収用等の場合の課税の特例が適用される移転補償金

Q.収用に伴い起業者から交付を受ける移転補償金のなかで、収用等の場合の課税の特例が適用されるものには、どのようなものがありますか。

A.移転補償金は基本的に収用等の場合の課税の特例の適用を受けませんが、例外的に特例が適用される場面があります。特例が適用されるケースは主に以下の2点です。

1. 「ひき家補償」の名目で起業者から補償金を受け取ったが、収用された土地にある建物や構築物を実際には移動せずに取り壊した場合、その補償金は建物や構築物の対価とみなされます。通常、ひき家補償金は補償される建物や構築物の移設にかかる費用を補填するために交付され、税の特例の対象外です。しかし、もしそれらの建物や構築物を取り壊した場合、補償金はその建物や構築物の買取代金として扱われ、特例が適用されます。

2. 機械装置の移転費用を補償するために受けた補償金についても、その補償金が移設することが非常に難しい資産、例えば製錬設備の溶鉱炉や公衆浴場の浴槽の取り壊しや修繕の補償金であれば、その補償金は対価補償金として扱われます。機械装置の新設費用の補償金が移転費用の補償金を上回る等、特定の状況下では、その補償金が実質的に新設費用の補償となっており、対価補償金としての扱いが可能です。

なお、これらの場合においても、補償金に関連する資産の売却や取り壊しによって生じた損失が補償金の額を超える場合、特例の適用による利益は発生しません。この場合、補償金は対価補償金として扱われず、発生した損失は収用された資産の譲渡にかかる経費として処理されます。

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