Q. 当社のアイデアにより生産した製品が消費者の時代感覚に合わず、大量返品を受けました。事業年度終了時にはまだ手元に残っており、他に利用することができず、会社の信用問題にもかかわるため格安販売せずに廃棄する予定です。この製品は事実上無価値に等しいのですが、時価をゼロとして評価減しても良いですか?
A. 棚卸資産が災害で大きく損傷したり、明らかに古くなったりした特別な状況では、その棚卸資産の帳簿上の価値を損金処理によって時価まで下げることができます。この場合の時価とは、その資産が普通に売買される際に通常つけられる価格のことです。また、特別な事情として製品が破損したり、売り物としての価値を失った場合が挙げられます。質問の製品が消費者の時代感覚に合わず、大量返品を受けたことは、この製品が明らかに時代遅れとなった事例に相当しますから、評価減の条件を満たします。問題となるのは、事業年度終了時の製品価値が実際にゼロかどうかです。貴社が信用を守るために廃棄を選んだとしても、それは会社方針によるものであり、そのために自動的に製品価値がゼロになるわけではありません。もし事業年度終了時に廃棄する予定の製品があれば、その損失は廃棄損として計上できますが、年度末に残っている製品については、将来何らかの形で換金が可能である可能性が残されています。つまり、製品の価値は、廃棄する予定という会社方針に基づくものではなく、時代遅れであることを考慮に入れた上で、客観的に形成される換金可能価格です。したがって、廃棄する予定であっても、時価を客観的に算定する必要があります。