Q.社長がロサンゼルスの取引先と商談のために渡米した際に、グランドキャニオンへの観光旅行をしました。この渡米のために要した費用はどのように取り扱われますか。
A.社長が業務で必要とされる海外への出張と観光を兼ねて行った場合、その費用はどのように扱うかということになります。業務で必要不可欠な部分の費用は、会社が支払うことができますが、業務に必要ではない、つまり観光部分にかかる費用は基本的に社長や従業員への給与として扱われます。これは、税務上、給与としての支払いは通常の業務に関連しない費用に対するものと見なされるため、これらの経費は損失として計上することはできません。
具体的には、海外出張が業務上必要かどうかを判断する際には、旅行の目的、訪問地、ルート、期間などを考慮して総合的に評価します。ただし、観光を主目的とする旅行や団体旅行等は、業務上必要な出張とは認められません。
業務と観光を併せて行った場合には、その費用を業務上必要な部分とそうでない部分に分け、観光に関連する費用は給与として扱います。しかし、出張の直接の目的が商談や契約締結などの業務上のもので、そのための旅行であれば、訪問地までの往復費用は業務に必要なものとして認められ、損金に算入することができます。
例えば、質問のケースでは、ロサンゼルスまでの往復旅費は業務上必要なものとして扱われますが、グランドキャニオンへの観光にかかる費用は業務と無関係なため、全額が社長に対する給与として計上されます。