する場合に消費税はどのように関係してくるのでしょうか。

A.譲渡所得を計算する際、消費税や地方消費税(消費税等)は重要な役割を果たします。消費税の対象となる事業者が店舗などの業務用資産を売却した場合や仲介手数料を支払った場合、これらの金額には消費税等が加算されることになります。この消費税等の取り扱いは譲渡価額、取得コスト、譲渡コストを計算する際に、次のように扱います:

1. 消費税の課税事業者が業務用資産(土地など消費税がかからない資産を除く)を売る場合、譲渡資産が属する事業の収益と同じ方法で計算されます。種類に応じて、次の2つの方法があります:

   – 税込経理方式: 譲渡価格や取得コスト、譲渡コストを含むすべての計算に消費税等が含まれます。

   – 税抜経理方式: 譲渡価格や取得コスト、譲渡コストの計算に消費税等が含まれません。

2. 非事業者または消費税免税の事業者が資産を売却する場合、居宅などの非業務用資産や土地など消費税がかからない資産の売却時は、譲渡所得の計算は税込価格に基づきます。この場合、収入に対して消費税等は課税されません。

同族会社等の行為計算の否認

Q.私は同族会社の社長ですが、この度時価5,000万円の土地を私が経営するA社に3,000万円で売却しました。この場合、税務上の取扱いはどうなるでしょうか。

A.その譲渡が所得税法第157条(同族会社等の行為又は計算の否認)の規定に該当する場合、税務署長の認めるところによって、譲渡した物件の時価5,000万円で譲渡したとみなされ、所得税が課税されます。これは、個人が同族会社との間で行った取引で、その取引が民法上合法であっても、所得税法第59条第1項第2号に定められた「著しく低い価額(時価の2分の1未満の価額)」による資産譲渡に該当しない場合でも、税務上は取引を容認しない場合があるという規定です。これにより、税務負担の公平を保つことが目的です。さらに、他の株主への贈与税の課税にも注意が必要です。