Q.前事業年度に取得し、事業の用に供した特別償却対象資産について、初年度の特別償却限度額を全額償却不足額として繰り越しました。特別償却を直接簿価減額方式で計上することについて妥当性の議論があります。今度は、この特別償却不足額相当額を特別償却準備金として積み立てたいのですが、これは問題ないでしょうか。特別償却費を全く計上していない場合には問題ないという見解があるようですが、どうでしょうか。
A.租税特別措置法において、特別償却は、法人が直接簿価減額方式か特別償却準備金積立方式のどちらかを選べますが、選択は特別償却限度額の生じた事業年度において決める必要があります。御質問のケースでは、特別償却対象資産を取得し、事業の用に供したのは、特別償却限度額が生じた前事業年度です。この事業年度に提出した確定申告書に添付された明細書で直接簿価減額方式を選び、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことにしています。したがって、今期になってこの償却不足額の処理方法を準備金方式に変更することはできません。繰り越した特別償却不足額を特別償却準備金として積立てることにした場合、その金額は積立限度を超えた額とみなされ、損金には算入されません。前事業年度に特別償却限度額の一部を特別償却費として計上し残りを償却不足額として繰り越した場合や、全額を特別償却費とせずに償却不足額として繰り越した場合でも、同様の考え方が適用されます。