法人税基本通達11-2-9の(2)の意味

Q.法人税基本通達11-2-9の(2)で示している「実質的に債権とみられない部分の金額」とは何を意味していますか?

A.法人税基本通達11-2-9の(2)では、売掛金や受取手形と買掛金が存在し、買掛金の支払いのために他から取得した受取手形を裏書譲渡した場合に、その受取手形の金額(支払期日が来ていないものに限る)に相当する金額は、実質的には債権とはみなされない、と説明しています。具体的には、仮にある会社(A社)に対して売掛金として30万円、買掛金として10万円がある場合を考えてみましょう。そして、別の会社(B社)から受け取った売掛金に対する受取手形10万円を、A社に対する買掛金の支払いのために裏書譲渡するとします。この操作により、A社への買掛金は会計帳簿上で消えることになりますが、実際には受取手形が期日に決済されるまで、A社への買掛金としての債務は残ります。結果として、A社に対する貸倒引当金の設定対象となる金銭債権の額は、裏書譲渡後も変わらず20万円(売掛金30万円ー既存の支払債務10万円)となります。この例では、裏書譲渡によって見かけ上買掛金が消えても、実質的には債権とみられない既存の支払債務が残るため、貸倒引当金の設定対象となる金額に変化はないと解釈されます。

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