Q.法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金の繰越制度について、税法の規定の概略を説明してください。
A.法人税法の第57条と第58条では、次のように規定されています。まず、内国法人が10年以内に開始した事業年度で生じた欠損金について、その事業年度以前に繰越欠損金を損金計上したり、繰戻し還付の基礎としていない金額は、その事業年度の所得の範囲内で損金に算入できます。このルールは、欠損金が生じた事業年度に確定申告を行い、その後も継続して確定申告を行っている場合に適用されます。また、必要書類を整理して、税務署に10年間保管している場合に限ります。次に、10年以上前に開始した事業年度で生じた欠損金に関しては、青色申告をしていない年度に生じた欠損金のうち、災害などによる損失を除いた部分のみが損金算入の対象になります。さらに、災害によって生じた損失の計算方法が詳細に規定されています。この結果、青色申告をした事業年度に生じた欠損金は全額が繰越控除の対象になりますが、青色申告をしていない事業年度に生じた欠損金は、一部の条件を満たす災害による損失金額のみが繰越控除の対象となります。また、2018年3月31日以前に開始された事業年度で生じた欠損金の繰越期間は9年と規定されています。