Q.3月31日決算の会社が毎年6月下旬に定時株主総会で前事業年度の業績に対する賞与を役員に支給していますが、今年、定時株主総会の終了時に退任する取締役へは、賞与相当額を退職給与に加算して支給しようと計画しています。この加算が税務上問題を生じますか。
A.税務上、役員に支給される退職給与の中で、次の3点は経費として認められません。1)業績連動給与として損金算入の要件を満たさない部分、2)不相当に高額な退職給与の部分、3)会計処理を偽装して支給される退職給与。貴社が退任する取締役に賞与相当額を加算して支給する計画は、もしその金額が役員在任期間や退職の事情を考慮しても過大ではないと判断できる場合には、基本的には問題ありませんが、支払われる給与が役員退職給与として実際に退職所得とみなされるかどうかは所得税法に基づき判断されます。具体的には、退職に際して役員に支給される退職給与が、本来退職しなかったとしたら支給されなかったものであり、退職が原因で一時に支給されるものであるかどうかがポイントです。他の役員に比べて特別な事情がない限り、退任する役員への賞与相当額を退職給与に加算することは、その部分の金額を役員給与として扱い、損金不算入となり、源泉所得税も賞与としての扱いになります。したがって、この加算自体が問題になるわけではありませんが、税務上の取り扱いには注意が必要です。