Q.短期外貨建債権の取得後に先物外国為替契約を行い、法人税法施行令第122条の9第1項の規定によって換算差額を直接差額と直先差額に区分して処理する場合の仕訳の方法を、事例で説明してください。なお、直先差額の配分は、同条第3項の規定により月数によるものとします。
A.想定例として、3月31日を決算日とする会社が、ある年の9月1日に翌年の8月31日を満期とする外貨預金100万ドルを、1ドル=143円の為替レートで預け入れたとします。その後、同年12月1日(当日の為替レートは1ドル=141.9円)に、1ドル=141円で先物外国為替契約を結びます。このケースでは、以下のように換算差額を計算し、会計処理します。
– 取得時点の円換算額: 100万ドル × 143円 = 1億43百万円
– 先物外国為替契約締結時の円換算額: 100万ドル × 141.9円 = 1億41,900万円
– 先物外国為替契約による円換算額: 100万ドル × 141円 = 1億41,000万円
法人税法に基づく規定により、取得時点と先物外国為替契約締結時点の差額(直接差額)は1,100万円として処理し、先物外国為替契約締結時とその契約による円換算額との差額(直先差額)は900万円として処理します。直先差額は、先物契約締結日から外貨預金の満期日までの期間に月数で按分して処理します。
仕訳は以下のようになります。
– 9月1日(預入日): 外貨定期預金 1億43百万円 / 預金 1億43百万円
– 12月1日(先物外国為替契約の締結日): 為替差損 1,100万円 、前払費用 900万円 / 外貨定期預金 2,000万円
– 3月31日(決算日): 為替差損 400万円 / 前払費用 400万円(直先差額の8カ月分を配分)
– 8月31日(満期日): 預金 1億41百万円 / 外貨定期預金 1億41百万円、為替差損 500万円 / 前払費用 500万円
ここでは、直先差額の月数按分に基づき、損金処理された額が、決算期ごとにどのように計上されるかを示しています。