Q.社会保険料と企業年金掛金等の損金算入時期に違いがあるのはなぜですか?
A.社会保険料の法人負担額と企業年金掛金等の法人負担額で損金算入のタイミングが異なる理由は、この二つの負担が法的に異なる処理を受けることに基づいています。健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、それぞれの保険料がかかる月の終わりに納付義務が確定するため、その月が属する事業年度に損金として計上できます。もし、事業年度末にこれらの社会保険料が未払いであれば、未払費用として計上し、損金に算入することが可能です。一方で、法人が定められた企業年金契約に基づいて支払う企業年金掛金は、実際に支払った日が属する事業年度にのみ損金として認められます。これは、企業年金掛金が納付基準によって損金算入され、社会保険料のように債務確定基準で処理されないためです。この違いは、社会保険料が未払いの場合に国から滞納処分を受ける可能性があるのに対して、企業年金掛金が未払いの場合は契約解除のみで済むという法的な処理の違いによるものです。また、企業会計上は、社会保険料も企業年金掛金も事業年度末に未払計上しますが、税務上は企業年金掛金について追加の調整が必要になります。企業年金の掛金に関しては、納付時に損金算入されるというのが基本原則ですが、厚生年金基金の掛金はこの限りではなく、未払いの状態でも事業年度末に損金として計上できます。