繰延税金負債についての申告調整の事例

Q.特別償却準備金の積立限度額が生じた場合の、X1期とX2期における税効果会計の適用と申告調整方法はどのようになりますか?

A.税効果会計では、特別償却準備金や準備金等の損金算入額は将来税金額が増える一時差異として扱われます。この一時差異に法定実効税率を乗じて得られる金額が繰延税金負債として計上されます。X1期には、700万円の積立額のうち65%相当額(税率補正後の額)が繰越利益剰余金に振り替えられ、残り35%は繰延税金負債として計上されます。申告時には、法人税等調整額として245万円を加算し、繰延税金負債として245万円を記入します。特別償却準備金455万円も記入し、合計700万円の損金算入分を、「特別償却準備金認容」として減算します。

X2期では、剰余金の処分で100万円の取り崩し後には600万円になります。この600万円に対して法定実効税率を適用した後の金額と、X1期の積立額との差額が新たな繰越利益剰余金となり、また繰延税金負債の調整が行われます。具体的には、繰越利益剰余金に35万円を、繰延税金負債に65万円の減少分をそれぞれ仕訳します。申告時には、法人税等調整額65万円を減算し、繰延税金負債65万円を記入し、特別償却準備金35万円を益金算入される形で別表記入します。

全処理は、確定申告書に添付される「積立金方式による諸準備金等の種類別の明細表」に正確に記載されなければなりません。

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