Q.特定非常災害に指定された災害により事業用資産や棚卸資産などに被害を受けた場合は、繰越控除期間が5年間になると聞いたのですが、内容について教えてください。
A.特定非常災害により事業用資産や棚卸資産などに被害を受けた場合、個人事業主はその損失を必要経費として事業所得の計算で引くことができます。ただし、保険金で補填される部分は除きます。純損失がある場合、青色申告者は損失総額を、白色申告者は被災事業資産の損失と変動所得に関する損失を、翌年から3年間繰り越して控除できました。しかし、令和5年度の税制改正で、令和5年4月1日以降に発生した特定非常災害の指定を受けた災害による事業用資産等の損失について、損失の状況に応じて繰越控除期間を5年間とする特例が設けられました。これは、近年頻発する自然災害に対応するための措置です。特定非常災害とは、著しく異常かつ激甚な災害で、行政上の権利利益の保全が特に必要とされる状況のことです。例としては、平成28年熊本地震や平成30年7月の豪雨災害などがあります。この特例により、事業用資産の特定被災事業用資産の割合が10%以上、または割合が10%未満の場合でも、その損失に関して繰り越し控除期間が5年間に延長されます。