ひとり親控除

Q.私は夫を交通事故で亡くしましたので、実家に子供を預けて働いています。年間給与収入金額は240万円です。子供は私の父の所得税の計算において扶養親族としていますが、私はひとり親控除が受けられないでしょうか。

A.ひとり親控除を受けるためには以下の3つの条件を満たす必要があります:1)婚姻していないこと、または配偶者がいるかどうかが不明であること、2)自分と生計を一にする子がおり、その子が年間の総所得が48万円以下で他の人の扶養には入っていないこと、3)自分の合計所得金額が500万円以下であることです。しかし、お子さんがあなたのお父さんの扶養に入っている場合、この2番目の条件に該当しないため、ひとり親控除を受けることはできません。

特定居住用宅地等が2か所以上ある場合の適用関係

Q.特定居住用宅地等が複数ある場合、小規模宅地等の特例の適用はどのようになりますか?

A.特定居住用宅地等の適用においては、被相続人が生前主として住居として利用していた宅地等の中から一つを選び、その宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受けることになります。この決定は、以下のポイントに基づいて行われます。まず、二つ以上の宅地が被相続人の居住用として使われている場合、主に住居として使われていた宅地が選ばれます。加えて、被相続人と共に生計を立てていた家族が居住用に使っていた宅地が複数ある場合でも、それぞれの家族が主に住居として利用していた宅地が選ばれます。特に、被相続人とその家族の居住用宅地が重複するケースでは、その宅地が優先して選ばれます。したがって、この特例の適用は、選ばれた住居の評価に基づいて、相続税の評価額から減額されることになり、どの宅地を選ぶかによって、減額される税金の額が大きく異なることがあります。

ひとり親控除と寡婦控除の適用要件について

Q.令和2年分の所得税からひとり親に該当する場合は、ひとり親控除を受けられると聞きましたが、この控除を受けるための要件はどのようなものでしょうか。また、寡婦控除を受けるための要件についても教えてください。

A.令和2年度の税制改正により、ひとり親控除と寡婦控除は、子供の生まれた環境や家庭の経済事情に関わらず、全てのひとり親家庭に公平な税制を目指して設けられました。この改正は、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親との間の不公平」を解消することを意図しています。

ひとり親控除と寡婦控除の適用要件は以下の通りです。

ひとり親の場合:  

– 婚姻していない人、または配偶者の生死が不明な人(一定の条件を満たす場合に限る)  

– 生計を共にする子供がいること  

– 合計所得金額が500万円以下であること  

– 住民票の記載条件を満たすこと(世帯主として記載されている場合未届の配偶者等の記載がないこと、世帯主でない場合も同様)

控除額:35万円

寡婦の場合:  

– 夫と死別または離婚した人、または夫の生死が不明な人(一定の条件を満たす場合に限る)  

– 扶養親族がいること(夫と離婚した場合)  

– 同上  

– 同上  

控除額:27万円

これにより、ひとり親家庭や寡婦家庭が税制上からサポートされることを目指しています。

寝たきり老人と障害者の判定

Q. 扶養控除の対象としている75歳の父が脳いっ血で倒れ、3ヶ月間寝たきりで意識不明状態になっています。老衰の可能性もありますが、この場合税法上で障害者としての障害者控除の適用は可能でしょうか?

A. 所得税法に基づくと、常にベッドにいなければならない状態で複雑な介護を必要とする人は障害者とみなされます。12月31日の時点で6ヶ月以上、このような状態が継続している場合、障害者として認められます。この規定では、未来を含めて6ヶ月以上の期間が考慮されるため、あなたのお父さんが3ヶ月間寝たきり状態で、その後も3ヶ月以上回復の見込みがなければ、障害者としての特別障害者控除(40万円)を受けられます。さらに、あなたの父親がご自身、配偶者、または同居する他の親族と生活している場合、障害者控除は75万円になります。また、寝たきりになった原因が病気であろうと老衰であろうと障害者控除の対象となることが規定されており、同居していれば扶養控除として58万円も適用されます。

成年被後見人の特別障害者控除の適用について

Q. 私の母が認知症になったため、成年後見制度を使って法的なサポートを得ようと家庭裁判所に申し立てました。そして、「精神上の障害により物事を判断できない状態」と認められました。この場合、私の母は特別障害者としての障害者控除を受けられるのでしょうか。

A. 成年後見制度は、認知症や障害により判断能力が低下した人を法的に守るために、後見人を選任する制度です。税法では、「精神上の障害で物事の判断が困難な状態」にいる人は特別障害者と見なされ、本人やその扶養家族は40万円の税控除を受けることができます。家庭裁判所が医学的鑑定に基づきこのように認定している場合、税法上も「精神上の障害で物事の判断が困難な状態」にあると認められ、特別障害者控除を受ける資格があります。従って、あなたの母はこの控除を受けることができると考えられます。

知的障害のある者と障害者控除

Q.知的障害がある場合に障害者控除の適用を受けることができるのは、どのような人ですか。

A.所得税法において「障害者」とは主に二つの条件を満たす人を指します。一つ目は、精神上の障害が原因で物事の判断能力が常に欠けている人、もしくは身体障害者手帳などを受け取っている人です。知的障害に関して言えば、以下の二つのケースに分かれます。

一つ目のケースは、精神上の障害で物事の判断能力が欠けている状態が継続している人、あるいは児童相談所やその他専門機関から知的障害があると判断された人です。二つ目のケースは、精神障害者保健福祉手帳を受けている人です。これらの人々は障害者控除の対象となり得ます。

加えて、精神上の障害が原因で常に物事の判断能力が欠けていたり、重度の知的障害があるとされた人、また精神障害者保健福祉手帳に特定の障害等級が記載されている人は、さらに「特別障害者」とみなされます。

公害医療手帳と障害者控除の適用

Q.公害医療手帳に記載されている障害の程度に基づいて、障害者控除の適用は認められますか?

A.公害医療手帳は、公害健康被害の補償等に関する法律に基づいて、公害健康被害者として認定された方に交付されるものです。この手帳には、公害による障害の程度が定められた区分に基づいて表示されますが、これは地域によっては表記されていない場合もあります。しかし、所得税法上での障害者控除の対象となる障害者は、所得税法で定められた基準によるものであり、公害医療手帳に障害の程度が記載されているだけでは障害者控除の適用資格があるとは認められません。つまり、公害医療手帳を持っているだけでは障害者控除を受けることはできません。しかし、公害病認定患者が所得税法上の障害者に該当すると認められる場合には、身体障害者手帳の発行を申請するか、または一定の条件を満たす医師の診断書を基に障害者控除を適用できることがあります。

原子爆弾被爆者健康手帳と障害者控除

Q.所得税法上、原子爆弾被爆者に関する援護法第11条により認定された人は障害者として扱われますが、原子爆弾被爆者健康手帳を持つ人も同じく障害者に該当するのでしょうか。

A.原子爆弾被爆者健康手帳は、広島市や長崎市など、原子爆弾が投下された地域にいた人たちに交付されます。この健康手帳を持つ人の中で、原子爆弾の影響による傷害や病気を理由に厚生労働大臣から認定を受けた人たちだけが、所得税法でいう障害者として扱われます。さらに、この認定を受けた人は特別障害者としても認められます。

限度面積要件の計算方法

Q.「限度面積要件」の具体的な計算方法を教えてください。

A.限度面積要件の計算は、適用される宅地の種類によって異なる優先順位を設け、それに基づいて計算されます。計算の例としては、「特定事業用宅地」、「特定居住用宅地」、「貸付事業用宅地等」があり、それぞれに適用される計算方法が存在します。

ケースI(特定事業用宅地→特定居住用宅地→貸付事業用宅地の順に適用する場合)とケースII(特定事業用宅地→貸付事業用宅地→特定居住用宅地の順に適用する場合)が考えられます。

例えば、ケースIでは、「特定事業用宅地」200平方メートル、「特定居住用宅地」165平方メートルについてそれぞれ計算を行い、合計減額される金額は4,240万円になります。一方、ケースIIでは、「特定事業用宅地」200平方メートル、それに続く「貸付事業用宅地」60平方メートル、最後に「特定居住用宅地」66平方メートルとして計算し、合計減額される金額は3,556万円になります。

これを決定する際には、各宅地の相続税評価額に対して特定の割合を乗じた値を用いて、どの宅地から優先して特例を適用するかを決定します。これにより、課税価格から減額される金額が最も大きくなる宅地の選定に役立します。

小規模宅地等についての課税価格の計算の特例の限度面積要件について

Q.相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税において、「小規模宅地等についての課税価格の計算の特例」の限度面積要件の内容を説明してください。

A.相続税で適用される「小規模宅地等についての課税価格の計算の特例」では、面積の限度が以下の通り設定されています。特定事業用宅地や特定同族会社事業用宅地(合わせて「特定事業用等宅地等」と称します)は400平方メートルまで、特定居住用宅地等は330平方メートルまで、貸付事業用宅地等は200平方メートルまでの面積が適用限度とされています。複数カテゴリーの小規模宅地を合わせてこの特例の適用を受ける場合、それぞれのカテゴリーごとの適用限度面積内であれば特例が適用されます。ただし、「貸付事業用宅地等」を適用対象に含める場合は、特例適用の限度面積を決めるための特定の計算式が用いられます。