Q.事業年度の途中に死亡された役員の遺族に対して、取締役会の決議により退職弔慰金を支払いました。当社及び当該役員の遺族に対する課税関係を教えてください。
A.役員が退職した際の退職給与の損金算入は、通常は株主総会等の決議で金額が具体的に決まった場合の事業年度に行われます。しかし、法人が退職給与を実際に支払った事業年度で損金処理した場合も認められます。役員が死亡した場合の退職給与は通常次の事業年度の株主総会で承認されますが、礼儀を考慮してすぐに支払われることが一般的です。法人税法では退職給与の損金算入に際して株主総会の承認が必須ではなく、また、遺族が受け取る死亡退職金についての相続税は支給時期に基づいて課税されますから、損金算入時期はこれに合わせる必要があります。支給前でも実際に支払いが行われた場合、税務上はこれを認めています。ただし、株主総会での追認が必要で、追認されない場合は支給した役員に対して返済義務が生じます。特定の役員向けには、支給前に報酬委員会の承認を得ることも可能です。死亡退職金は基本的に相続財産と見なされ、相続税の対象となりますが、退職弔慰金は遺族への哀悼を意図したもので遺族による相続財産には含まれません。役員の死亡退職金には課税対象外となる部分があり、これは相続税法の規定に基づきます。また、非課税の範囲内で相続税が課されます。遺族に支払われる退職弔慰金と退職金の区分についても具体的な基準が示されており、その基準を満たした金額は死亡退職金として扱われます。不当に高額な退職金の部分については法人の所得計算上、損金に算入されません。