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匿名組合契約による組合員の所得

Q.私は、物品販売業を営むAの事業のために出資をし、Aの事業から生じる利益の分配を受ける旨の匿名組合契約を結んでいます。この利益の分配は、何所得として課税されるでしょうか。なお、私は出資を行うのみで、Aの事業には、全く関与していません。

A.匿名組合契約とは、一方の当事者が相手方の営業のためにお金を出資し、その営業から得られる利益を分配する約束をした契約のことです。この契約によって、出資者は営業者の営業から得られる利益の分配を受ける権利を持ちますが、出資は営業者の財産となり、出資者は他人に対して営業者の営業行為に関する権利や義務を持ちません。したがって、この利益分配される利益は、最初に営業者に帰属し、その後出資者に分配されるため、税金は出資者に分配される利益に対して課されます。この利益は、出資や投資の対価としての性質を持つため、「雑所得」として分類されます。ただし、出資者が営業者と共に事業の重要な決定を行い、共同で事業を経営している場合は、利益の分配は事業所得またはその他の所得として扱われます。あなたは、Aのために出資をし、利益の分配を受けるだけでAの事業経営には関与していないので、受ける利益の分配は「雑所得」として課税されます。

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

Q.先物取引の差金等決済に係る損失について、その繰越控除の詳細を教えてください。

A.先物取引による差金決済で生じた損失について繰越控除を利用すると、その損失を翌年から3年間繰り越して、先物取引からの収入に対して損失分を差し引いて計算することができます。この繰越控除を受けるには順番があり、もし過去3年間で複数年にわたり損失がある場合は、最も古い年から順に損失を差し引きます。また、他の種類の損失の繰越控除を受ける際には、この先物取引の損失繰越控除を先に適用後、他の損失を繰り越します。繰越控除を利用するためには、損失が生じた年の確定申告時に特定の申告書と計算明細書を提出し、その後も繰越を利用する年ごとにこれらの書類を提出する必要があります。

先物取引に係る雑所得等の課税の特例

Q.「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」の概要について教えてください。

A.日本に住んでいる人、または日本に事業拠点を持つ外国人が特定の先物取引で利益や損失を確定させた場合、その取引から得た事業所得、譲渡所得、および雑所得の合計額に対して、通常の所得とは別に特別な課税方法が適用されます。この特別な課税方法では、所得税が一律15%(地方税を加えると合計20%)です。ただし、平成25年から令和19年までの確定申告には、所得税に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わります。

適用対象となる先物取引には、ある条件を満たした商品先物取引や金融商品先物取引、カバードワラントなどが含まれます。ただし、対象外の取引もあります。

先物取引から生じた損失は、他の先物取引の所得との損益通算は可能ですが、先物取引以外の所得との通算はできません。さらに、先物取引で生じた損失は、特定の要件を満たせば、今後3年間に渡って繰り越して控除することができます。

確定申告をする際は「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を提出する必要があり、その明細書には取引に関わる収入や経費の詳細を記載します。

先物取引を行う人は、取引を行う都度、名前や住所、個人番号または法人番号を先物取引を委託する業者などに提出し、本人確認のための書類提示も必要です。ただし、令和2年5月1日から12月31日の間に行われる特定の取引については、この手続きが免除されます。

新しいNISA制度の概要

Q.新しいNISA制度は現行のNISA制度とどのような点が異なるのですか。また、新しいNISA制度が始まると、既に現行のNISA制度(一般・つみたて・ジュニアNISA)で保有している商品は、どうなるのでしょうか。

A.令和5年度の税制改正に伴い、現在の「一般NISA」と「つみたてNISA」が令和5年12月31日で終了となります。令和6年からは、新たなNISA制度が導入され、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の二つに分かれます。成長投資枠の年間投資上限額は240万円、つみたて投資枠の年間投資上限額は120万円と定められています。また、これらの新制度は併用が可能で、年間の投資上限額が360万円までとなります。これら二つの制度では、非課税保有期間に制限がなくなり、非課税保有限度額は1億円に設定されました。なお、現行の一般NISAやつみたてNISAで保有している商品は、新しいNISA制度に移管できず、別枠で管理され、非課税措置が適用されます。ジュニアNISAで保有している商品は、非課税期間終了後は継続管理勘定へ自動的に移管され、18歳になるまで非課税で保有することが可能です。

ジュニアNISA制度の概要

Q.ジュニアNISA制度とは、どのような制度ですか。

A.ジュニアNISA制度、正式には「未成年者少額投資非課税制度」と呼ばれるもので、2016年1月からスタートした制度です。この制度は、未成年者が投資を行う際に得られる配当金や譲渡益などを非課税にするものです。それぞれの未成年者は一人一口座のみ開設が可能で、年間の新規投資額の上限は80万円です。この非課税の恩恵を受けることができる期間は最長で5年間と定められていますが、投資を行えるのは2016年から2023年までです。口座の管理は、開設者である未成年者の二親等以内の親族(例えば両親や祖父母)が担います。18歳になるまでは原則として資金の引き出しが制限されていますが、例外的に災害などやむを得ない事由がある場合には非課税での引き出しが可能です。また、令和5年以降は新規に購入することはできませんが、令和6年以降でも、18歳になるまでの間は引き続き非課税で保有できます。そして、その期間が終わっても、新たな非課税投資枠に資産を移管することで、継続して非課税の状態で保有することが可能になります。令和6年以降には、年齢にかかわらず、災害等特別な事由がなくても全額を非課税で引き出すことができます。

確定優良住宅地の造成等予定地のために土地等を譲渡した場合

Q.私の所有する農地1,500ぷについてS開発会社から買申込みがありました。S開発会社は都市計画法の開発許可を受けて、この農地を住宅建設用の宅地として造成する予定ですが、担当者の話では、開発許可を受けられるのは、来年の6月頃とのことです。本年中に土地を譲渡した場合、「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡」に該当し、特例を受けることができるでしょうか。

A.あなたの土地の譲渡所得については、「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡」の特例を受けることができます。税法では、長期にわたり保有していた土地を、住宅建設用地として造成するプロジェクトに譲渡する場合、特定の条件を満たしたときに税の計算に特例が適用されると定めています。この特例には、「開発許可を受ける前であっても、将来的に優良住宅地として造成されることがほぼ確実であれば適用される」などの規定があります。譲渡する際は、開発許可等に関する諸書類の交換が必要とされ、それらの提出によって特例の適用を受けられます。また、譲渡日から2年以内に特例の条件が確実であると認められる場合にも、特例の適用が可能です。特例を受ける際は、土地の譲渡後も一定の手続きを踏む必要があり、その詳細は税務署からの指示に従う形になります。

つみたてNISA制度の概要

Q.つみたてNISA制度とは、どのような制度ですか。

A.つみたてNISAは、主に少額から開始できる長期的な積立投資を奨励するための税制優遇措置です。この制度では、長期的に投資しやすく設計された特定の投資信託やETF(上場投資信託)など、手数料が比較的低く分配金が少ない商品に投資することができます。つみたてNISAと一般NISAの利用は選択制であり、18歳以上の居住者であれば(令和4年までは20歳以上)、口座を開設して利用することが可能です。各人は1つの口座のみを持て、年間40万円までの新規投資がこの非課税枠の利用限度であり、20年間で最大800万円まで投資できます。この期間中、投資商品から発生した分配金や売却益は非課税です。ただし、非課税期間が終了すると、その資産はNISA以外の課税対象の口座に移されます。令和5年現在、つみたてNISAを利用しての投資は同年まで可能であり、同年に購入した投資信託は20年間非課税の状態で保有できます。

一般NISA制度の概要

Q.一般NISA制度とは、どのような制度ですか。

A.一般NISA制度では、金融機関に非課税口座を開設し、この口座を使い上場株式や株式投資信託に投資した際に得られる配当や譲渡益が非課税になります。ただし、他の口座で発生した損益との合算はできません。18歳以上の方が口座の対象者となり、一般NISA口座とつみたてNISA口座のどちらか一つを選べます。投資可能なものは株式や投資信託で、一人につき一つの非課税口座が許可されます。年間120万円までの投資が非課税対象となり、この枠は最大600万円までです。非課税期間は最長5年間で、その後、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)が可能です。非課税期間内に得られた配当や譲渡益は5年間非課税です。令和5年まで利用可能で、令和6年以降は制度が見直され新しいNISA制度に移行します。

譲渡所得等の課税の特例

Q.約30年前から所有している農地を、A市の土地開発公社が市立幼稚園建設用地の対償地として買収することになっています。この契約は、私と公社、そして幼稚園用地の提供者Bの3者間で行われ、私の土地は直接Bに所有権移転の登記をすることになります。この場合、私の土地は「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡」に該当しますか?また、特定住宅地造成事業のため1,500万円の特別控除の特例は適用されますか?

A.あなたが所有する農地の譲渡は、「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡の課税の特例」に該当します。しかしながら、この譲渡で1,500万円の特別控除を申請する場合は、この特例の適用は受けられないことに注意が必要です。あなたのケースでは、A市の土地開発公社が市立幼稚園のために行う収用事業の対償地としてあなたの土地を譲渡する形ですが、この「対償地」は、土地の先行取得の業務に直接必要だと認められる土地として扱われます。ただし、対償地の譲渡価額が事業用地の補償金相当額を超える場合、超過分については特別控除の規定と同様、この特例の適用がない点を把握しておく必要があります。

NISA(少額投資非課税制度)の概要

Q. NISA(少額投資非課税制度)とは、どのような制度ですか。

A. NISA(少額投資非課税制度)は、投資者が「NISA口座」を使って毎年一定額の金融商品を購入した場合、その収益にかかる税金が免除される制度です。これには成年者向けの「一般NISA」と「つみたてNISA」、更に未成年者向けの「ジュニアNISA」があります。一般NISAでは年間最大120万円まで、つみたてNISAでは年間最大40万円まで、ジュニアNISAでは年間最大80万円までの投資が非課税枠で購入可能です。ただし、これらは一定期間内のみ非課税での保有が認められており、一般NISAとジュニアNISAは最大5年間、つみたてNISAは最大20年間の非課税保有が可能です。システム改正により、ジュニアNISAは令和5年までに新規開設が必要で、令和6年以降は新規購入ができなくなります。また、令和5年度の税制改正により、NISA制度は令和6年以降拡充・恒久化されることが決まっています。