Q.当社(A社)は完全子会社であるB社を分割承継法人として、当社のX事業部門の資産及び負債を吸収分割により移転させる予定です。分割が適格分割型分割又は適格分社型分割である場合、分割会社(A社)、分割承継会社(B社)及び分割会社の株主である甲社と乙社の税務上の処理は、それぞれどのようになりますか。
A.このケースでは、A社がB社に資産を移転することで、完全な支配関係にある法人間の分割が行われるので、適格分割に該当します。適格分割型分割の場合は、株主(甲社と乙社)にB社の株式が交付され、適格分社型分割の場合はA社自体がB社の株式を受け取ります。どちらの方法も、A社がB社に移転する資産の譲渡益を計上する必要はなく、B社も取得した資産の帳簿価値を分割時の価額で記録する処理を行いません。また、適格分割型分割の際は、A社の株主(甲社と乙社)に対して、その株式の譲渡から生じる損益も発生しません。
税務処理の観点から見ると、分割法人(A社)の資本金等の額及び利益積立金額は、分割承継法人(B社)に資産と負債を分割前の帳簿価額で引き継ぐ形で調整されます。分割会社の株主には、分割型分割によって得た分割承継法人の株式の取得価額が帳簿価額で設定されます。適格分割型と適格分社型の場合の処理の違いは、A社が、B社から株式を受けるかどうかと、それに伴う資本金等の調整の仕方にあります。