繰越欠損金の控除を受けるための決算操作は認められるか

Q.繰越欠損金の控除期間が終わる年度で、所得の金額が少なく繰越欠損金の大部分が打ち切りになる場合、減価償却費の計上や引当金の繰り入れをやめたり、貸倒損失や固定資産廃棄損の計上を翌事業年度以降に繰延べて所得の金額を増やし、打ち切りとなる金額を減らすことはできるのでしょうか。

A.繰越欠損金を利用して損金を算入できるのは、その事業年度開始日の前10年以内の期間に生じた欠損金に限られます。したがって、控除期間が過ぎても損金算入ができずに残る金額があり、これを減らすために、所得金額を増やす操作を考えるかもしれません。これには、減価償却費や引当金の計上を止めたり、後の年度に貸倒損失や固定資産廃棄損の計上を繰延べる方法があります。税法上、減価償却費や引当金の繰り入れなど、損金算入に影響する項目の操作は、利益操作目的でも基本的には許されますが、会計基準や会社法に反する可能性があります。一方で、貸倒損失や固定資産廃棄損の計上を繰延べる行為は、税務処理上、その事実があるにも関わらず経理処理を行わないことで課税を回避しようとするものであれば、その後の年度において損金算入されないことがあるので注意が必要です。つまり、繰越欠損金の控除期間が終了する事業年度以降にこれらの損金を計上しても、すでに損金として認められてしまっているため、二重に損金算入することはできません。

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