Q.米国人であるS氏が日本で勤務し、その期間に支払った厚生年金の脱退一時金を受給した場合、日本におけるその課税関係はどのようになりますか?
A.厚生年金や国民年金は、通常10年以上保険料を支払うことで年金の受給資格が得られます。しかし、日本に短期間滞在した外国人はこの条件を満たさないことが多いため、1995年(平成7年)4月から、条件を満たさない人も脱退一時金を受給できるようになっています。この一時金を受け取る条件としては、帰国後2年以内に必要な手続きを行うことです。この脱退一時金は退職手当等と見なされ、支払い時に20.42%の税率で源泉徴収されます。しかし、非居住者がこの一時金を受け取る場合、受給翌年の1月1日以降に適切な申告を行うことで、居住者として計算される税額に基づいて過払い税金を還付してもらうことが可能です。この申告では、国外の収入も含めた退職所得の総額や勤続年数を全期間で考慮する必要がありますが、所得控除は適用されません。一方、国民年金の脱退一時金に関しては、源泉徴収の対象外であり、最高495,600円までの支給で、他に退職手当等がなければ課税されないことが多いです。