消費税等の経理処理―税抜経理方式と税込経理方式の内容と特色

Q.消費税等の経理処理には税抜経理方式と税込経理方式とがあるそうですが、その内容と特色を教えてください。

A.税抜経理方式では、仕入れなどに関連する消費税(および地方消費税)を仮に払った税(仮払消費税等)として扱い、売上などに関連する税を仮に受け取った税(仮受消費税等)として扱います。この方法では、課税期間に関する仮受消費税等と仮払消費税等を相殺し、その差額を納付するか、還付を受けます。企業の損益計算には消費税の影響を与えません。一方、税込経理方式では、仕入れなどに関連する消費税を資産の取得コストや費用に含め、売上などに関連する消費税を収益に含めます。納付する税額を税金等の費用に、還付を受ける税額をその他の収入として計上します。

税抜経理方式の長所としては、消費税が取引によって転嫁される税であり企業に負担がないため、この方式がその本質に合致していること、また、仕入れの消費税を資産や費用に含めないため、資産の評価が低くなり、保守的な会計の原則に適合することが挙げられます。税込経理方式の長所は、取引ごとに売上や仕入れの中の消費税を分ける必要がなく日常の取引処理が簡単であること、また、控除対象外の消費税が発生しても、すべての取引が税込みで処理されているため、特別な調整が不要であることです。

基本的に、消費税等の経理処理は税抜経理方式を基準としていますが、不課税取引や非課税取引が主要な事業、または簡易課税制度を選択する事業体など、業種に応じて税込経理方式を適用することも考慮されています。収益認識の会計基準では、消費税と地方消費税は取引価格に含まれず、このため税抜経理方式が基本とされています。

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