予定納税の減額申請が承認される場合

Q.予定納税基準額の通知を受けましたが、4月に妻が入院し手術して多額の医療費がかかりました。この場合、減額申請すれば、予定納税額は減額されるでしょうか。

A.はい、多額の医療費の支払いがあった場合、予定納税額の減額申請をすれば、通常は承認され予定納税額を減額することができます。納税額の減額申請が認められる主なケースには、事業の全または一部の廃止、休止、転換、失業、災害、盗難や横領による被害、または多額の医療費の支出などがあります。これらの状況によって、申告予定の納税額が予定納税基準額を満たなくなると確認できれば、減額の承認が得られます。ただし、あなたの申告納税見積額が予定納税基準額の70%以下にならない場合には承認されませんが、婚姻、出生、生命保険への加入、特定の寄付金支出などによって所得控除額が増え、これにより納税額が予定納税基準額を下回ると認識される場合には、承認が受けられます。

予定納税通知書の到着が遅延した場合の減額申請

Q.洋品雑貨小売業を営んでおり、新築中の店舗が完成して移転しました。このため予定納税通知書が現在の所轄税務署から遅れて到着しました。減額申請の期限は7月15日までにしなければならないと聞いていますが、この場合も7月15日までに減額申請をしなければならないのでしょうか。

A.通常、予定納税の基準額は5月15日の状況に基づいて計算され、6月15日までに納税者に通知されるべきです。しかし、何らかの理由で通知が6月16日以降になった場合は、税務署長が通知書を発送した日から1ヶ月が経過する日までに減額申請をすることが許されます。ですから、あなたの場合では8月9日までに減額申請が可能です。ただし、この期間内でも予定納税額は納付する必要がありますが、通知書発送日から1ヶ月経過する日までは税務署長が未納の予定納税額について督促を行うことはできません。

前年分の所得税が減額した場合の予定納税

Q.令和5年分の予定納税額の通知書を6月12日に受け取りましたが、7月7日付で前年分所得税の再調査決定書と本年分の予定納税額の訂正通知書が送られてきました。訂正通知書の予定納税額は最初の予定納税額より少なくなっていますが、どちらで納付すればよいでしょうか。

A.予定納税額は、その年の5月15日時点で確定している前年の課税所得に基づいて計算されます。しかし、5月16日から7月31日の間に前年の所得税に関する再調査や審査の結果が出て、前年の課税所得が見直されることがあります。もしその結果、5月15日時点で計算された予定納税額よりも少ない金額になった場合は、この新しい金額での納税が求められます。ですから、あなたの場合は7月7日付で受け取った訂正通知書に記載されている金額で納付するのが正しいです。

政治活動に関する寄附をした場合の所得税額の特別控除

Q.今年、ある政党へ政治献金をしました。この政治献金は寄附金控除と税額控除のどちらか有利な方を選択できると聞きましたが、詳細を教えてください。

A.平成7年1月1日から令和6年12月31日までの期間に政治活動に関する寄附金を支出した場合、政党や政治資金団体への寄付であれば、その寄附金を政治資金規正法に基づいて報告されたものに限り、寄附金控除に代わって税額控除の適用を選択できます。税額控除は、その年に支払った政治活動に関連する寄附金の合計金額(ただし、年間所得の40%を超えない範囲)に対して30%を乗じた金額が控除額となりますが、この控除額はその年の所得税額の25%が上限です。また、特定の寄附金控除を受けている場合その金額を考慮した上で、所得金額の40%の制限を超えた部分は寄附金控除の計算から外れます。そして、2,000円を基礎控除額としますが、特定寄附金がある場合は、これを0円または特定寄附金を差し引いた額に調整します。

その年分に納付した外国所得税がない場合の外国税額控除

Q.私は国内の商社に勤務するサラリーマンですが、昨年3月から11月までB国にある海外支店に短期間勤務していました。ところが、本年3月にB国より所得税に相当する税金の課税通知を受けましたので、4月に納付しました。この税金について、外国税額控除の適用はありますか。また、適用があるとしたら何年分についてですか。なお、昨年の私の所得は商社からの給与所得のみで、年末調整により所得税額の納税は完了していますし、本年は海外勤務はありません。

A.外国税額控除は、居住者が外国で所得税を納付する際に対象となる制度で、その年に海外で得た所得に基づいて計算される控除限度額までが適用されます。この制度では、外国での所得税納付が行われる年を基準としていますが、納付方法によってその年の定義が異なります。具体的には、納税申告書を提出した日、賦課決定の通知を受けた日、または源泉徴収対象となる利子や配当などの支払い日がその年とされます。あなたの場合、今年課税通知と納付があったため、今年分に外国税額控除の適用が可能です。ただし、今年は海外での所得がないため、控除限度額はありません。ただし、昨年3月から11月までのB国での勤務による給与は海外所得となるため、昨年分の控除限度額を計算し、これを今年分に繰り越すことで今年分の外国税額控除の適用を受けることができます。昨年の給与収入に基づいて国外源泉所得を計算することになります。

用語の定義

Q. 農地等についての相続税の納税猶予及び免除等の適用要件にある「農業相続人」、「特例農地」及び「納税猶予期限」の意味を教えてください。

A. 「農業相続人」とは、農地等についての相続税の特別な取り扱い、つまり納税猶予や免除等の特例の適用を受ける人のことです。この特例が適用される対象となる農地、採草放牧地、または準農地のことを「特例農地等」と呼びます。さらに、「納税猶予期限」とは、納税の猶予を受けられる期間の最終日で、以下のうち最も早い日を指します:

1. 農業相続人が亡くなった日

2. 相続税の申告期限の翌日から20年が経過する日

3. 農業相続人が特例農地等に関して納税猶予の特例の適用を受けた贈与を行った日 なお、特例農地等に都市営農農地等が含まれる場合、または市街化区域内の農地以外の農地や生産緑地等がある農業相続人の場合(都市営農農地を含む農業相続人を除く)、上記の「納税猶予期限」の2番目の条件は適用されず、1または3のどちらか早い日が納税猶予期限になります。ただし、これは市街化区域内の農地以外に限ります。

外国所得税の額が減額された場合の外国税額控除の特例

Q.海外支店に勤務していたことから外国税額控除を適用して昨年分の確定申告書を提出しましたが、その基になった外国所得税の額が本年に減額されることとなりました。この場合、外国税額控除の適用及び所得金額の計算はどうなりますか?

A.外国税額控除を受けた年の翌年から7年以内、適用を受けた外国所得税の額が減額された場合、減額された年の所得計算及び外国税額控除の適用方法は次のようになります。まず、減額された年に外国所得税を支払う場合、支払った税額から減額分を差し引き、残りの額に外国税額控除を適用します。もし減額された年に支払う外国所得税がない、または減額分より少ない場合、過去3年間にわたって繰り越された外国所得税から差し引きます。減額外国所得税額を完全に調整できなかった場合、残りの金額を雑所得の計算で総収入金額に加えます。

外国税額控除の計算

Q.外国に源泉のある所得に対して、その外国の法令により所得税に相当する税を納付した場合には、その納付した税額はすべて所得税額から控除することができますか。

A.外国税額控除は、国際間で二重に課税されることを防ぐために用意された制度です。この制度のもとで、居住者が海外で得た所得に対し海外の法律で定められた所得税相当の税を支払った場合、その支払った税額をある一定の限度まで、居住者の所得税と復興特別所得税から控除することができます。ただし、控除される税額は、海外からの所得に対して支払った税額に限定され、また一定の条件を満たすもののみが控除対象です。条件には、通常の取引に基づく税額の支払いなど、控除対象外となる特定のケースがあります。

外国税額控除の範囲については、個人の所得に対して外国またはその地方公共団体が課税する税、および特定の所得に対して課される税などが含まれます。ただし、任意で税額の還付を請求できる税や、契約により税率が決定される税、不自然な取引に基づく所得に対する税など、特定のケースでは控除の対象外となります。

控除額の計算は特定の公式に基づき、外国所得税の額が控除限度額を超える場合の計算方法、また控除限度額の計算に関する詳細も定められています。損失が生じた時の控除額の適用や、控除額が繰り越される場合の取り扱いについても詳しく規定されています。

外国税額控除を受けるためには、外国で支払った税額を証明する書類と共に、確定申告時に外国税額控除に関する明細書を提出する必要があります。繰り越しを受ける場合も、関連する書類の提出と明細書の記載が求められます。

特定市街化区域農地等の範囲

Q.三大都市圏にある特定市街化区域農地等とは、どのような農地をいうのでしょうか。

A.「特定市街化区域農地等」とは、都市計画法に基づく市街化区域内にある農地や採草放牧地のことで、特に1991年1月1日時点で東京都の特別区を含む三大都市圏(首都圏、近畿圏、中部圏)の指定された市の区域内に位置するものを指します。ただし、都市営農農地等に該当する農地は除外されます。

具体的には、東京都の23区や政令指定都市など三大都市圏内の特定の市域に属する場所や、それら以外の市域でも既成市街地や近郊整備地帯などにある区域の農地が対象です。この範囲からは、特例農地等を相続または遺贈により取得した農地や採草放牧地の中で、生産緑地地区内や田園住居地域内にある特定の条件を満たすものが除かれます。さらに、特定の都市計画農地保全条例による制限を受ける農地も、一定の条件下で除外されます。

三大都市圏内に位置する具体的な市の名前や分類は、上記の規定に従って多数存在しますが、主要な都市には茨城県の市や埼玉県、東京都、千葉県の市、神奈川県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県の市が含まれます。これらの地域内に存在する農地が「特定市街化区域農地等」に該当する可能性があります。

外国税額控除の控除限度額の計算

Q.外国税額控除の控除限度額の計算方法について教えてください。特に、「その年分の所得税の額」は税額控除を適用する前の金額を指すのか、それとも適用後の金額を指すのかが知りたいです。

A.外国税額控除の控除限度額の計算において、「その年分の所得税の額」とは、外国税額控除を適用しないで計算したその年分の所得税の金額を指します。これは、外国税額控除以外の他の税額控除を適用する前か後かによって変わります。税額控除の適用順序に関しては、特定の順番で実施されます。これには、農業所得の免税、配当控除、特定の研究開発に対する控除、中小事業者の設備投資控除など、多岐にわたる特別控除が含まれます。また、災害被害者への税額減免や外国税額控除自体もこの順序の中に含まれます。結論として、外国税額控除を適用する前の所得税額は、上記に挙げた税額控除を全て適用した後の金額を意味します。したがって、この金額を用いて控除限度額を計算します。