Q.私は、工場と機械が焼失し、事業所得が赤字になりましたが、青色申告の承認を受けておらず、救済措置があるか知りたいです。あれば、要件も教えてください。
A.従来の所得税法では、損失が発生しても損益通算(各種所得との相殺)で完全にカバーできない場合、その残りの損失分を純損失と呼んでいます。この純損失が発生した場合、通常、青色申告者はこれを次年度以降3年間にわたって繰り越して控除できます。しかし、青色申告をしていない場合でも、特定の損失に限り、同じく3年間の繰越控除が認められています。この例外として認められるのは、一定条件を満たす変動所得に由来する損失や、災害によって損害を受けた事業資産に関する損失です。災害に関連する必要不可避の費用もこれに含まれます。
あなたのケースでは、工場と機械の損失や取壊し費用から保険金を差し引いた額、つまり200万円が災害による資産損失として認められ、この金額は次年度から3年間にわたり繰り越し控除が可能です。ただし、その他事業活動によって生じた50万円の赤字についてはこの措置の対象外です。
純損失の繰り越しを利用するには、その年度の確定申告書に損失額に関する記述を含めて提出し、続く年度にわたっても確定申告を継続して行う必要があります。この手続きを通じて、特定の条件下での損失に対して限定的ながらも税制上の救済が用意されていることになります。