確定申告で還付される中間申告の税額を未収入金に計上したときの申告調整方法

Q.確定申告書の作成により算出した当事業年度の法人税・地方法人税、住民税及び事業税・特別法人事業税の額よりも、中間申告で納付した税額の方が多いため、確定申告によって還付されるその差額を未収還付税金に計上した場合、どのように申告調整するのですか。この税額が還付される翌事業年度の申告調整方法も教えてください。

A.未収還付税金に計上した事業年度と翌事業年度における税金の還付に関する申告調整方法について説明します。事業年度内で未収還付税金として計上した際、利益積立金の計算で資産性のないものとして、別表四でその額を減算し、別表五(一)の Iの欄にマイナスで記入します。ただし、法人税、地方法人税、道府県民税、市町村民税の還付額については、財務書類上の特定の欄にそれぞれマイナス記入し、事業税及び特別法人事業税の還付額は記入しません。これにより、還付額は未収還付法人税等として減算されたものとして処理されます。翌年度に還付された税金については、未収還付税金が消滅すると同時に、別表四で加算し、別表五(一)の欄で還付金額を消去します。法人税及び住民税の還付額は、特定の欄に記入して減算し、益金不算入とします。事業税及び特別法人事業税の還付額は特別な処理をせず、還付された事業年度に利益として計上します。

中間配当とこれに伴う利益準備金積立額の申告書での記載方法

Q.1年決算法人が、中間配当を1,000万円、これに伴う利益準備金の積立てを100万円行ったとき、確定申告書の別表四、五(一)のIにはどのように記載しますか。

A.1年決算の会社が中間配当で1,000万円、これと関連して利益準備金を100万円積み立てた場合、会計上の処理は次のようになります。繰越利益剰余金から1,100万円を減らし、そのうち1,000万円は未払配当金として、100万円は利益準備金として扱います。この取り扱いは、株主資本等変動計算書にて繰越利益剰余金の減少額として1,100万円(内訳:配当として1,000万円、利益準備金積立として100万円)、そして利益準備金の増加として100万円が記載されます。

会社法では、中間配当についての規定があり、分配される総額は、その行為が効果を生じる日の分配可能額を超えてはならないと定められています。分配可能額の計算は、最終事業年度の末日の剰余金の額から、自己株式の処分、減資、準備金の減少などによる剰余金の増減を考慮して算出します。損益の増減は含まれませんので、基本的には前期から繰り越された剰余金を分配することになります。つまり、会社法上は前期の剰余金からの分配であり、現行の法人税法では、中間配当を行う決議があった場合その事業年度の中間配当額を「配当」として特定の欄に記載します。

利益準備金積立額の100万円については、株主資本等変動計算書においては、繰越利益剰余金から利益準備金への振替えとして記載されますので、確定申告書の別表五(一)のIで「繰越損益金口」の②欄と「利益準備金」の③欄にその記載をすることになりますが、この振替えは税法上の処理であり、別表四での記載は必要ありません。

消費生活協同組合の「利用分量割戻金」

Q.消費生活協同組合の利用分量割戻しについて教えてください。

A.消費生活協同組合では、組合員が利用した量に応じて剰余金から値引きを行う制度があり、これを「利用分量割戻し」と言います。この割戻しは、組合員への供給高などの価格引き下げの一形態ですが、その資金は剰余金から出されます。税務上は、これを「割戻積立金」として事業年度の損失に計上することができます。ただし、組合員に対する供給以外の取引で生じた剰余金は、割戻しに使えず、損金計上も認められません。

割戻しについては以下の点に注意が必要です:

1. 剰余金を超えて割戻しを行うことは、法律上も税務上も認められていません。

2. 施設ごとに損益管理を行っている場合、施設ごとに割戻しを実施しても問題ありません。

3. 剰余金処分で積み立てた割戻積立金は、損金の額に算入されます。取り崩しに関しては、積立時に損金計上されているため追加の申告調整は不要です。

4. 割戻しを行わなかった場合、割戻積立金を取崩した場合、または2年経過して残額がある場合などは、その金額を益金として計上する必要があります。

5. 会計上、割戻積立金は未払割戻金として扱われ、負債の部に計上されます。用途に応じた取崩し方法を守り、正確に会計処理を行う必要があります。

ここで説明した内容は、税理士であれば理解しやすいでしょう。未来のなびドラの独自開発システムに基づいています。

消費生活協同組合の組合事業に関する知識の向上のための費用等の積立て

Q.消費生活協同組合では、消費生活協同組合法に基づいて剰余金の一部を翌事業年度への繰り越しとして積み立てることが規定されていますが、この積立てをどのように行い、翌事業年度にその目的のために使用した場合、会計上及び税法上どう処理されるのでしょうか?

A.消費生活協同組合法第51条の4第4項では、毎事業年度の剰余金の一定額以上を翌事業年度へ繰り越さなければならないと定められていますが、この規定では剰余金を特定の積立金として設定する必要は指示されていません。つまり、剰余金の配分を決定する前に、法に記載された特定の事業の費用に充てるため、剰余金の一定額以上を保留するよう指示されています。従って、剰余金の処理にあたっては、消費生活協同組合法施行規則に従って、繰越金が特定の積立金として明示されることはなく、剰余金の処分案にも特別な積立金として記載されません。翌事業年度に当該費用の支出が発生した場合も、損益計算書や剰余金処分案に特別な処理項目を設ける必要はなく、税務上で特別な申告調整を行う必要もありません。

別表五(一)の記載方法について

Q.会社法第448条第1項第2号の規定による準備金の資本組入れとして利益準備金の資本組入れをした場合、または同法450条第1項の規定による剰余金の資本組入れとして繰越利益剰余金の資本組入れをした場合、別表五(一)に、【問27-3】に準じた記載をすべきことになるようですが、具体的に説明してください。

A.株式会社は、株主総会の決議を通して準備金または剰余金を減らし、その分を資本金に足すことができます。ここで、税法では準備金が資本金に関係する取引か、それとも利益に関係する取引かで分けられ、記載方法が変わります。資本準備金は例えば株式の発行時に株主から受け取ったお金の一部で、会社法に基づいて資本金に計上されない部分です。利益準備金は、配当をする際に基準となる準備金が足りない場合に積み立てられるお金です。

税法上、資本組入れした場合、その金額は資本金から引かれますが、これには例外があります。たとえば、利益準備金や繰越利益剰余金から資本金への振替えがあった場合、資本組入れされた金額は引き続き利益として扱われ、会計上の利益と資本金の総額は変わりません。

資本金等に該当する準備金の場合は、資本準備金から資本金への振替えがありますが、別表五(一)のⅡに記載します。利益積立金額に該当する場合は、利益準備金または繰越利益剰余金から資本金への振替えがありますが、これは振替えによって資本金等の額を減少させ、利益積立金額のままにします。これにより、資本金の増加分として記載され、利益積立金額の減少分と相殺されます。

さらに、剰余金の額を減少させて資本金を増やした場合、税法上は資本金等の額にも影響しますが、これには資本剰余金と利益剰余金の区分によって変わります。また、この種の資本組入れによるみなし配当課税は行われません。資本金の額を増やす代わりに、資本金以外の金額を減らすことで、会計上と税法上での資本金の額が異なってしまう問題を解決しています。

別表五の取引における正負逆転の記載

Q.別表五 (一)の IとIIに正負が逆の金額を記載する取引について、繰越利益剰余金のマイナスを消すために資本準備金を取り崩した場合、具体的にどういう処理をするのか説明してください。

A.別表五(一)のIは利益積立金額の詳細を示す部分で、IIは資本金等の額の詳細を示します。税務上、法人の利益剰余金は利益積立金額として、資本金と資本剰余金は資本金等の額としてそれぞれ取り扱われます。このため、会計上と税務上で通常は差異が生じません。しかし、一部の取引では会計と税務の間に差異が生じ、この差は別表五(一)のIとIIにおいて、それぞれ資本金等の額と利益積立金額を記載し、正負が逆で絶対値が同じ金額を記入することで調整します。例として、繰越利益剰余金を消すために資本準備金を減少させ、繰越利益剰余金を同等額増加させる取引があります。この会計処理では、資本準備金(税務上は資本金等の額)が減少し、繰越利益剰余金(税務上は利益積立金額)が増加しますが、税務上の資本金等の額や利益積立金額に変動はありません。そのため、会計上と税務上の違いを調整するために、別表五(一)に特定の形式で記載を行います。

申告書別表四と別表五 (一 )の Iの突合せ検算方法

Q.法人税申告書の別表四と別表五(一 )の Iの二つの表の突合せ方法について教えてください。

A.法人税申告書の別表四は、会社が確定した決算で計算された当期純利益に、税法のルールに基づいた調整を加えて、最終的に課税所得を計算するための明細書です。この明細書は、税務上の損益計算書とも呼ばれます。一方、別表五 (一 )は、法2十八に基づく利益積立金と法2十六に基づく資本金等の期首と期末の額、それに期中の増減を記録する明細書で、税務上の貸借対照表として機能します。

これら二つの表は互いに関連しており、別表四で計算された所得金額が、別表五(一 )の Iで記載される利益積立金額に影響を与えるため、突合せが必要です。具体的には、別表五(一 )の Iに記載される利益積立金額は、企業が各事業年度で留保した所得の累計額を示します。この計算には、事業年度末の未納の各種税金を控除します。

実務上は、別表五 (一 )の I「期首現在利益積立金額」、「留保」額、「当期の未納税金の増減」、そして「翌期首現在利益積立金額」との間で検算作業が行われ、これらの間の関連性を理解することが重要です。また、別表四に記載される留保額が特に、別表五(一 )の Iと直接的に関連しています。

このように、二つの表を適切に突合せることで、企業の税務上の扱いが正確に反映されるようになります。

減価償却費や引当金繰入額等の申告減算調整が認められない理由

Q.減価償却費や引当金の繰入額等について税法はどのような取り扱いをしており、その結果、申告減算調整が認められない理由は何ですか?

A.税法では、減価償却費や引当金の繰入額などを損金として計上することが要求されており、これらの金額に関して、損金算入の範囲が定められています。特に、剰余金の積み立てが許可されている圧縮積立金や準備金についても、これらの積立額が損金算入の限度として設定されています。日本の税制は、法人とその株主の間で受け渡される配当に対する税制の運用について、法人擬制説に基づく特定のルールを設けています。このため、配当を行う側の法人が配当金額に対して税を納めているという保証が必要であり、減価償却費や引当金の繰入額についての申告減算調整を認めると、実際の利益に対して過剰な減算調整が可能になり、結果として課税されていない利益から配当が行われることになるおそれがあります。これは、法人税が課税されているとされる所得から配当が行われるべきという税法の基本的な考え方に反します。そのため、減価償却費や引当金の繰入額などに対する損金算入は、これらが計上された金額や繰越利益剰余金からの振替えによる積立金額を限度として行われます。税制が今の仕組みから変更するには、税制の基本的な構造そのものを改める必要があるでしょう。

事業年度中に事業所を新設した場合の地方税の分割方法

Q.大阪に本社及び大阪営業所を同じビルに設け、東京と名古屋に営業所を1か所ずつ設けている卸売業を営む会社で、事業年度は4月1日から翌年3月31日までです。名古屋営業所は、令和5年10月に新設したのですが、令和6年3月期の確定申告に当たって、地方税の分割はどのように計算するのですか。

A.地方税、具体的には事業税や住民税に関しては、会社が複数の県や市町村に事業所を持つ場合、税の課税基準となる所得金額や収入金額(外形標準課税が適用される場合は、その他の指標も含む)や法人税額を特定の基準に従って分割し、それぞれの地域に応じた税額を計算して納付します。事業税の場合、事業の種類によって従業員の数や固定資産の価額など様々な要素を使って分割基準を決定します。一方、住民税の分割は、課税期間終了時点での従業員数を基準にします。

あなたの会社が令和5年10月に名古屋に新たな営業所を設立した場合、令和6年3月期に申告する事業税と住民税は、大阪と東京の事業所が事業年度中ずっと存在したので12のカウントがあり、名古屋のは6(新設したため半期分)として計算します。従業員数にも同様の原則が適用され、事業年度中に新設するか廃止した場合、事業年度終了時、または新設・廃止前後の従業員数を基に計算します。

具体的な計算方法については、課税標準額を分割基準の総数で割った額に、それぞれの地域の分割基準数をかけて算出します。計算では小数点以下を適切に処理する必要があります。例えば、従業者が特定数いる地域で課税標準額を分割する場合、分割後の金額を計算し、1000円未満の端数を切り捨てます。

名古屋営業所の設立により、住民税の分割基準に影響が出るのは、課税標準の計算時に新設された営業所の従業員数と設立から事業年度終了までの期間を含むためです。

重加算税の税額と隠蔽又は仮装の定義

Q.重加算税の税額はどのように計算しますか。また、これが課せられることとなる事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装とは、どのようなものをいうのですか。

A.重加算税は、法人が税務申告時に事実の全部または一部を隠蔽したり、偽装した場合に適用される税金です。この場合、通常の過少申告加算税の代わりに、以下のように計算される重加算税が課せられます。

1. 事実の隠蔽や偽装に基づいた過少申告があった場合、増差税額の35%に相当する金額が重加算税として課されます。

2. 期限内に申告書を提出せず、事実の全てまたは一部を隠蔽・偽装した場合、決定または期限後申告による税額の40%が重加算税として課されます。

さらに、過去5年以内に無申告加算税または重加算税が課されていた場合、重加算税に10%が上乗せされます。

隠蔽又は仮装に該当する事例としては、以下が挙げられます。

1. 虚偽の記録や二重帳簿の作成。

2. 帳簿や関連書類の隠蔽、破棄、改ざん、虚偽記入。

3. 経費の過大もしくは架空計上、収入の隠蔽や脱税。

4. 特定の損金算入や税額控除の要件となる書類の改ざん。

5. 確定した決算や帳簿に記載されていない資産からの利益の未計上。

6. 同族会社であるにもかかわらず、非同族としているように見せる行為。

7. 帳簿書類の隠蔽、虚偽記載などによって支出が否認される場合。

これらの行為は、税務上の不正行為と見なされ、重加算税の対象となります。