Q.食堂を開業するための建物を買う契約をして支払った手付金を、他に良い立地の建物が見つかったため契約を解消して放棄しました。この手付金の損失は、新たに取得した建物の価額に含めることは可能ですか。
A.手付金とは、契約を保証するために事前に支払うお金です。契約の履行前に契約を解約した場合、手付金は放棄され、買い手はその金額を失うことになります。企業がより良い取引条件を探求して手付金を放棄するのは、事業の進行上自然なことであり、この手付金は多くの場合必要経費として計上できます。ですが、質問されたケースでは、事業がまだ開始前の段階で、手付金の放棄に対応する収入がないため、これを直接必要経費にすることはできません。その放棄した手付金を新たな店舗の取得費用とみなして、それを建物の取得費用に加えるという考え方もありますが、これにより適正な市場価値を大幅に超える価格での資産計上が生じる恐れがあり、会計上必ずしも適切とはいえません。したがって、この手付金の損失は、開業費の一部とみなして開業後の必要経費に計上するのが妥当だと考えられます。開業費は、事業開始から5年間で償却が可能であり、償却に関しては柔軟な方法が認められていますが、その詳細は確定申告書に記載する必要があります。