Q.税効果会計を初めて適用する場合、過年度遡及会計基準の適用による会計処理及び税務申告書の作成方法はどのようになりますか?
A.税効果会計を初めて適用する際は、この変更が会計方針の変更とみなされます。そのため、変更後の会計方針を過去の期間に遡って適用し、この遡及適用の結果生じる前期やそれ以前の累積効果を当期の期首残高に反映させる必要があります。具体的には、これによって影響を受ける資産や負債、純資産(繰越利益剰余金に反映)の処理を行います。適用初年度の直前事業年度にもし税効果会計が適用されていたら、次の処理が行われているはずです:1)将来減少する一時差異に基づき計算される金額を「繰延税金資産」として資産に、将来増加する一時差異に基づく金額を「繰延税金負債」として負債に記録する、2)圧縮積立金や特定の準備金などは法定実効税率を乗じた後、繰延税金負債へ振り替え、その額を準備金等から減少させるという処理です。この処理を前事業年度の計算書類に行わずに実施するため、申告書の記載方法も変わりますが、差引合計額は変わらないものの、記載内容は異なります。期首、期中、期末における一時差異の増減状況や具体的な仕訳例なども注意して記載する必要があり、これによって繰越利益剰余金や繰延税金資産・負債の額が変動します。最後に、期首残高の調整やその他の影響を考慮した「積立金方式による諸準備金等の種類別の明細表」等の記載も適用初年度の税務申告書では特に重要になります。