Q.減価償却費や引当金の繰入額等について税法はどのような取り扱いをしており、その結果、申告減算調整が認められない理由は何ですか?
A.税法では、減価償却費や引当金の繰入額などを損金として計上することが要求されており、これらの金額に関して、損金算入の範囲が定められています。特に、剰余金の積み立てが許可されている圧縮積立金や準備金についても、これらの積立額が損金算入の限度として設定されています。日本の税制は、法人とその株主の間で受け渡される配当に対する税制の運用について、法人擬制説に基づく特定のルールを設けています。このため、配当を行う側の法人が配当金額に対して税を納めているという保証が必要であり、減価償却費や引当金の繰入額についての申告減算調整を認めると、実際の利益に対して過剰な減算調整が可能になり、結果として課税されていない利益から配当が行われることになるおそれがあります。これは、法人税が課税されているとされる所得から配当が行われるべきという税法の基本的な考え方に反します。そのため、減価償却費や引当金の繰入額などに対する損金算入は、これらが計上された金額や繰越利益剰余金からの振替えによる積立金額を限度として行われます。税制が今の仕組みから変更するには、税制の基本的な構造そのものを改める必要があるでしょう。