Q.個人で食料品の小売販売をしており、コロナウイルス禍を受けて売上げの一部を医療機関に寄附する取組を始めました。この取組では、指定商品の売上金額の一定割合を寄附金額とし、寄附先や寄附日などを事前に設定し、店内ポスターやホームページで周知することにしました。予定どおり医療機関に寄附をしましたが、この支出は、事業所得の計算上、必要経費に算入できるでしょうか。
A.質問に対する回答として、医療機関への寄附金が、事前に広く一般に周知していた取組による場合に限り、事業所得の計算上、必要経費に算入できます。所得税法では、必要経費は収入を得るために直接要した費用や販売費、一般管理費などの業務に関連する費用とされています。あなたの取組は、新型コロナウイルスの下での社会的支援としての医療機関支援に加え、集客目的の広告宣伝効果も持つと認められます。また、顧客が指定商品を購入する際、取組に合意しているため、あなたには寄附する義務があり、そのための支出は事業の遂行上で発生した必要なものとされます。しかし、周知内容が不明確な場合などは必要経費に算入できない場合があるので注意が必要です。個人事業主が寄附金で必要経費に算入されない場合、それは個人の家事上の経費となり、寄附先が国や地方公共団体などの寄附金控除の対象であれば、控除を受けることができます。