法令違反の嫌疑により帳簿書類を押収された場合の確定申告期限の延長

Q.3月31日決算の会社で法人税法による確定申告書提出期限の延長特例を受けていますが、5月20日に法令違反の嫌疑で捜査機関に帳簿書類を押収され、6月30日の提出期限までに決算書を作成して定時総会で承認を受けることが困難になりました。提出期限を延長することはできますか?

A.災害ややむを得ない理由で決算が確定できず、法人税の確定申告書を提出期限までに提出できない場合、事業年度終了の翌日から45日以内に所轄税務署長に申請し、提出期限の延長を認めてもらうことができます。質問のケースでは、帳簿書類が押収されたことがその理由に含まれます。ただし、5月20日に帳簿書類を押収されているため、事業年度終了翌日から45日は既に経過しています。この場合、国税通則法に基づく申告期限の延長の申請を考えることになりますが、法人税法の規定に準じた取扱いも可能です。災害ややむを得ない理由が発生した直後に、法人税法第75条の規定に基づく確定申告書の提出期限延長の申請を行う必要があります。申請書には、延長を求める具体的な理由や希望する期日などを記載する必要があり、その期日は担当弁護士等の意見を聞いて決定することが推奨されます。

株主総会の開催日が決算日後3月を超える場合の確定申告書提出期限の延長

Q.3月31日決算の上場会社で、会社法上の大会社に該当する会社が、株主との対話を充実させるために株主総会を7月に開催することを検討している場合、法人税等の確定申告書の提出期限はどうなるのでしょうか?

A.株主総会を7月に開催することを計画している場合、法人税法では通常、事業年度終了の日から2ヶ月以内に確定申告書を提出する必要がありますが、定款等により定時株主総会が通常2ヶ月を超えて招集されることが常態であると認められた場合、所轄税務署長の判断で確定申告書の提出期限を最大1ヶ月延長することが可能です。さらに、会計監査人がおり、定款等で定時株主総会が事業年度終了の翌日から3ヶ月以内に招集されない状況が常態である場合、税務署長は4月を超えない範囲で確定申告書の提出期限を延長でき、最長で事業年度終了の翌日から6ヶ月以内まで延長が認められます。したがって、株主総会を7月に開催するとして定款を変更した場合、その事業年度終了の翌日から3ヶ月以内に定時株主総会が招集されない状況があると認められれば、確定申告書の提出期限を7月末まで延長することが可能です。この申請の期限は、提出期限の延長を受けようとする申告書に関連する事業年度終了の日になります。事業税に関しても同様の規定が適用され、確定申告書の提出期限を延長できます。

小会社の確定申告書提出期限の延長

Q.当社 (3月 31日 決算)は会計監査人設置会社でないのですが、定款で定時株主総会は毎年 6月 に開催すると規定しています。法人税法第75条 の 2の 規定による確定申告書の提出期限の延長 を申請した場合、承認されるでしょうか。

A.お問い合わせの内容に基づき、貴社の状況を詳しく見てみましょう。会社法には、会計監査人を置くことが必須または任意の会社がありますが、貴社は任意で会計監査人を置くことができる会社に該当しているようです。ただし、貴社の定款には会計監査人を置くことに関する規定がされていない状況です。また、定時株主総会を開催する基準日は、原則として、事業年度末日から3か月以内に行う必要があります。この場合、貴社の定款で定時株主総会を事業年度末日から3か月以内に開催すると定めているのであれば、法人税法の規定に基づき、確定申告書の提出期限の延長を申請することが可能になります。この延長は通常1か月間ですが、特定の法人にはさらなる延長が許可される場合があります。ただし、申請をせずに期限内に確定申告書を提出しなかった場合は、無申告加算税が課されるので注意が必要です。

中間申告の法人税額の計算方法

Q.事業年度が1年の会社で、前事業年度よりも当事業年度の業績が低下すると見込まれる場合、中間申告の法人税額はどのように計算するのですか。

A.中間申告の際、会社の業績が前年比で低下していると予想される場合、二つの選択肢があります。通常は、前事業年度の確定した法人税額に基づいて納付税額を算出します。しかし、現在の事業年度で業績が落ち込んでいる場合、この方法では過大な税額を支払うことになりかねません。そこで、もう一つの選択肢として、事業年度開始から6ヶ月間の業績を仮決算して、その期間における所得または欠損金額に基づき税額を計算する方法があります。この方法によって計算された税額を中間申告書に記載して納付します。

この仮決算に基づく中間申告書を作成する際には、通常の決算と同様に棚卸資産の評価、減価償却計算、引当金の計算などを行い、必要な貸借対照表や損益計算書、その他の添付書類も提出する必要があります。この方法を選ぶと、事業年度の前半6ヶ月を一つの会計期間とみなし、その期間の業績に基づいて課税額を計算することになります。ただし、この仮決算に基づく中間申告書の税額が、前事業年度の確定税額に基づく方法で算出した税額よりも多くなる場合は、その提出はできません。

このように、事業年度の業績が落ち込んでいる場合、過大な税金を支払うことなく適切な税額を中間申告できるように、仮決算を利用した申告方法を選ぶことができます。

地方税の中間申告税額の計算方法

Q.住民税や事業税及び特別法人事業税の中間申告額は、どのように計算するのですか。

A.法人税の中間申告書の提出が必要な場合、地方税の中間申告も行う必要があります。このとき、仮決算をベースにした中間申告をする場合は、確定申告時と同様の方法で税額を計算します。しかし、前事業年度の税額を基にした中間申告の場合、計算方法は次のとおりです。事業税及び特別法人事業税は、前事業年度の確定税額を元に計算しますが、具体的な計算式は省略されています。住民税は、前事業年度の法人税割額を基にして計算し、加えて特定の条件がある場合はその条件に基づいた計算を加えます。これらの税額の計算期間や確定日などは、法人税の場合と同じです。また、法人税の中間申告が不要な法人は、地方税の中間申告も不要です。分割法人の場合は、都道府県ごとに前年度の税額に基づいて計算を行います。

更正を受けた事業年度の翌事業年度の申告書の作成に当たり注意すべき事項

Q.前事業年度の法人税の確定申告について、税務調査により更正を受けました。更正を受けた事項の事後処理はどのようにすればよろしいですか。決算上の修正事項と申告書での調整事項に分けて説明してください。

A.更正通知書で指摘された項目は、決算上調整が必要なものと、申告上だけで対応できるものの2種類に分けることができます。例えば、交際費等の限度超過額や役員給与の否認は、主に決算上の修正が必要であり、これらは損金計上できない項目として扱われます。一方で、減価償却費の限度超過や準備金の繰入れ超過額などは、後日損金として計上可能な項目であり、これらは留保項目とされます。さらに、留保項目は長期と単年度の留保項目に分割でき、長期留保項目は将来的に損金計上するため、決算上の修正仕訳が必要です。単年度留保項目は、翌事業年度の申告で調整し、留保分を消去することが可能です。

更正の影響を受けた事業税や特別法人事業税については、更正後1ヶ月以内に修正申告を行うことで過少申告加算金を回避できます。また、更正通知を受けた事業年度末近くで、法人税や地方税の納付が完了していない場合、特定の注意が必要です。具体的には、増加した事業税等は当事業年度の損金として計上可能であり、未納の法人税増加額は次期の利益積立金に影響を与えます。更正通知書で示された利益積立金額は、実際の住民税の修正申告後の額に基づいて修正する必要があります。

法人税額の還付を受けたときの申告調整方法

Q.法人税額の還付を受けたとき、どのように申告調整を行いますか?

A.法人税の還付を受ける場合、その理由によって申告書別表四に記載する欄が異なります。主な理由は次の通りです。

1. 所得税額、外国税額

2. 中間申告による納付税額

3. 欠損金の繰り戻しによる還付税額

還付を受けた法人税が中間申告による納付税額(2)である場合、「法人税等の中間納付額及び過誤納に関する還付金額欄」に記載します。所得税額や欠損金の繰り戻しによる還付税額(1と3)は、「所得税額等及び欠損金の繰戻しによる還付金額等」欄に記載します。

還付額は、申告書提出の前年度末時点で、利益積立金にどう影響するかによって、申告書でどのように処理するかが変わります。中間申告による納付税額は、前事業年度末の利益積立金に加えていれば、還付を受けた事業年度の別表四で「減算」欄に記入し、処理を留保とします。

一方で、所得税等や欠損金の繰り戻しによる還付は、法人が還付請求をするかどうかが任意であり、前事業年度末の利益積立金には加えません。したがって、還付を受けた事業年度の別表四では、益金不算入のために減算処理を行い、処理を社外流出とします。

特に、欠損金の繰り戻しによる還付制度は、資本金が1億円以下の特定の法人に限られ、その他は適用停止される可能性があります。また、還付に際して算入される還付加算金は、還付税金に対する利子として全額益金算入され、別表四での減算対象外になります。

法人税を手形で納付委託したときの申告書の書き方

Q.資金繰りが苦しいため、中間申告に係る法人税を手形で納付委託しました。事業年度終了の日において、まだ当該手形のうちの未決済のものが残っています。手形を振り出したとき、法人税等/支払手形、という仕訳をしましたが、申告書では現金納付をした場合に準じた調整をすればよいのですか。

A.手形で税金を納付委託することは、納税の代行を依頼することに過ぎず、手形が実際に決済されるまで、税金が納付されたとはみなされません。そのため、手形が決済されるときに初めて税金の領収書が発行されます。この理由から、事業年度終了時にまだ決済されていない手形による納付委託中の法人税に関しては、納税が完了した場合のような申告調整を行うことはできません。

注意点として、法人税を現金或いは預金で納付し「法人税等/現預金」と仕訳した場合、その金額は別表四で損金として加算され、別表五では「未納法人税及び未納地方法人税」の欄に減としてマイナス記載します。

お問い合わせのケースでは、事業年度終了時に未決済の手形で納付委託している法人税の金額は、別表四で加算(ただし処分は留保)し、別表五の第I部の③欄及び④欄に「納付委託税金未決済分」として記載する必要があります。翌事業年度以降に手形が決済されたときは、「納付委託未決済分」を別表四から減算(処分留保)し、別表五の第I部②欄に記載後、現金での納税と同様の申告調整を行います。

仮払税金として経理した中間申告の税金

Q.中間申告で納付した法人税、地方法人税、住民税及び事業税・特別法人事業税を全額仮払税金として経理し、当事業年度に係る税額の全額を未払法人税等に計上した場合、この処理は適正か。また、確定申告書ではどのように記載して調整しますか。

A.中間申告で納めた税金を期末の貸借対照表で資産として計上する正しい方法は、確定申告の結果、中間申告の税金の一部または全部が返金される場合の返金額です。確定申告で納付するべき残りの税金があるにもかかわらず、返金されない税金額を仮払税金として計上することは、返済されない見込みの資産を計上することになり、適切ではありません。また、仮払税金を含めた金額で未払法人税等を負債として計上するのは、資産と負債両方を上乗せして総資産の額を過大に表示するため、正しい処理ではありません。このような処理が行われた場合の調整方法として、仮払税金は税法上資産性のないものと見なして、利益積立金額の計算時に減額します。次に、別表四で減算し、別表五(一)ではマイナスで記入し、法人税、地方法人税及び住民税、事業税及び特別法人事業税それぞれに関して申告調整を行います。中間申告の税金を資産として計上すると、複雑な申告調整が必要となります。確定申告によって中間申告の税金の一部または全部が返金される場合を除き、中間申告の税金は仮払税金とせず、法人税、住民税及び事業税を税引前当期純利益の直後に計上することが正しい処理です。

還付される所得税額を未収入金に計上したときの申告調整方法

Q. 利子配当等の支払を受けるに当たって課された所得税額が40万円ありますが、当事業年度の法人税額が当該所得税額の控除を受ける前では15万円しかないため、差引25万円が当事業年度の確定申告により翌事業年度に還付されます。この25万円を、当事業年度末の貸借対照表の流動資産に未収還付税金として計上する処理は適正ですか。未収還付税金として流動資産に計上した場合及び翌事業年度還付されたときの申告調整は、どのようにするのですか。

A. 法律に基づき、法人が利子配当等を受けて課された所得税額は法人税の前払いとして扱われます。当事業年度に関する法人税からこれを差し引き、控除できなかった部分は還付されます。確定申告により翌年に還付される税額を、未収還付税金として流動資産に計上するのは、正しい処理です。次に、25万円を流動資産に計上した際、税法ではこの額を利益計算時に減額するため、別表でマイナスとして記録します。還付が実際に行われる際は、未収還付税金が流動資産から除外され、再び別表で調整を加え、利益として計上します。翌事業年度に還付された場合には、会計上現預金を増やし、未収還付税金を減らす処理をします。このようにして、還付された税額を正しく処理することで、事業年度ごとの税金の管理が適切に行われます。