Q.不動産所得のある個人が、老朽化した2棟の貸家を取り壊し、そこに新しい貸家を建てた場合、取り壊した2棟の建物の未償却残額と取壊費用は、不動産所得の計算上必要経費に算入されますか。
A.不動産所得を生じる事業で使用されていた建物等の固定資産を取り壊し、除去、または失われたことによる損失は、保険金などで補填される部分や資産の売却などによって生じた損失を除いて、その損失が発生した年の不動産所得の計算において必要経費として扱われます。この場合、取り壊しの目的が新しい貸家の建設であっても、事業用固定資産の取り壊しによる損失は目的に関わらず同様に取り扱われます。取り壊しによる必要経費は、(取り壊した資産の未償却残額 – 発生資材の価値)プラス取り壊し費用で計算されます。ただし、個人が1棟だけ貸しているなど小規模な貸家の場合は、これらの損失は「事業用に供されている固定資産」に関するものではないため、上記と異なる扱いになるので注意が必要です。この場合、不動産所得の計算上必要経費として扱われる損失は、その年の控除前の不動産所得を限度としています。また、建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判断には、外形基準があり、アパートなどは独立した室数が10以上、独立家屋の貸付けは5棟以上がそれに該当します。