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新設法人の繰越欠損金の損金算入の特例

Q.新設法人には繰越欠損金の損金算入について特例があるとのことですが、その内容を説明してください。

A.中小法人等以外の新設法人の場合、通常、繰越欠損金の控除限度額はその年度の欠損金控除前の所得の50%までです。しかし、設立後7年間はこの控除限度額が100%に拡大されます。特例が適用されるのは、一般の法人のみで、資本金5億円以上の完全子会社等、株式移転完全親法人、投資法人等は除外されます。また、法人の株式が上場されたり、店頭売買有価証券登録原簿に登録された場合は、その事由発生の日以降の事業年度から特例が適用されなくなります。さらに、合併や分割によって成立した法人の場合、特別な設立日の起算点が設けられることも特記事項としてあります。

中小法人等以外の法人での繰越控除額の削減

Q.中小法人等以外の法人での繰越控除額の削減の概要を説明してください。

A.中小法人などを除く一般の法人が利用する欠損金の繰越制度では、繰越しを適用する年度の税引き前利益の半分までが控除の上限と定められています。例えば、もし法人が1000万円の繰越し可能な欠損金があって、その年の利益が600万円だった場合、600万円の50%に相当する300万円が控除できる最大額となります。その結果、300万円の利益に対して税金が課せられます。次の会計年度に繰り越される欠損金は700万円となります。ただし、再建中の企業や新設法人などは例外的に全額の控除が認められる場合があります。

欠損金等の繰越損金算入制度

Q.法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金の繰越制度について、税法の規定の概略を説明してください。

A.法人税法の第57条と第58条では、次のように規定されています。まず、内国法人が10年以内に開始した事業年度で生じた欠損金について、その事業年度以前に繰越欠損金を損金計上したり、繰戻し還付の基礎としていない金額は、その事業年度の所得の範囲内で損金に算入できます。このルールは、欠損金が生じた事業年度に確定申告を行い、その後も継続して確定申告を行っている場合に適用されます。また、必要書類を整理して、税務署に10年間保管している場合に限ります。次に、10年以上前に開始した事業年度で生じた欠損金に関しては、青色申告をしていない年度に生じた欠損金のうち、災害などによる損失を除いた部分のみが損金算入の対象になります。さらに、災害によって生じた損失の計算方法が詳細に規定されています。この結果、青色申告をした事業年度に生じた欠損金は全額が繰越控除の対象になりますが、青色申告をしていない事業年度に生じた欠損金は、一部の条件を満たす災害による損失金額のみが繰越控除の対象となります。また、2018年3月31日以前に開始された事業年度で生じた欠損金の繰越期間は9年と規定されています。

適格分社型分割による退職給付引当金の扱い

Q.適格分社型分割により退職給付引当金を分割承継法人へ引き継いだ場合、当社及び子会社での会計処理と税務上の取り扱いの詳細を教えてください。

A.適格分社型分割で子会社に退職給付引当金を引き継ぐ際の会計処理と税務上の取り扱いについて説明します。会計上では、親会社が負債として記録している退職給付引当金の一部を子会社へ移転。税務上、この移転により子会社に引き継がれた退職給付引当金は資本金等の額として扱われるため、将来子会社がこの資金を退職給与の支払いなどに使用しても、損金の額には算入されません。ただし、これは資産全体の引き継ぎができないということではなく、個々の資産、特に退職給付引当金の引き継ぎ自体は可能です。

適格分社型分割における会計処理と税務上の仕訳は、負債としての退職給付引当金、子会社株式、資本金、資本準備金等の処理を含みます。分割が行われると、子会社の資本金は増額され、税務上、子会社株式としての認識が変わります。分割によって子会社に移転された退職給付引当金は、税務上利益積立金額として処理され、将来の退職給与の支払いで取り崩しても申告減算が可能になります。

さらに、分割承継後も子会社における退職給付引当金と資本金等の額の取り扱いは明確で、退職給与の支払いに使用される場合、その引当金部分は税務上の調整が可能となります。最終的に、子会社での会計処理と税務上の処理の間で生じる差額は、将来の取り扱いに影響を与えることになります。

退職給付引当金の適格分割型分割による承継

Q.当社の完全子会社A社の事業の一部を完全子会社B社へ適格分割型分割で移転する際、A社からB社へ移転する従業員に関する退職給付引当金を引き継ぐ場合、A社とB社での分割に際しての記録はどのようになるのでしょうか。

A.適格分割型分割においては、分割承継法人(B社)に資本金の増加額や利益積立金額の増加させる額などが反映されます。退職給付引当金に関しては、分割法人(A社)で利益積立金とされており、分割承継法人(B社)へ引き継ぐ場合、特定の計算を使用してその額が決まります。退職給付引当金がB社においても利益積立金として取り扱われるため、この金額の引き継ぎによって資本金等の額が変化する心配はありません。例を挙げると、分割直前のA社の貸借対照表における資産、負債、退職給付引当金、資本金、利益剰余金の数値を基に、分割によりB社に移転する資産、負債、退職給付引当金の額を算出し、B社での資本金増額を含めた会計処理と税務での仕訳が示されます。分割に関連する記録としては、利益積立金額と資本金等の額の計算に関する明細書がA社とB社において作成され、分割承継によるものとして特記されます。このプロセスを通じて、A社の利益積立金となっている退職給付引当金の200はそのままB社に引き継がれる形となります。

完全子会社が分割される場合の会計処理と税務上の適格分割の取り扱い

Q.完全子会社B社をA社が分割し、Y事業部門の資産及び負債を吸収する場合、会計処理と税務上の適格分割の取り扱いはどのようになるか。

A.親子会社間での会社分割は、税法上「完全支配関係がある法人間の分割」として扱われますが、この場合は逆の条件に該当します。無対価分割となるため、以下のような会計処理と税務上の取り扱いが必要になります。

1. A社(分割承継会社)とB社(分割会社)の会計処理:

   – A社は、B社から受入れる純資産の差額(資産200 – 負債110 = 90)に対して、所有するB社株式の帳簿価額200から減額し、その差額30を特別利益(その他利益剰余金)として計上します。

   – B社は、純資産の減少額90を繰越利益剰余金の減少として処理し、これには株主総会の承認が必要になります。

2. 税務上の適格分割の取り扱い:

   – 分割承継会社(A社)が分割会社(B社)の全ての発行済株式等を所有している場合、無対価分割であっても適格分割に該当します。

   – A社及びB社は、法人税申告書において、以下のように記載する必要があります:

     – 移転された資産の帳簿価額、移転された負債の帳簿価額、および資本金等の額を減少させる額を計算し、これに基づき貴社が計上した特別利益30を別表四で減算(留保)し、利益積立金額の増加は税務上の留保利益とは関係ないものとして扱います。

非適格分割をした場合の税務処理の事例(1)

Q.会社分割で分割承継会社B社が分割会社A社の完全子会社でなく、この会社分割が非適格分割型分割又は非適格分社型分割であった場合、分割会社、分割承継会社及び分割会社の株主の税務での処理はどのようになりますか。

A.非適格分割の場合、分割承継会社に移転する資産について、分割会社は譲渡損益を計上する必要があります。また、分割承継会社は資産を時価で受け入れることになります。

具体的な処理を見ると、非適格分割型分割では、分割会社が分割時の価額で資産と負債を譲渡し、その結果生じた譲渡益を利益として計上します。分割会社の株主へは、分割承継会社の株式が交付され、それに伴う資本金等の減少額と利益積立金の減少額が発生します。

一方、非適格分社型分割の場合、分割会社は分割承継会社に純資産を移転し、その見返りとして分割承継会社の株式を受け取ります。この場合も、分割承継会社は資産と負債を時価で受け入れ、その金額に応じて資本金等の増額を行います。

最終的に、分割会社の株主は、一部の株式を譲渡して分割承継会社の株式を取得することになりますが、分割型分割により分割承継会社の株式以外の資産が交付されない限り、特に異なる税金処理は必要ありません。

適格分割をした場合の税務処理の事例(2)

Q.当社(A社)は完全子会社であるB社を分割承継法人として、当社のX事業部門の資産及び負債を吸収分割により移転させる予定です。分割が適格分割型分割又は適格分社型分割である場合、分割会社(A社)、分割承継会社(B社)及び分割会社の株主である甲社と乙社の税務上の処理は、それぞれどのようになりますか。

A.このケースでは、A社がB社に資産を移転することで、完全な支配関係にある法人間の分割が行われるので、適格分割に該当します。適格分割型分割の場合は、株主(甲社と乙社)にB社の株式が交付され、適格分社型分割の場合はA社自体がB社の株式を受け取ります。どちらの方法も、A社がB社に移転する資産の譲渡益を計上する必要はなく、B社も取得した資産の帳簿価値を分割時の価額で記録する処理を行いません。また、適格分割型分割の際は、A社の株主(甲社と乙社)に対して、その株式の譲渡から生じる損益も発生しません。

税務処理の観点から見ると、分割法人(A社)の資本金等の額及び利益積立金額は、分割承継法人(B社)に資産と負債を分割前の帳簿価額で引き継ぐ形で調整されます。分割会社の株主には、分割型分割によって得た分割承継法人の株式の取得価額が帳簿価額で設定されます。適格分割型と適格分社型の場合の処理の違いは、A社が、B社から株式を受けるかどうかと、それに伴う資本金等の調整の仕方にあります。

適格合併をした場合の税務処理の事例(1)

Q.適格合併を行った場合の会計処理と税務処理はどのようになるのか?

A.適格合併は、完全支配関係のある子会社を吸収合併する場合に該当するもので、この場合、会社は子会社の資産と負債を合併直前の帳簿価額で継承します。会計処理においては、合併差額(資産と負債の差額)を特別利益として計上します。たとえば、資産500、負債200の場合、子会社株式の帳簿価額130を差し引いた170が特別利益として計上されます。税務上、資本金等の増加額は10、利益積立金の増加額は215となり、これらは合併に関連する各種申告調整の対象となります。合併により引き継がれた資産や負債、特別利益として計上された合併差益等の取り扱いがこれに該当します。

適格組織再編成 (6)一適格株式分配の意義

Q.法人税法第2条の十二の十五の三に規定されている適格株式分配とはどのようなものか、説明してください。

A.適格株式分配は、2017年度の税法改正で導入された制度で、特定の条件を満たす完全子会社の株式が分配される場合を指します。この制度では、事業を独立させるために行われる株式の分配が「適格株式分配」と定義されています。具体的には、株式分配とは現物分配(剰余金または利益の配当によるもの)の中で、分配直前に発行済み株式の全てを保有する法人の株式が全て移転するものを指し、適格株式分配はこれに加えて、完全子会社が独立して事業を行う場合に限定され、次の条件をすべて満たすものとされています。1)非支配要件:株式分配前に完全子会社と他者間に支配関係がなく、分配後に完全子会社が他者に支配される状態がないこと。2)役員等の引継要件:株式分配前の特定役員が全員退任しないこと。3)従業員相当数の引継要件:分配前の従業者の大部分が引き続き完全子会社で働くこと。4)事業継続要件:完全子会社が引き続き主要事業を行うこと。これらの条件を満たすことで、適格株式分配として認められ、特定の税制上の優遇措置が受けられます。