Q.親会社からの出向者である専務取締役甲に対して、業績悪化のため賞与を支払えない状況で、親会社がその賞与を負担した場合、その賞与支給に関する子会社の税務上の取扱いはどのようになりますか?
A.まず、親会社が子会社の役員に対して賞与を負担した場合、一般的には「役員給与(賞与)/親会社よりの受贈益」と仕訳されることになります。この時、受贈益は益金算入され、役員給与は損金算入されず、申告加算が必要になる可能性があります。しかし、このケースでは、親会社は雇用契約に基づき賞与の支払い義務があるため、親会社が子会社に代わって直接役員に賞与を支給する形ではなく、子会社が親会社からそれを受贈しているとは見なされません。従って、このような仕訳を認定することはできず、役員給与の申告加算は不要です。
それでも、子会社自身が賞与を支給する能力があるにも関わらず、親会社が賞与を負担している場合は、親会社から見て寄附金、子会社から見て受贈益と役員給与の支給として税務上認定されることになります。さらに、子会社が親会社の完全子会社である場合は、親会社からの寄附金は損金不算入、子会社での受贈益は益金不算入となります。