住所の意義

Q.住所とは、どのような所をいうのですか。

A.所得税法によれば、住所は個人の生活の中心地を指します。生活が中心となっているかどうかは、具体的な事実に基づいて決定されます。この判断は、本人が住民登録しているかどうかに影響されずに行われます。例えば、店をいくつも持ち、様々な場所で度々宿泊する人がいたとしても、彼が月のうちたった10日間しか妻子と過ごさない場合でも、妻子が住んでいる場所が彼の生活の中心地、つまり住所とみなされます。

所得の概念

Q.所得税法でいう所得とは、どのようなものですか。

A.所得税法上の所得は、個人が得るあらゆる経済的利益を指します。例として、仕事で得た給料、ビジネスからの利益、投資からの配当や利子、または財産の貸し付けや売却から得た利益などがあります。これは、その利益が合法かどうかに関わらず含まれます。所得には、収入が増えるものだけでなく、借金が減ることによって得られるものも含まれます。所得税法では、このような所得をさまざまな形で区分し、税の対象かどうかを判断します。税の対象となる所得は、内容に応じて10のカテゴリーに分けられ、それぞれのカテゴリーに基づいて所得金額が計算されます。

総合償却資産の償却費の額の個別資産への配賦方法

Q.総合償却資産の除却価額の算定を法人税基本通達7-7-5に示された個別配賦簿価除却方式で行う場合、各事業年度における償却費の額の個々の資産への合理的基準に基づく配賦は、どのようにすればよいのですか。

A.総合償却資産とは、異なる耐用年数の資産が一つに結合していて、全体として機能している資産群のことです。償却費を個別の資産に配分する際、それぞれの耐用年数を考慮することが重要です。具体的には、総合償却資産の償却費総額を配分する際に、総合償却資産の耐用年数全体で計算し、その後、各資産に対する償却費の割合を、個々の耐用年数に基づいて計算される償却費によって割り当てます。この方法は、法人税基本通達7-7-5に記載された合理的な基準に基づく配分と見なされます。ただし、多くの資産を管理している場合には計算が複雑になり、個々の耐用年数に関する情報も必要になるため、総合償却の考え方とは異なるものの、個々の資産に対して総合耐用年数に基づく償却額を計算する方法も合理的な基準に基づく配分とされています。これは、総合償却資産の一部が除去された場合、法人税基本通達7-7-3に基づき、総合耐用年数を基に計算された未償却残額が除却価額とされるからです。この方法では、複雑な計算手続きを避けることができます。

譲渡所得の基因となる資産

Q.私は30年前からある私鉄の高架下で洋服店を開業していますが、この度、老齢であるため店舗を売却して郷里へ帰りたいと思っています。この店舗の建物自体は老朽化してほとんど価値がありませんが、高架下使用権があるため総額5,000万円で売却できる見込みです。店舗の売却代金については、譲渡所得として所得税が課税されると思いますが、高架下使用権についても課税されるのでしょうか。なお、賃借料は、約20年ぐらい前からその私鉄に直接支払っています。

A.はい、高架下使用権も譲渡所得の基因となる資産に含まれますので、譲渡所得として所得税が課税されます。賃借料を支払っていた高架下を利用する権利は、土地の賃借権と見なされますので、その権利を売却することによって得られる代金も所得税の課税対象になります。

参考:所得税法では、事業所得の基因となる棚卸資産、雑所得の基因となる棚卸資産に準ずる資産、山林所得の基因となる立木、および金銭債権を除く一切の資産が譲渡所得の基因となる資産として定義されています。

譲渡所得の対象となる資産

Q.譲渡所得の対象となる「資産」については、どのようなものがあるか詳しく説明してください。

A.譲渡所得の対象となる「資産」には、経済的価値を持つほぼすべてのものが含まれますが、いくつかの例外があります。これらの例外には、たな卸資産、準たな卸資産、少額の減価償却資産(取得価額が10万円未満で、業務上基本的に重要でないもの)、一括償却資産(業務上基本的に重要でないもの)、山林(立木)、営利目的で継続的に譲渡される資産、金銭債権などがあります。少額の減価償却資産の10万円未満かどうかは、消費税の課税事業者か否か、税込経理か税抜経理かによって判断される点に注意が必要です。課税事業者でない場合はすべて税込価格で判断されます。

これに対して、不動産や事業用の固定資産、販売目的以外で飼育する家畜や果樹、株式や公社債などの有価証券(一部を除く)、借地権、耕作権、漁業権、特許権、著作権などの権利、取引慣行がある借家権や行政官庁の許可等による事実上の権利(指定漁業の権利やタクシーナンバー権など)といった資産は譲渡所得の対象となります。

譲渡所得の意義

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Q.土地などを譲渡した場合、譲渡所得として所得税の課税の対象となるそうですが、譲渡所得とはどのような所得をいうのでしょうか。

A.譲渡所得は、資産を譲渡することによって得られる所得のことです。ここでいう資産とは、経済的価値を持つすべてのものであり、土地や建物のような不動産だけでなく、車両、機械器具、漁業権、特許権、著作権、有価証券、芸術作品、貴金属なども含まれます。資産の「譲渡」とは、売買のほかに交換、競売、代物弁済、財産分与、収用、法人への現物出資など多岐にわたります。また、資産を贈与したり、市場価格よりかなり低い値段で譲渡した場合、地上権や賃借権の設定で一定額以上の権利金を受け取った場合、資産を消滅させて補償金を受け取った場合なども、資産譲渡とみなされます。ただし、資産の譲渡による所得でも、譲渡所得以外の所得として課税されるものや課税対象外のものもあるため、具体的な課税対象や税額の計算方法は資産の種類や保有期間などによって異なります。

参考:所得税法第33条、所得税法第59条、所得税法施行令第79条、所得税法施行令第95条

非常用食品の購入費用の取扱い

Q.当社は、この度、地震、水害等の災害に備え非常用食品を購入しました。この非常用食品は、酸素を除去し缶詰にしたもので品質保証期間は20年とされています。

この非常用食品は、非常食として配備してから食料として消費されるまでの間、継続して事業の用に供するものと思われますが、減価償却資産として資産計上の必要がありますか。

A.減価償却資産とは、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産で、用役を長期間にわたって提供しながら時の経過や使用のために徐々にその機能及び価値が減少していくものをいいます。

ところが食料品は、それが食事の用に供されることによって消費されるものですから、減価償却資産には該当せず、消費されるまでは、貯蔵品と考えられます。

しかしながら、非常用食品は、非常時に備え所定の場所に配備することに意義があるものですから、配備した時に事業の用に供したと考えるのが合理的です。

したがって、御質問の非常用食品の購入費用は、その非常用食品を所定の場所に配備した日を含む事業年度の損金の額に算入することができるものと考えられます。

参考:令13(減価償却資産の範囲)

機械及び装置等の予備部品の取扱い

Q.当社は、連続式鋳造鋼片製造設備を有していますが、この設備を構成する部品の予備品(比較的少額で消耗しやすいものを除いています。)があります。これらの予備品についても、その設備と一括して減価償却してもよいでしょうか。

A.御質問の予備品については、機械及び装置が故障したときなどに取り替え、使用されるものですから、未使用のままで貯蔵中のものは、事業の用に供されていませんので、減価償却の対象とはなりません。

なお、例えば航空機の予備エンジンや電気自動車の予備バッテリー等のように、本体を事業の用に供するために必要不可欠なものとして常備され、繰り返して使用される専用の部品(通常他に転用できないものに限ります。)は本体と一体のものとして、減価償却の対象となります。

この場合の償却開始の時期は、本体を事業の用に供したときであると考えられます。

また、停電時の予備電源のように、必要に応じていつでも稼働し得る状態にあるものは、事業の用に供したものとして、減価償却の対象となります。

参考:令13(減価償却資産の範囲)、基通7-1-3(稼働休止資産)、基通7-1-4の2(常備する専用部品の償却)

稼働休止資産と事業の用に供していない資産

Q.当社は、縫製業を営む法人です。この度、電動ミシンを20台購入しましたが、そのうち5台は未使用のまま倉庫に保管しています。

この保管中のミシンは、いつでも使える状態に整備されていますから稼働休止資産として減価償却してもよいでしょうか。

A.稼働休止資産で償却の対象となるものは、いったん事業の用に供していた資産のうち、稼働を休止している資産で、その体止期間中も必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものをいいます。

御質問の場合のように、購入したものの未使用の状態で保管中の資産は、稼働休止資産ではなく、いまだ事業の用に供されていない資産ですので、減価償却資産ではありません。したがって、減価償却をすることはできません。

参考:令13(減価償却資産の範囲)、基通7-1-3(稼働休止資産)