Q.不動産事業を経営している者ですが、令和5年7月にマンション一棟について500万円の資本的支出をしました。この場合、減価償却費の計算はどのように行うのでしょうか?
A.資本的支出が発生した場合、その取扱いは以下のようになります。まず、平成19年4月1日以後に資本的支出があった場合、原則として、その支出は新たに取得した減価償却資産とみなし、定額法または定率法を用いて償却費を計算します。また、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産に対する資本的支出がある場合には、特例として、その支出金額を既存の減価償却資産の取得価額に加算し、加算後の金額で全体を償却することができます。これは、原則に基づく計算と特例による計算のどちらも可能です。
ご質問のケースでは、令和5年7月に資本的支出を行ったため、原則的な計算と特例による計算を両方することが可能です。
原則的な計算では、マンション本体の減価償却費は6000万円 × 旧定額法償却率0.022 × 残り耐用年数で計算し、1,188,000円になります。資本的支出部分は500万円 × 定額法償却率0.022で、55,000円になります。
特例による計算では、令和5年分のマンション本体と資本的支出部分を分けて計算し、令和5年分のマンション本体の減価償却費は同様に1,188,000円、資本的支出部分の減価償却費は49,500円になります。令和6年分以後はマンション本体と資本的支出部分の合計、つまり6,500万円 × 旧定額法償却率0.022 × 残り耐用年数で計算し、1,287,000円になります。
これにより、ご質問のマンションに対する減価償却費の計算方法が理解できると思います。