Q.期限切れ欠損金額の損金算入を認めるための要件として、法人税法第59条第4項に「内国法人が解散した場合において、残余財産がないと見込まれるとき」が掲げられていますが、どのようにしてその判定をするのですか。残余財産が僅かな場合、期限切れ欠損金額の一部の損金算入が認められなければ、清算事業年度中の所得に対する税額の方が多くて、清算結了できないことが生じないでしょうか。
A.「残余財産がないと見込まれるとき」の判定に関しては、法人税基本通達の12-3-7から12-3-9に詳しく説明されています。判定は、清算中に終了する各事業年度終了時の状況に基づき行われます。特に、解散事業年度の翌事業年度に清算が終了する予定であれば、この判定を行うのは最終事業年度のみです。しかし、清算が数年間続く場合は、その間の各事業年度終了時に判定を行います。債務超過の状態にあるときは、「残余財産がないと見込まれる」とされます。これは、清算中に資産処分益や債務免除益が発生しても、通常、残余財産を残さないと考えられるためです。残余財産がないと見込まれることを示す書類には、清算中に終了する各事業年度終了時の実際の貸借対照表が含まれます。この貸借対照表を作成する際の資産の価値は、事業年度終了時の処分価額に基づきますが、解散が他の法人への事業譲渡等を前提としており、当該法人の資産が引き続き使用される見込みである場合は、通常付される価額に基づきます。債務超過の法人が資産を処分し債務を弁済することで残余財産を残す場合がありますが、その場合、資産処分益から発生する法人税等の支払いにより、清算結了が困難になることがあります。このような状況では、期限切れ欠損金額の一部の損金算入を認める措置が必要とされることがあります。