admin のすべての投稿

有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等の所得計算の特例

Q.有限責任事業組合とはどのような組合なのでしょうか。また、この場合の分配金の課税関係はどのように取り扱われますか。

A.有限責任事業組合は、「有限責任事業組合契約に関する法律」に規定された組合の形態で、個人や法人が共同で事業を行うときに、健全な発展を目指し、組合員全員が有限責任を持つシステムです。この制度は、ベンチャー企業、中小企業と大企業のコラボレーション、共同研究開発、ITや金融分野の専門技術を持つ人々による共同事業を推進し、新しい産業の創出を促すために設けられました。税制面では、「有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等の所得計算の特例」が設けられており、この特例の下では、組合員が個人の場合、特定の書類を期限内に税務署に提出する必要があります。計算方法としては、事業所得等の損失額は、組合事業から生じる総収入金額と必要経費の合計から判断され、損失額が調整出資金額を超えない限り、通常の所得税法による計算が適用されます。調整出資金額自体は組合員の出資限度をもとに計算され、損失額がこの金額を超える場合、特殊な扱いがされます。複数の有限責任事業組合に参加している場合は、各組合事業ごとに計算が必要です。

特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例

Q.特定組合員である個人が任意組合等の事業から受け取る不動産所得の損失については、損益通算が認められないと聞きましたが、どのような制度ですか。

A.特定組合員が民法に規定される任意組合契約や投資事業有限責任組合契約などに基づき事業を営んでいる場合、その事業からの不動産所得の損失は所得金額の計算上、無かったことにされます。対象となる特定組合員は、重要な財産の処理や多額の借財に関わる決定には関与していない人々です。特定組合員かどうかはその年の12月31日の状況によって判断されます。特定組合員が不動産所得の損失を被った場合、その損失は通算(他の収益との損益を相殺)することができず、各事業ごとに損失額を計算します。確定申告をする際には、「組合事業から生ずる不動産所得の金額の計算に関する明細書」の提出が必要です。

譲渡所得等の課税の特例

Q.賃借中の不動産を取得後に譲渡した場合、資産の取得の日と取得価額の計算方法はどうなるのでしょうか。

A.資産の取得日は、その不動産を購入した日である平成30年9月1日になります。また、取得価額は、購入価格である1,800万円からその建物の減価償却費に相当する金額を差し引いたものです。これは、昭和52年3月10日から賃貸していた建物を、平成30年9月1日に購入することで、賃借権が法律上消滅するためです。したがって、この不動産の所有期間は令和5年1月1日時点で5年未満であり、売却したときの利益は短期譲渡所得として課税の対象になります。

任意組合の事業に係る利益の分配

Q.任意組合の組合員が、利益の分配以外に毎月給料の支給を受けている場合、この給料は給与所得ですか?

A.任意組合(民法第667条に定められた組合契約に基づくもの)は、個人が集まって形成された集団で、法人格を持っていません。そのため、任意組合が行う事業から得られる所得は、組合員一人一人の所得として認められるのです。給料などとして分配される場合も、その名称に関わらず、組合の主たる事業の種類に応じて、不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得として分類されます。このため、受け取った給料は給与所得ではなく、組合の事業の種類に基づいて分配されることになります。

土地区画整理事業により取得した宅地の譲渡

Q.土地区画整理事業が施行され、以前の地の代わりに土地を交換し、さらに50平方メートルを上乗せして取得しました。約1年後、今回その土地を全て売却しようと思いますが、昭和45年に取得した以前の地に対する交換土地部分は長期保有資産となります。では、追加で取得した50平方メートル部分はどうなるのでしょうか。 A.その追加で取得した50平方メートルの土地の取得原因が、土地区画整理事業による増加交換地であれば長期保有資産と考えられます。一方で、保留地を購入した場合は短期保有資産になるでしょう。具体的には、増加交換地の場合、土地区画整理事業によって小さすぎる土地を適切な大きさに調整するために追加で交換される土地があり、この追加土地は元の土地の取得時期を引き継ぎます。しかし、保留地とは土地区画整理事業での費用に充てるため事業施行者が所有権を取得した土地であり、これを購入した場合その引き渡し日が取得日とされます。

買換取得資産の譲渡と概算取得費計算

Q.昭和45年に事業用資産の買換えの特例の適用を受けて取得した土地と建物を、今度5000万円で売却することにしました。取得費の計算は、①引継取得価額160万円、②収入金額の5%に相当する概算取得費250万円、どちらを選択すればよいのでしょうか?

A.あなたのケースでは、250万円を取得費として計算することが可能です。概算取得費控除は、原則として昭和27年12月31日以前から持ち続けていた土地や建物を売った場合に使えるルールです。でも、昭和28年1月1日以降に買った資産でも、収入金額の5%相当額以下で取得した場合が多いです。そのような場合、5%の概算取得費で計算するとお得になることが認められています。この特例は、以前に事業用資産の買換え特例を使って買った資産にも適用できます。

譲渡所得の課税の特例

Q.前年に居住用財産の譲渡で3,000万円の特別控除を受けた場合、翌年に再度居住用財産を売却した際の軽減税率の適用は受けられますか?

A.はい、令和5年に居住用財産を売却した場合、軽減税率の特例の適用を受けることができます。この軽減税率の特例は、前年または前々年にこの特例の適用を受けていても、3,000万円の特別控除とは別に適用が可能です。つまり、前年または前々年に3,000万円の特別控除を受けていた場合でも、軽減税率の特例の適用を受けていなければ、その適用を受けることができます。

居住用財産の長期譲渡所得に対する所得税の計算

Q.私は、昭和48年に購入し現在まで引き続き居住している家屋と土地を令和5年7月に1億3,000万円で不動産業者に売却しました。この家屋と土地の取得費は3,600万円で、それ以外に譲渡のために400万円の費用がかかりました。この場合、私の譲渡所得についての所得税はどのように計算されるのでしょうか。 A.あなたの所得税額の計算は次のとおりになります。まず、課税する長期譲渡所得金額を計算します。これは、売却収入から取得費用と譲渡費用を引いた後、さらに特別控除額を引いて求められます。具体的には、1億3,000万円(収入金額)から3,600万円(取得費)と400万円(譲渡費用)を引き、さらに3,000万円(特別控除額)を引くと、課税対象となる長期譲渡所得金額は6,000万円となります。そのため、所得税は6,000万円×10%で600万円と計算されます。また、住民税は6,000万円×4%で240万円となります。なお、確定申告時には、所得税と一緒に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も申告・納付する必要があります。この場合、譲渡した資産は日本国内にある自己の居住用家屋及びその敷地であり、譲渡年の1月1日時点で所有期間が10年を超えているため、特例の税率が軽減される対象となります。

予定地が優良住宅地の造成等に該当しなかった場合の修正申告

Q.令和5年に所有する土地をO不動産会社に買い取られることになり、令和6年中に優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡に該当すると言われています。税額計算の特例の適用を受ける予定ですが、もし令和6年になって該当しなかった場合、差額の税金を納める必要がありますか?また、その場合の加算税や延滞税はどのようになりますか?

A.もし予定期間内に優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡に該当しなくなった場合、修正申告を行い、税額の差額を納める必要があります。この修正申告は、予定期間が経過した後の4ヶ月以内に提出する必要があります。期限内に修正申告が済んでいれば、増加した税額に対する過少申告加算税や、提出期限までの延滞税は課されません。

任意組合の事業による所得

Q.物品卸売業を友人3人との共同事業で行う予定で、出資金や利益の分配を規定する規約の作成をしています。この事業を任意組合方式で行いたいと考えていますが、規約の内容によって、各人の所得税の課税関係はどのようになりますか?

A.任意組合とは、複数の人が資金や他の財産、労働などを出し合い、共同で事業を経営することを約束する契約のことです。この組合は、民法においては法人ではないため、法人税の対象にはなりませんが、組合員が共有する財産から生じる所得は各組合員の所得として認識され、所得税が課税されます。利益は組合員間で共有され、その分配の仕方や出資の割合に応じて、各組合員に所得税がかかります。

組合員が決めた規約に基づいて、所得計算が行われますが、所得税負担の公平を保つために、一般的には以下の3つの計算方法があります。1つ目は、収入、支出、資産、負債など全般について報告を受け、それに基づいて計算する方法です。2つ目は、収支計算の報告のみを受けて、損益のみを計算する方法です。3つ目は、損益の額の報告のみを受けて、利益や損失のみを計算する方法です。これらの方法による計算は、組合員によって所得の計算方法や財産の認識に差が出ます。

提案された事業に参加するあなたも、これらのいずれかの方法で所得計算を行うことになり、計算期間は基本的に暦年で行わなければならないのですが、独自の事業年度を設定している場合には、その期間に従うことができます。